【まつわる話】誰がための株式投資か
◆株式投資の意義ってなんだろう
株式投資をする意義として「その企業に資金を入れることになるので、その企業を応援することができる」みたいなことを言っている人をたまに見かけます。
私は、ほとんどの人にそれは当てはまらないと思っています。
なぜなら、株式を購入しても、あなたの支払ったお金が企業に渡されるわけではないからです。
◆株の購入代金はどこへ行く
あなたが株を購入して代金を支払った時、そのお金はその企業に入るのでしょうか?
違います。そのお金は、その株をあなたに売ってくれた他の誰かに渡されるのであり、その企業には一銭も入りません。
企業が増資をする目的で新しく株式を発行する際などであれば確かに企業にお金を渡していることになりますが、ほとんどの人はこれに該当しないでしょう。
なので、ほとんど人の株取引は、フリマアプリで中古品を売買するのと変わらないのです。フリマアプリで任天堂の製品を買っても、任天堂には一銭も入らないからです。
他にも「その企業の株を保有し、株式市場に流通する株数を減らすことで、その企業の株価の上昇に貢献(=応援)できる」なんて理屈もたまに聞きます。
が、個人が保有できる株数なんてたかが知れています。私やあなたが「何があっても売らない!」という覚悟で株を保有したところで、その株の株価への影響は皆無でしょう。
もしも企業を応援したいと思うなら、株を買うよりも、その企業の製品を購入したり、サービスを利用したり、友人に勧めてみる方がいいでしょう。
◆株式投資の意義なんてとことん「自分のため」でいい
では、株式投資の意義とは何なのでしょうか?
私は、そんなのとことん「自分のため」でいいと思います。
目的は「日々の生活費の足しにしたい」「老後のお金を貯めたい」「資産を築いて仕事を辞めたい」など色々あるでしょうが、その意義なんてのは結局「自分が金銭的に豊かになる」でよいのです。
日本人は、お金に対してネガティブな感情を持っているといいますが、株式投資に公的な意義を求めてしまうのはそういった思考が理由なのかもしれません。
「投資で稼ぐなんてずるい」と思っているからこそ、「投資は世の中にとっていいことなんだ、私はそれに貢献しているんだ」と胸を張って言える理由を探してしまうのでしょう。
いえいえ、そんなのはよっぽどのお金持ちになってからでいいです。
「まずは自分のため」です。
◆強いて株式投資の公的意義を挙げるなら
あえて、私やあなたが個人投資家として株式投資をする公的意義があるとするなら、それは「株式市場を健全に保つため」ではないでしょうか。
その企業を応援しているからではなく、その企業がこれからも稼ぎ続けると考えているからと理由で株を買う人が増えると、優れた企業の株が買われ、そうでない企業の株が売られる、ということになります。
株式市場の原理が正しく働くことによって生き残る企業と淘汰される企業が選ばれていく、という健全な形です。
このような観点に立つと、むしろ「応援しているから」というだけの理由で業績や経営方針の芳しくない企業の株を購入するという行為は、市場の健全性を損なう行為とさえ言えます。
経営不信の企業の株主総会に出席して文句を言っている方達の映像がたまにニュースで流れますが、個人的には「そんなに文句があるなら売却すればいいのに」と思います。
◆最後に
もしもあなたが「お金は十二分にあって何も不安はない。稼ぐのとは別の目的で投資をしたい」という誰もが羨むような状況でないなら、投資の目的は「自分のため」で十分です。
ぜひ、あなた自身のために、堂々と株式投資をしてください。
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