イノベックス袋井工場-地中熱化計画-③前編『イノベックスが推進する地中熱システムによる提供価値と未来像とは?』(Part1 of 4)
皆さま、こんにちは。
株式会社イノベックス(本社:東京都中央区明石町)の代表取締役 兼 執行役員社長を務めております浅見 昌之と申します。
私たち株式会社イノベックスは、「異なる素材を組み合わせて革新的な製品を作り出す」という“Integration for Innovation”を企業理念として掲げ、革新的製品を作り出すのみにとどまらず、ニーズに見合った”Solution”も加えてご提供できるよう、全社を挙げて邁進しております。
その取組みの一環として、2022年に再生可能エネルギーである地中熱事業を手がけることとなりました。
エネルギー関連の新事業進出の背景は、株式会社イノベックスが、1つの熱源孔から“水資源”と“熱エネルギー”の両方を従来の地中熱工法の4倍から5倍で取り出せる、日本初の独自技術「ヒートクラスターⓇ」を活用できる技術者と連携したことです。
地中熱システムは、コスト削減・環境負荷低減効果だけでなく、人や植物にも優しいといった様々なメリットがある夢の環境先進技術です。
地中熱事業を通して、私たちイノベックスが社会の皆様にどのような価値をご提供し、いかなる未来を実現していきたいのかについて、弊社を代表してご説明させて頂きます。
1.イノベックスが地中熱事業に乗り出してみようと考えたきっかけ
イノベックスの会社としての源流をたどりますと、大元は2つあり、約66年前にプラスチック製の家庭用の防虫網戸の製造販売を始めたこと、それから、約58年前に糸入り強化プラスチックシートの製造販売を始めたことです。
それ以来、主にプラスチックの糸からつくる織物・編み物や、シート状のプラスチック加工品を中心に、日本の衣食住や農業の発展に貢献して参りました。
しかし、その主な原料は石油であり、昨今のサステナブルのムーブメントに影響を受け、これまでの経営にSDGsの側面を加えてサステナブルな製品の開発にも取り組んで参りました。
そのような中、未利用の再生可能エネルギーを活用する地中熱事業に触れる機会に恵まれ、そのポテンシャルに魅了されました。
また、素晴らしい技術、豊富な事例に加え、国や地方自治体も推進し始めていました。
さらには、地中熱の技術は地下水との熱交換を行うことを特徴としており、日本の風土にとても合っていると感じました。
これを環境関連ビジネスとして手掛ければ、世の中のお役に立てますし、もともと取り組んでいた農業用防虫網、遮光ネット、防草シートなどの農業資材を製造販売してきた事業とのシナジー効果を追求できるのではないかと思い立ちました。
そこで、農業を営む法人様などから営農上の問題点や課題をヒアリングし、その解決にあたり地中熱利用がもたらす恩恵を紹介するソリューション営業を展開しようと、地中熱事業に乗り出した次第です。
今では農業への活用を中心に据えながらも、病院、商業施設、工場などへのお手伝いも視野に入れて普及活動をしております。
2.地中熱を活用すると、具体的にはどのようなメリットがあるのか?
なんといっても、大空間に「快適さ」や「生産性の向上」という付加価値をご提供できることが最大の魅力です。
例えば農業ですと、大きな農業用ハウス内の温度や湿度の制御のために地中熱技術を活用することで、収穫量をアップさせたり、収穫時期をずらして、農産物から得られる利益を向上・改善することが期待できます。これは農産物が育つための「快適さ」を与えることにより「生産性の向上」が実現した一例となります。
また、病院、ショッピングモールなどの大型商業施設、工場などといった大空間では、そこを訪れる患者様やお客様、そして、そこで働く人たちに快適で適切な空間を提供できます。
つまり、訪れる方々が満足し、あるいは、そこで働く方々の負担を軽減することができるのです。
さらに工場などでは、製品の特性上、どうしても厳密な温度管理をしなければならないものがあります。例えば、医薬品の製造現場のような環境では空調が導入されている工場もあります。一方でそうではない工場も以前から数多くございましたが、このところの温室効果ガスの影響により温暖化が進んでおり、夏場に工場で働く環境は大変厳しいものになっています。こうしたところに地中熱を活用することで、工場勤務の方々に働きやすい環境を提供することができます。
このように大空間に「快適さ」という付加価値を提供できることが地中熱活用の意義として大きいと思っております。
同時に、地中熱の技術は、こうした付加価値アップだけでなく、温室効果ガスである二酸化炭素の排出量を抑制し、ランニングコストも削減して行うことができるので、一石三鳥と言っても過言ではありません。
また、地中熱技術を活用して冷房をかけますと、住環境から汲み出した熱を大気中に放出しないため、大都会におけるヒートアイランド現象の抑制にも効果が期待できます。
ただ、この説明だけですとまだ抽象的で具体的なイメージが持ちにくいかもしれません。
そこで、以下では地中熱活用がもたらすメリットの行き着く先について、まずは農業経営を例にもう少し深掘りして具体的な内容をご説明させてください。
前述のように、地中熱活用のキーワードは、「快適さ」です。例えば、農家様が営んでいる大きな農業用ハウスがあるとします。
その中で農産物にとって快適な空間を提供することにより農産物が喜べば、すくすく育つということですね。
収穫量のアップにつながって、そのことは結果的に農家様の農業経営の改善に大いに役立っていくのではないかと思います。
もう一つは、大型ハウスの中で農産物が喜ぶ快適な空間をご提供することができれば、通常の収穫季節以外の時期でも収穫が可能になるメリットがあります。季節外れでも農産物が育ってくれるわけです。
そうすると、他の農家様とは違うタイミングで市場に農産物を提供することができますので、それもまた農家の皆様にとっては市場への付加価値提供になります。
ここでのより具体的なキーワードは「農産物への快適さ」です。それが農家の皆様にとっても付加価値になると思います。農産物にとって快適な空間を提供してあげると、農産物も喜びます。違う季節でも元気に育ってくれるのです。
次に、病院経営者様へのメリットについても、具体的にご説明いたします。病院経営者様からしますと、お客様は患者様になります。では、入院や通院していらっしゃる患者様から感じられる大空間への付加価値の提供にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
私たちイノベックスの施工事例の中には、人工透析の患者様がいらっしゃる病院様向けに地中熱を活用したシステムを施工させて頂いた例があります。
患者様は、透析をしている間はしばらくじっとしていなければならないわけですが、その空間に快適さという付加価値を提供することで患者様のご負担はかなり違ってきます。
他方、空間の作り方が拙いケースですと、通常の空調を用いた場合には夏場の冷房であっても、冬場の暖房であっても、患者様に風が直接当たってしまいます。あるいは、風の流れを感じさせてしまうことがあります。それが実は、患者様に不快感を感じさせてしまいます。
こうしたケースでは、大空間に快適な環境を提供することが患者様のご負担を軽減させますし、患者様の喜びになります。
それは病院を経営していらっしゃるお医者様の願いでもあります。このような取り組みを通じて、より良い医療の提供ができるようになります。
さらに、介護施設経営者様へのメリットについてもご説明いたします。
介護施設に入所や通所されている方々は、特にご高齢の方々は、我々働き盛りの年代よりも空気変化や温度変化に敏感な方が多いです。誰しも歳を重ねて参りますと、体の色々な機能やコントロールが衰えてきますので、冷気であったり、暖気であったりといった風を体に直接受けてしまいますと、体調に影響を及ぼし、生活のクオリティが低下することも考えられます。体温調節機能の衰えの点からも、暑くても汗がかけないとか、感じないなどがありまして、そのために自分では気がつかない間に熱中症になってしまうことがあります。そのように体調を大きく崩すことも怖いですので、介護施設を営んでいる方々にとっては細心の注意を要する点になります。そのため、介護施設ではかなり長い時間空調をかけています。
入居者の皆様にご負担なく、かつ、温度や湿度を長い時間一定に保つことを心がけていらっしゃるわけです。ただ、それを実現しようとしますと、電気代が高くなるなど、経営者様はお悩みになっています。
私たちイノベックスがご提供する地中熱活用ソリューションの良いところは、快適な空間作りは実現するが、CO2の排出を最小限に抑え、かつ、ランニングコストも低減するというような、メリットを提供できることだと自負しております。地中熱活用による大空間への付加価値提供とは、要約すれば、「人への快適さ」、「人に対して優しい」ということです。
Part2に続く