市長を育てる人から学んだこと
先日、谷畑英吾さんとお会いする機会をいただきました。
谷畑さんは、滋賀県庁職員を経て旧甲西町長、湖南市長を歴任。
現在は全国の首長を教育するための取組みをされています。
県職員時代には担当業務に捉われない仕事ぶりで様々な計画や制度をつくられました。
市長時代には現場の情報を集め、判断・行動し、学校現場における課題などを解決されてきました。
現在はそれらの経験を活かして首長を育てられています。
首長は商業や福祉、防災といったありとあらゆることに判断を下していかなければなりません。
方や政治家として一人ひとりの市民と向き合って票をいただき、方や行政の長として法の下で市全域を見ながら判断を下す必要もあります。
立場は特殊。仕事は広範。しかも任期付きです。
責任が重く、難しいのです。
そこで全国におよそ1,700いる首長を対象に、行政組織の知識や、過去の判断の積み上げを伝授し、うまくいく再現性のある「システム」の構築を図られています。
谷畑さんの県職員時代から今に至るまで、いずれのお話も示唆に富み、興味深くお聞きさせていただきました。
お話を振り返る中で、学んだことを以下に記載していきます。
まずは「現場の情報を吸い上げる仕組み」をつくること。
そして、集めた情報を評価し、判断に利用することです。
判断して、何か変化を起こそうとした場合どうするか。
2つ手段があります。
1つ目は、システムを「こう」変化させたいということを、システムを管理・動かしている人に伝えること。「対話」することです。
2つ目は、新たなシステムの形を明文化することです。
谷畑さんに言われてハッとしたのですが、社会のシステムは「言葉」で作られています。
法律も。契約も。マニュアルも。
つまり、システムを形作るには、言葉を使い文章を作ることが必要です。
(明文化)
谷畑さんは美しい文章を書くことにこだわってこられたそうです。
「美しい文章」の定義はしきれませんが、例えば論理構造がしっかりしていることや、過不足なく端的にわかりやすいこと、繰り返し表現や同じ単語を避けることなどがあると思います。
なぜ美しい文章にこだわるかというと、それが「権威」になるからです。
多方面からの批判に耐え、磨かれ、作り上げられた文章は多くの人が参照する拠り所、つまり「権威」になります。
その「権威」は、美しい方がより「権威」足り得るというのは想像できますね。
(それでもシステムを動かすのは人ですから、人と人との関係性に作用する「対話」も、やはり不可欠でしょう)
情報を集め、判断し、システムに変化を起こして現実を変えていく。
そしてまた情報を集めて判断し・・・
これの繰り返しではないでしょうか。
谷畑さんは「課題をシステムで解決することが美しい」と言いますが、(恐縮ながら)全くの同意です。
また、この繰り返しの過程で、「自覚者であり責任者」を増やすことが重要です。
「自覚者であり責任者」とは。
例えば、学校現場が疲弊して、それに文句を言っている人がいます。
文句を言っているということは、現場の状況を自覚しているわけです。
でも、行動はしていない。
こういう人に対し、
「文句を言うってことはあなた現状を自覚してるんでしょ?気づいたんでしょ?気づいたんなら、行動して現状を変化させる責任はあなたにありますよ」
と伝え、変化を起こす責任は自身にあると気づいてもらいます。
こうしてあちこちにいる「自覚者」を「責任者」にしていきます。
「自覚者が責任者である」とは、もとは糸賀一雄氏の言葉です。
この「自覚者であり責任者」を増やすことが社会を変えていく力になると思いました。
自覚し、責任を持てば、後は必要なことをするだけです。
「谷畑さんの構想を社会実装するために、現在課題になっていることは何ですか」
とお伺いしたところ、
「いや、課題なんてないよ。必要なこと、やるべきことを淡々とやるだけ」
とおっしゃられていました。
とても印象的でした。
現在地、目的地、その2地点をつなぐプロセスがはっきり見えているからこその言葉だと思いました。
最後に、谷畑さんに「人を見る目」についてお伺いしました。
「おもしろいことやってる人に、悪い人はあんまりいないんじゃないかな」
これは意外でしたが、納得感があります。
翻っていうと、僕自身、やっていることを楽しんでやることが大事だなと思いました。
(これは杉山さんも言われてましたね)
谷畑さんは普段、全国の市長などとばかり会われている方です。
つまり僕が1対1で質問できるような機会がほぼ無いような方なのです。
お引き合わせいただいたNPO法人四つ葉のクローバーの杉山理事長には改めて感謝申し上げます。
こんな感じで、Sai以外でもお話させていただいた方からの学びはnoteに記していこうと思います。
(文章力を鍛えるため!)
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。