Blade Air Mobility(BLDE) 簡易メモ
今回はArkも積極的に購入しているBlade Air Mobility( $BLDE )について、さっくりと要点をまとめてみました。掲載している図は全て投資家向け資料からの抜粋となります。
1.会社概要
Blade Air Moblity(以下、Blade)は、テクノロジーを駆使したグローバルなエアモビリティプラットフォームです。2014年に設立された当社は、ヘリコプター、水陸両用の水上飛行機、固定翼の輸送サービスを通じて、主に米国北東部とインド内の混雑した路線において、地上輸送に代わる費用対効果と時間対効果の高いサービスを消費者に提供しています。
Bladeのプラットフォームは、テクノロジーを駆使した、資産を持たないビジネスモデルであり、高いブランド力も保持しています。モルガン・スタンレー・リサーチ社が作成した2020年の報告書によると、製造業、関連技術・インフラ、荷物・貨物輸送、軍事・防衛用途、人的輸送などを含む世界の都市型エアモビリティ産業は、2025年には約1,230億ドル、2035年には約6,400億ドルに成長すると予想されています。
当社は、Bladeの強力なブランド認知度、拡大するユーザーベース、専用端末のネットワーク、そして当社独自の技術スタックの組み合わせが、当社がサービスを提供する市場において競争上の優位性をもたらすと考えています。
2.ビジネスモデル
Bladeはアセットライト・ビジネスモデルと呼ばれるモデルを構築しています。名前の通り、資産を持たないビジネスモデルのようです。
アセットライトが意味するところは、Bladeが航空機の所有および運営をしないことです。その代わりに、Bladeのオペレーターパートナーのネットワークが航空機、パイロット、メンテナンス、保険、燃料を提供します。
Bladeが提供する技術はモバイルアプリ、ウェブサイト、フライヤー・リレーションズ・チームを通じてのフライヤー予約を管理して、米国やインドで最も混雑している地上路線にコスト効率の高い航空輸送手段を提供しています。Blade独自の「customer-to-cockpit」技術により、Bladeの路線ネットワーク上のターミナル間を飛ぶ複数のオペレーターを調整しながら、多数の同時飛行で数百人のフライヤーを管理することができます。この技術により、物流能力が強化され、新規路線への関心を示すフライヤーからの情報が得られるため、事業の継続的な拡大が可能になると確信しています。
このテクノロジーは、将来の成長を念頭に置いて構築されており、モバイルアプリ、ウェブサイト、クラウドベースのツールを通じてプラットフォームを容易に拡張できるように設計されています。例えば、急激なフライヤー数の増加、新規路線や新規オペレーターの開拓、より広範なフライトスケジュール、次世代垂直離着陸機、アンシラリーサービス(ラスト/ファーストマイルの地上接続、旅行キャンセル保険、手荷物配送など)に対応できるよう考えられています。
Bladeの技術スタックには、データ収集・分析技術が組み込まれており、顧客のプラットフォーム利用状況を解析して、潜在的な成長機会の予測に役立っているとのことです。
3.Bladeの特徴
Bladeの特徴を4つ記載します。
・3-1 包括的なプラットフォーム
顧客が使用するモバイルアプリケーション、オペレータ用のダッシュボード、コックピット内のアプリケーションを 提供しています。Bladeのオペレータ・パートナーは必ずBladeのプラットフォームを利用する必要があるため、フライトルートの気象情報、フライト情報、顧客の利用率などのデータをBladeは収集することが可能となります。
これからの時代はデータを大量に収集できる企業がマーケットリーダーになると私は考えます。機械学習やディープラーニングは画期的な技術として様々な分野で活用されていますが、学習するデータが無ければ何もできません(※)。例えば、最適な航空ルートをディープラーニングで導き出すためには「気象情報」や「地形情報」、「機体情報」などのデータを学習させる必要があります。学習に必要なデータを他社から収集する場合、データを買い取る必要があるため余計なコストが発生します。また、学習に必要なデータが明確とならない場合はそもそもディープラーニングを使用できません。
Bladeは自社のプラットフォームを通じてデータを収集できるため、膨大なデータセットを用いて色々な学習モデルの構築が可能となります。データを収集できるということだけなのに、非常に強力な堀が構築できると考えます。
※教師なし学習というデータセットが無い状態でも学習する方法はあります
が、商用に耐えられる実的な段階まで学習モデルを構築することは非常に
大変です。
・3-2 豊富なデータの活用
上記にも記載しましたが、Bladeは色々な情報を収集する仕組みを保持しています。収集したデータを活用して、複雑な航空機管理や飛行ルートの最適化、高精度なトラッキングを実現しています。今後もデータの蓄積によりシステムの高度化が進み、競合他社に対する強力な武器となります。
・3-3 早い段階での商用展開と積極的な海外展開
2015年からニューヨークの人輸送用ヘリコプターマーケットでシェアNo.1を獲得しています。下図はニューヨーク市でBladeが展開する航空路を表していますが、JFK空港やNewark Liberty国際空港を含むニューヨーク近郊の空港を網羅しています。国際空港との航空路を確立しているため、観光やビジネスで多くの人が利用することを容易に想像できます。
下図は現在と今後の航空路展開についての戦略を説明しています。米国内では、シカゴやロサンゼルス、サンフランシスコといった国内の主要都市に展開を予定しています。展開予定の地域は観光、ビジネスの両方を期待できると考えられます。
米国外ではインドに展開しています。インドは交通渋滞が酷いことで有名ですので、空路による輸送は交通渋滞を緩和する重要な交通インフラとなります。インドで蓄積されるデータは今後の世界展開でも非常に価値があると思います。また、将来的にはカナダやインドネシア、日本でも展開を予定しているようです。積極的な海外展開を視野に入れているところは重要なポイントとなります。
・3-4 EVAへの投資
EVAとはElectric Vertical Aircraftの略称で、電動の垂直離陸機のことです。低コストでゼロエミッションのEVAは今後の航空業界で必須となる技術と考えます。
BladeはEVAを開発する企業に$6 billion(約6000億円)以上の投資を実施してきました。投資した会社の中にはBladeのパートナーになっている会社もあります。注目すべきはBladeに投資もしているAirbusです。Airbusといえば航空機を開発している最大手の企業ですが、EVAサービスの空域管理システムを開発しています。航空機開発で培った技術を取り入れることができるため、EVAによる空輸マーケットでも他社に先行してスマートなシステムを展開できると考えます。また、色々なEVA企業に投資することで、将来のオペレータ・パートナーの獲得につながると思います。Blade自身は機体を保持しないため、投資によるEVA企業との提携はとても合理的です。
3-5 . ブランドパートナー(おまけ)
Bladeは様々な分野のブランド企業とパートナーと協業しています。飲料ではコカ・コーラ、エンタメではディズニーやソニー、Transportationではマセラッティやベンツ、ポルシェなど、世界的に認知度の高い企業とも協業しています。
4. まとめ
Bladeは運用規模が拡大するほど、オペレータ・パートナーが増大するほどに成長が加速する企業と思います。Air Mobility業界のGAFAとなる可能性を秘めていると私は考えます。
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