福田平八郎の筍 #56
『没後50年記念 福田平八郎✕琳派』
山種美術館
2024年12月4日(水)
斬新な色と形。山種美術館の図録の言葉である。
福田平八郎の筍(たけのこ)は、形が単純化され、色は黒や緑でベタ塗り。現代的なデザインのようだ。
しかし、見るほどに、固い筍のザラザラとした肌触りが伝わってくる。あたかも写実画と感じるほどに。
特に色は、筍の皮といえば典型的には茶色だろうが、黒々としていて、色使いが斬新である。
また、よく見ると黒のベタ塗りではなく、微妙な筆致で質感までも、うまく表現している。
柿の葉っぱの、この美しい感じ。形と色合い。色に対する洞察力を感じさせる。
山種美術館のXでも紹介されている酒井抱一の秋草鶉図。これはカッコいい。月とすすきである。
この一風変わった形の月は、この屏風の中心である。繊細なすすき、そして丸々とした鶉(うずら)へと目を移していくと、寂しげだった風景が、温かみのある風景に変わっていくようだ
俵屋宗達(絵)・本阿弥光悦(書)の、鹿下絵新古今集和歌巻断簡。文字と下絵の見事なコラボである。
この新古今集の断簡は、何度か本で見たことがあるが、山種美術館の所蔵だっのか。良いものを持っている。
山種美術館は、美しく紅葉した銀杏に囲まれていた。