言葉で旗を立てる
いろんなメソッドに名前がついて、それだけが独り歩きすることを異様に怖がってきましたが、最近、名前をつけることの必要性に気づきました。
というより、頭では分かっていたけど、改めて実感するに至った、という話。
・・・を、昨年の5月に書いたものの下書きのままでした。供養します(笑)
☆…2021年5月作成
★…2022年3月作成
☆「心理的安全性のつくりかた」
3月頃(注:2021年3月)に心理的安全性のつくりかたという本を読了しました。
多くの人が意見を言える環境を整えることでチームとしての精度をあげようね、ということ。
そして単に仲が良い関係性を指しているのではなく、自分の意見が尊重されるであろうと自信を持てる環境かどうかが意図するところだと認識しています。
多分だれでも、全容が見えてこまわりのきくチームでは自分の意見を通せるのですが、単位が大きくなればなるほど発信ルートも限られていたり、そもそも確固たる意見というのにたどり着けなかったりするはずです。
そういうとき風穴をあけるために、これは知っておくと便利な概念だと思いました。
☆合言葉の意味を考える
タイトルの「言葉で旗を立てる」は、この本の後半に出てくる見出しです。
心理的安全性を“合言葉”に環境を整えていこうね、という意味だと私は捉えています。
私は「教える」ことはそれなりに自分の型を見つけてきましたが、どうも質問や提案やSOSは毎回うまくいかず。
理由は色々あるのでしょうが、合言葉がないのかもしれません。
もしくは、私が発しているキーワードを、同じ意味で捉えてもらっていない。
言葉で旗を立てる、そもそも、万人に伝わる言葉をきちんと選んだ、そのうえで掲げられるかどうかは常に意識する必要があると感じました。
☆シチュエーションごとの言葉の性質
私が卒業論文でまとめた「わざ言語」の考え方で言えば、教えるときにつかう言葉を分類していくと、寄り添い型わざ言語/誘い型わざ言語の2種類に分けられます。
誘い型わざ言語は、学習者自身がある程度熟達者(専門家や師匠)の域に近づいている必要があり、まだ基本を習得していないような初心者には向かない言葉です。
誰でも、言葉を受け取る立場と発する立場、両方を必ず経験します。
どちらでも、100パーセントで伝わる言葉はないのかもしれません。
★言葉キャッチボール=関係性の構築
けれども、最近、生徒さんとの関係性が構築できてきたこともあり、こちらが発した言葉を子どもたちも考えてくれるようになってきました。
年齢的に難しいかも?と思うような言葉でも、噛み砕こうとしてくれる姿勢が見えます。
レッスンをしている以上こちらの意図は確実に伝えたいので、「いま先生が言ったことを自分の言葉でメモしてごらん」といって、楽譜やレッスンノートに書いてもらう時間を設けています。
体の使い方について話した場合、うっかり逆の意味に捉えられていたり、違う部位と勘違いされていたりもします。
自分の指導力が未熟なことや、自分の日本語能力の低さに落ち込むと同時に、この「修正作業」がいかに必要であるかも実感します。
★修正時にも尊重をすること
こうして言葉のキャッチボールを重ねることで、さらに信頼関係も構築するためには、私で言えばレッスン時間内の生徒の「心理的安全性」を確保することも不可欠です。
昔ながらの師弟関係は、上下関係を感じやすいものです。
ですができるだけ、生徒さんの意見や環境、音楽性を尊重しながら進めなくては、本当の意味での理解が深まらないかもしれません。
自分のレッスンでは、私の音楽性を押し付けることなく、音楽を楽しむチームとして取り組みたいです。
実際に私も、過去のレッスンやアンサンブルリハーサルでは、相手との信頼関係やお互いが尊重できているときがいちばん伸び伸び出来ました。
プレッシャーとは違う、程よい緊張感と配慮があって、なおなつ自分の音や意見も受け止めてもらえるという状況です。
言葉で旗を立て続け、良い循環が起きますように。