遺言#2 勉強が必要か?じゃない。まずは知ることが必要なんだ。


21世紀を生きる50を超えたマツケンが人生を終える前に
1987年当時の20歳の自分に向けて発信する「遺言」という程のお説教、おじさんの長い話とも言う。
というか、大人になって「なんで早く教えてくれなかったんだよ!」って思うことをとにかく時空を超えて自分に訴えるメッセージ集です。

感覚的にはドラえもんに出てくるのび太としずかの孫の孫「セワシ君」的ポジションで綴ります。だめなんですよ、20歳のマツケン。


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20歳のお前が生きてる1986年には携帯電話もなければ
インターネットもない。
21世紀の50代のおっさんから見ると不便だ。

友達と駅で待ち合わせすれば、駅の「掲示板」なるものに
メッセージを書くくらいしか、すれ違った友達と連絡を取る方法が
ないだろ?

そう言えば知り合いにポータブルMDプレイヤー(あなたの生きる1987年にはそれすらなかったのか・・MDは90年代全盛だね)借りてたら急に「返して!」って電話きてたけど、自分が自宅にいなかったから「全然連絡つかない!すぐ必要だったのに!」ってすごい怒られたことあったなぁ・・・今なら屁でもないことなんだよ。

ポケベルってやつや留守電ってやつすらまだ出始めだからね。
貧乏学生のお前にそんなものを買う余裕はなかったよな…
でもこれから携帯電話は一人1台、へたすりゃ2台の世界になっていく。
つまり世の中どんどん変わるということなんだよ。

便利な世の中になるのは間違い無いんだけど、
いちばん考えてほしいのは、「情報社会」になるということだ。
技術的なことを今のお前に言ってもわかるわけもない。
携帯電話は便利だぞぉ…ってなことを言いたいわけでは無いんだ。

いろんな人と情報が繋がって、
80年代から比べれば飛躍的に情報が速くなり、
入手できる情報が多くなっていき…

それは君の想像をはるかに超えてる。そしてだれもが情報を手に入れやすい時代になる。つまり、欲すれば何とでもなる時代が来る。

ただ、手に入れ方、手に入れる努力、方法はやはりこの時代でも

「情報の集め方を知ってる人」「積極的に情報を集める人」でないと

知らないまま…なんてことは普通にあるんだ。

つまり、お前は今から「勉強」をしなければ…いや、「情報」を集めることしなければ取り残されるということだ。
俺が生きている令和の時代は(あ、この年号を昭和に生きるお前に言ったら
タイムパトロールに消される!)

そもそも勉強というのは「世の中はこんな価値が存在するぞ」とか
「こんな考え方があるんだぞ」ということを一通り説明する
ことが目的なんだと思うんだ。

なぜなら大人として生きていく上でも、将来の自分の道を切り開く上でも「知らない」では済まされないことがいっぱいあるからね。

そして、何かを「知る」ことでお前に初めて「こんな物(仕事、趣味 スキルetc,)があるんだ!やってみたい」という気持ちを生まれさせるんだ。

そういうことをわざわざ伝えるために
21世紀の50を越えたお前がわざわざメッセージを書いているんぞ。

今の俺ですら「なんで早くおしえてくれなかったんだ!」ってことがいっぱいあるんだよ。
無垢なお前にいきなり社会の凄さ、恐ろしさ、素晴らしさ、面白さを
伝えるにしても「下地」がいるよね。
教育や勉強ってそういうことを人並みにそろえて「一応説明したよ」ということが大事なんだと考えられた物なんだ。

単に勉強をしろという話ではない。情報をオープンに吸収する心構えがいるということだ。ゼロ情報からは何も生まれない。学校だろうがテレビだろうが友達だろうが新しい価値はいろんな形で自分に入ってくる。

「こんなものがあるんだ!」というインパクト、気づきがお前にきた時にやっとそれを掘り下げたりできるわけ。そのきっかけはたくさん必要で、全然関係なさそうなこともあとで繋がったりする。だからこそまずは「知ること」が必要なんだよ。
そこから先は自分自身の作業。
好きなことを見つけて、どんどん掘り下げていけるチャンスをみつけるんだ。

お前の場合は「音楽」という大きなテーマを見つけることができたからこそ
音楽大学まで行った(行かせていただいたw)んだけど、
その選択が正しかったかどうかもよくはわからないと思う。
でも自分で選んだ道なら徹底的にやるしかないよな。

テーマのない人生はちょっと味気ないと個人的には思っている。
そういう意味では早くからテーマをみつけたお前は幸せだ。
しかし、どんなテーマも続けるのは難しい。
だれかがお膳立てしてくれるなんてのは学校に通ってる時までなんだ。

自分で自分の道を切り開くためには
「知識」と「トライアンドエラー」が必要だ。
しかし、何の価値も情報も持ってないやつに新たな挑戦なんでできようがない。今までになかった価値をいきなりゼロから生み出すなんてほとんど無理ゲーなんですよ。

発想の難しさの例を出すぞ。
たとえば今当たり前の「農耕」という概念だが、

「そうか、作物を育てれば取れるか取れないかわからない漁に(狩に)行かなくて済む!」ってなんで気がつかなかったんだろうな?って思わない?

農耕[のうこう]wikipediaより
「ヒト属とチンパンジーの共通祖先が分岐したのはおよそ200万-1,000万年前、ホモ・サピエンスとホモ・エレクトスの共通祖先が分岐したのはおよそ20万-180万年前と見られている。」

というwikiのデータを元に最短20万年前として
「農耕の起源については諸説ある。ハーバード大学、テルアビブ大学とハイファ大学の共同チームは、イスラエルのガリラヤ湖岸で、23,000年前の農耕の痕跡(オオムギ、ライムギ、エンバク、エンメル麦)を発見したと、ニューヨーク・タイムズなどで報道されている。」


というwikiを元に23000年前とすると、
農耕にという価値に気づくまで
177,000年かかったことになる。

産業革命wikipediaより
「 産業革命(さんぎょうかくめい、英: Industrial Revolution)は、18世紀半ばから19世紀にかけて起こった一連の産業の変革と、それに伴う社会構造の変革のことである。」

という記述を元に1760年と想定して考えると
農耕という価値から産業革命という価値に気付くまで2,1240年かかった。

USB(ゆにばーさるしりあるばす)wikipediaより

「ユニバーサル・シリアル・バス(英: Universal Serial Bus、略称:USB、ユーエスビー)は、コンピュータ等の情報機器に周辺機器を接続するためのシリアルバス規格の1つである」

USBというコンピュータとデバイスを接続させるコネクターの規格は、1996年にUSB1.0として世に出てからUSB type-cが世に出るまでに18年かかってるが、

なんで18年も裏表ない形で刺せるような形にできなかったんだよ!

(本当はいろんな別な理由もあるんだけどね)
気づきなんてそんなもの。もちろん技術的な問題が理由だが
あの上下逆さまでイライラする事に悩まされない、と言うことは本来の目的からいうと二の次。
全ては点ではなく積み上げなのだ。

20歳のお前は世の中の作りをこれからいろいろ知り、体験しなくてはならない。
学校の勉強だけではないんだが、先人が「とにかく価値をいろいろ知らせておかなくては!社会に出て選択肢が少ない大人にはなってほしくない」という意味で教育を考えているんだ。
「数学が社会に出て役に立たない」っていってるやつもいるが
いつ、どんな価値にお前が気がついても「あ、こんな考え方があったな」と
どこかから聞きかじった情報からその突破口が見えるんだよ。
その基礎になるのが学校で習う「情報」だ。それは
自分のインプットとして、少なくとも「そんな考え方がある」「そんな価値基準がある」ということを知っておくには本当に助かるシステムなんだよ。
だからこれは「勉強」ではなくて「きっかけ」なだとおもう。
学校だけではない。いろんな人から聞いたり、読んだり、見たり感動したり。
全ての情報にそういう要素がある。
お前が「もっと知りたい」「もっと掘り下げたい」と思えるものを
見つけられる様になれるチャンスを増やすことを一般的に「勉強」と
言っているだけだ。

いいか、頼む、USBって規格が出てきたらすぐに大声で訴えてくれ。
USBが両方使えることをみんなに早く気がつかせられるのは今のお前だ!

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スッキリしないときもある。けど気の持ち様でなんとでもなるよ。


マツケンとは:
音楽を斜め上から作る会社
株式会社インビジと株式会社cotonの代表
音楽と音の次世代を考え続けています。
コンセプトは「音楽拡張」
「音楽で生きていくって難しいよね」が口癖

https://invisi.jp
https://invisidir.com
https://coton.tech

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