見出し画像

テート美術館展どうよ? #30

『テート美術館展 光- ターナー、印象派から現代へ』
国立新美術館
2023年9月17日(日)

イギリスのテート美術館のアジアオセアニア巡回展の最後を飾る日本巡回展。

ウィリアム・ターナー『湖に沈む夕日』1840年頃 テート美術館

光をテーマにした企画展ということで、いわゆる有名な大作というよりも、テーマに合った作品をピックアップしたのだろうと思います。

ジョン・ブレッド『ドーセットシャーの崖から見えるイギリスの海峡』1871年

今まで、あまり聞いたことはないかもしれないけれど、この画家良いでしょ的な意図もあったかもしれません。

エドワード・コーリー・バーン=ジョーンズ『愛と巡礼者』1896年-97年

そうなんでしょうけど、あまり強い印象が残りませんでした。全般的に小粒な印象だっんですよね。。

いやいや確かに、ウィリアム・ターナーや、ゲルハルト・リヒター、オラファー・エリアソンも来てるし、モネやピサロもバーン=ジョーンズもハマスホイもあるんですけども、なんでだろ?

オラファー・エリアソン『星くずの素粒子』2014年

振り返ってみると、それぞれの作品を、光というテーマの中に位置付けながら見ることは、できたとはいえませんでした。解説はあったんだけど、イマイチ、腹落ちしなかったといいますか。。

ヴィルヘルム・ハマスホイ 左『室内』1899年、右『室内、床に映る陽光』1906年

要するに、私の見る目がなかったというか、理解する力が足りなかったということになりますね。なかなか奥が深いです。

ゲルハルト・リヒター『アブストラクト・ペインティング(726)』1990年

今日の一枚は、マーク・ロスコ「黒の上の薄い赤」1957年。家に飾っておきたい感じ。実際はとても大きいので全く入らないのですが。結構、長いこと見てました。

マーク・ロスコ『黒の上の薄い赤』1957年

アーティゾン美術館のABSTRACTION展で、抽象画でも何が書かれているか分からないとイマイチなんだよね的な事を書いておきながら恐縮なんですが、マーク・ロスコのこの絵は、特定の対象物を抽象的に書いているタイプの絵ではありません。なんで気に入ったんだろ。。

色そのものと、その組合せが「よい感じ」なのだろうと思われます。絵の大きさも「よい感じ」に影響しているように感じます。

この「よい感じ」ですが、マーク・ロスコのこの絵が、日本人にとって、なんとなく馴染みがあるからなんじゃなかろうか。

ゲルハルト・リヒター展で色々な抽象絵画をみた時に、リヒターの「グレイ(樹皮)」に、抽象絵画を読み解くヒントを見た気がしました。

ゲルハルト・リヒター『グレイ(樹皮)(348-7)』1973年 作家蔵

この「グレイ」を日本の土壁みたいだと感じ、私なりに、この絵の美しさと面白さを感じることができました。

近所の家の土壁

そこで、他のリヒターを「グレイ」の延長だと思って見ると、私のなかで何がつながって、「だったら、分かる」という感覚がありました。

ロスコに話を戻しますと、なんとなく着物っぽい、と言えなくもない。。私の中に馴染んでいる、美しいとか、綺麗とか、カッコいいとか、そんな美意識に触れるようなとろが、「よい感じ」の正体なんじゃないか、そう思いました。

国立新美術館

今回初めて乃木坂側の入口から国立新美術館に入ったのですが、国立新美術館は何回来てもカッコいい。黒川紀章よいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?