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伊藤若冲の鳥獣花木図屏風 #53
『出光美術館の軌跡 ここから、さきへⅣ 物、ものを呼ぶ-伴大納言絵巻から若冲へ』
出光美術館
2024年10月9日(水)
今日の一枚は、伊藤若冲 鳥獣花木図屏風。
升目書き(ますめがき)で描かれた大作であります。
伊藤若冲といえば、動植綵絵のような、「写実を超えたデフォルメ細密描写」のイメージがありますが、この升目書きの屏風は、そこから趣を大きく変えています。
升目の一つひとつは、かなり細かく丁寧に描き込まれています。ですが、升目が形作る動物や鳥は、とても、おおらかに表現されています。
![](https://assets.st-note.com/img/1728566785-v6DEjiqImnUckJXOPSdRWxbp.jpg?width=1200)
ついつい、細かな升目に目が行きがちではあります。ところが、六曲一双の全体が目に入るくらい離れて見ると、だいぶ印象が変わるように感じます。
全体を覆う鮮やかな青と緑。そこここに配置されている赤が、とても際立ちます。
明るく穏やかで、実り豊かな世界です。
イタリアのアッシジで有名な聖フランチェスコが、小鳥たちに説法を始めると、他の鳥たちも集まってきて説法を聞いたという話があります。この逸話を彷彿とさせるような屏風です。
(わたしは、この聖フランチェスコの逸話を、マスターキートンというマンガで知りました。)
風神雷神図屏風は、俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一へと時代を下るにしたがって、自由奔放さや力強さがなくなるとの意見があると思います。ですが、いやいやどうして、とてもシュッとして、かつ躍動感があるではありませんか。
風神雷神の背景の墨は、どろどろどろというBGMを表しているようで、2体の神様の登場感を演出しています。
出光美術館は、来年1月から休館になります。