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~~株式投資の我流説明~~        その8:入門編6/7 適正株価

適正株価

入門編の最初に
「同じ株なのに買い手と売り手という真逆な思考を持った人が取引をしていることを考えると、株価の基準は人それぞれといえます。」
と書いたように、投資家の考え方は大きく違います。
 
その1つの例として、図1のような証券アナリストのレーティングを見ると、強気と弱気という正反対の判断をする証券アナリストが存在します。

図1 証券アナリストの例

株式投資は未来を予測するため、投資家の考え方がそれぞれ違うのは当たり前かもしれません。未来の予想が当たる時もあれば、外れる時もあります。
 
外れても、大きな損失をしなければ、損切りで得たお金を次なる投資の資金にすることができます。大きな損失をしないためには適正株価を知っておくことが重要です。
 
普段買い物をする場合、頭の中で商品が安いか高いか判断すると思います。もし、高いと思う商品ばかり購入し続ければ、生活費がすぐになくなります。
 
株式にも同じことがいえます。適正株価を知っていれば、株価が安いか高いか判断でき、高いと思えば買うのを控えればよいのです。

基準株価から適正株価を導く

図2は参考指標から適正株価を導く工程を示したものです。

図2 基準株価から適正株価を導く工程

左側の参考指標から基準株価を算出します。例えば、参考指標を3つ使うと、少なくても3つの基準株価が算出されます。3つの基準株価を分析して、適正株価を導きます。
 
投資家によって、参考指標の使い方、分析方法の違いが出るので、適正株価は投資家によって多少の違いがあります。株式投資が生活の一部という人であれば、参考指標を自分で作ったり、独自の分析方法を創り出す人もいます。
 
今回は図3のようにPERとPBRの有名な2つの参考指標を分析して適正株価を導きます。

図3 PERとPBRの基準株価を分析して適正株価を導く

この方法を知るだけでも、株式投資は十分できますが、基準株価を増やしたり、分析の条件を細分化することで、適正株価の精度を高めることもできます。

PERとPBRから適正株価を導く方法

株式を3つの成長性によって分けてみます。外部要因によって、業績が悪くなる期もあるので、5年~10年程度の期間で成長率を見るようにします。
ただし、存続性の疑われるような赤字体質の銘柄は除外します。
 
①高成長株‥‥年平均で純利益がインフレ率の10倍以上増える株
②安定成長株‥‥高成長株と低成長株の間(どの区分に属するか分からない場合はこの区分にする)
③低成長株‥‥年平均で純利益がインフレ率程度しか増えない株
 
株価は未来の成長予想も含まれるため、同じ規模の低成長株と高成長株を比べると、高成長株の方が株価は高くなります。すなわち、高成長株、安定成長株、低成長株の適正株価の見方に違いがあります。
 
図2は縦軸に株価を現したものです。通常目にするのは横軸に時間を含めた図ですが、ここでは時間軸に触れずに株価のみで考えます。

図2 縦軸を株価にした図

黒丸は買い、白丸は売りになっています。買いよりも売りの方が株価は上にあるので、買いよりも高い株価で売ったことになります。すなわち、利益確定売りの状態です。
 
次に、PER=15倍とPBR=1倍の割安基準株価と購入株価を3つのパターンで表してみます。
 
図2‐1のパターンAはPERとPBRの割安基準株価より高い株価で購入した場合です。

図2-1 パターンA

図2‐2のパターンBはPERとPBRのどちらかの割安基準株価より安い株価で購入した場合です。

図2-2 パターンB

図2‐3のパターンCはPERとPBRの割安基準株価より安い株価で購入した場合です。

図2-3 パターンC

高成長株、安定成長株、低成長株が図2のパターンに対して、適正株価はどこになるのか表1にまとめました。

表1 適正株価分析表

パターンAは高成長株は適正株価なので買っても良いです。安定成長株と低成長株は割高なので買うのは控えた方が良いです。
 
高成長株の場合、例えば、3年後に純利益が3倍になるとします。現在のPER=50倍だとしても、3年後はPERは1/3になるので、PER=約17倍と考えることができます。その後も業績が伸び続ければ、PERはさらに低くなると考えることができます。
 
ただし、高成長が続くという前提で株価が成り立っているので、高成長株から安定成長株あるいは低成長株に変わってしまったときには、株価が暴落するリスクがあります。
 
逆に、低成長株は業績の伸びが期待できないので、基本的にはPERとPBRも低いですが、株価が急上昇する期待は持てません。
 
ただ、高成長株と比べると先行投資をあまり行わないので、その分、配当が高めになる傾向があります。毎年、確実に配当を受け取りたいと思うのであれば、低成長株も魅力があります。
 
高成長株がハイリスク・ハイリターンに対して、低成長株はローリスク・ローリターンといえます。
 
株式投資をはじめたばかりの人であれば、安定成長株を割安(図2‐3のパータンC)で買うのがいいかもしれません。
 
買いたい銘柄が割高であっても、株価は色々な思惑で動くので、待っていると割安な株価になることがよくあります。焦らず、株価の動向を見守るのも損失リスクを軽減させる方法だといえます。

次回は実際の会社を例題として適正株価を導いてみます。


=つづく=



次回は入門編7/7:適正株価の具体例


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