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打ち合わせを制する者が、仕事を制する。


打ち合わせの質が、仕事の成果に直結する。
この本は、どうやったら「いい打ち合わせ」ができるかを解説した本だ。


「いい打ち合わせ」と「悪い打ち合わせ」は何が違うのか。極めてシンプルに言ってしまうと、「打ち合わせの目的がはっきりしているかどうか」に尽きます。(P50)


目的のない打ち合わせや、目的があいまいな打ち合わせが多い。
これは、仕事のゴールが見えていないからだ。

ここでも目的から考えることが重要となる。

目的を自覚し、目的に至るまでのプロセスを設計し、参加者の役割を決める。
打ち合わせでは、この3つを明確にしなければいけない。

すなわち、具体的に考える必要があるということだ。
著者も、言葉を変えて次のように述べている。


打ち合わせにおいて最も大事な能力は何か、と問われたら、僕は「イメージ力」と答えます。どんな打ち合わせになるか、イメージしておく力です。(P72)


これもつまりは、具体的に考えよということに他ならない。

打ち合わせが始まり、Aさんがまず概要を説明し、この方針でよいかを確認する。
Bさんはもともとその方針、特に○○という部分には懐疑的だったから意見を言うかもしれない。
もしそういう意見が出た場合、私がBさんの意見を汲んだ方針Cを提案しよう。
部長の課題感にも沿っているはずだから、この方向で磨きこんでいけるはず。
もしBさんが意見を言わなければ……

といった感じだろうか。
ファシリテーターがこの具体的な進行イメージを持てていないと、十中八九、グダる。

様々な仮説をもってイメージし、準備しておけば、コミュニケーションも的確でシンプルになるだろう。それだけ打ち合わせもスムーズになり、時間短縮にもつながる。

逆にそういった準備を怠り、打ち合わせがグダグダになったとしたら?
誰もが心の中で「早く終わんないかな……」と思うような打ち合わせは悲劇だ。


打ち合わせは、ファシリテーターの腕でその質が決まります。(一部省略)ファシリテーターには、かならず確認しておかなければいけないことがあります。まず大事なことは、プロジェクト全体が見えていること。そしてその中で、この打ち合わせがどういう意味を持つのかを理解できている、ということです。(P156)


心しておきたい。


そうして、いざ打ち合わせの場となった。

私は、打ち合わせで最も重要なことは、「決めるべきことを決めきる」ことだと考えている。

「今日はこれを決めます」と打ち合わせのゴールを明確にし、きっちりそれを決めきれるか。
仮に決めきれなくても、確実に次のアクションを明確にできているか。

これが肝要だ。

特に、次のアクションについてはより具体的に指示する必要がある。
誰に、いつまでに、何をしてもらうのか。
ハッキリ伝え、相手に了解してもらう必要がある。

これを「きっとわかっているだろう」で済ました結果、ギリギリになって出てきたアウトプットが方針と全然違うものだったらお互い辛い。

最悪、
「え、あれ私がやることになってるんですか?」

と言われては、笑うこともできない。


さて、次はちょっと別の角度から打ち合わせを見てみよう。


相手をきちんと気遣えるかどうか。そういうところにこそ、仕事ができるかどうかの本質は現れるのです。(P131)

気遣いができるだけの余裕を持とうとすることです。これが、打ち合わせでも間違いなく活きてきます。気遣いにこそ、仕事の本質は現れるからです。(P132)


あらかじめ空調を効かせておく。
机の並びをキレイに整えておく。
観葉植物を置いておく。
爽やかな笑顔で対応する。
ちょっとした冗談を言う、世間話をする。
資料は見やすいデザイン、わかりやすい言葉遣いを心がける。
相手の表情や雰囲気を見て、何か言いたいことがありそうなら話を振る。

なぜこういった、こまごまとしたことが本質とまで言われるのか。
それは、「人間が感情でできている」からだと思う。

現実として、数字や論理以外に重きを置いてしまうのが人間なのだ。

であれば、数字や論理は仕事として当たり前に用意したうえで、さらに人間的な気遣いがあればなお良い。そういうことだろう。


以上、

①ゴール設定
②イメージと準備
③気遣い

の3点で、クリアーな打ち合わせをデザインし、楽しく早くいい仕事をして、人に喜んでもらおう。

まとめ


この記事を書きながら、自分が経験した「うまいファシリ」を思い出していた。

悪いファシリならいくらでもあるが、うまいファシリはなかなか思い出せない…

おそらく、うまいファシリには「違和感がない」のだろう。

料理の達人は、すばやく、綺麗に食材を切る。
流れるようにやってのける。

なんとなく、自分にもできそうに思う。自分も料理くらいするし。

しかし、実際やってみるとできない。
もたつく。バラつく。

ファシリの達人は、料理人が流麗に食材を切るように、コミュニケーションを捌いているのだ。

もちろん、時にハッとするような「問い」も出してくる。

それは、料理人が調理の随所で見せるような「華」の部分だろう。

私も、稀には華が見せられるくらいファシリの技術を向上させるべく、努めていきたい。


●書き手 綜一
滋賀県庁職員。児童虐待・児童養護施設を担当時、行政の重要さを実感。意欲的に仕事をした結果、「あなたみたいな人が県庁にいて本当によかった」と幾度か言っていただいた。その経験から、県庁職員も県民もハッピーになれる働き方を模索し始めた。施設担当時作成したインタビュー記事「Sai」も掲載 

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