相場格言・・・って書いたものの ◇其の拾捌「見切り千両」
相場格言「見切り千両」
【みきりせんりょう】
<意味>
思惑が外れて含み損になっている銘柄は早く見切りをつけて損切りしたほうがよい。そうすれば、損を大きくすることはなく、いつまでも値下がりした株を持ち続けるような効率の悪いことを避けられること。
<思うこと>
株式投資では思惑が外れたら、損切りして、得た資金で有望株を買うようにすると、効率の良い資産運用ができます。
例えば、図1のようにA株、B株、C株をそれぞれ20万円保有したとします。保有資産は60万円になります。(わかりやすくするために、売買手数料や税金などが含まれないとします。)
それぞれの会社の決算発表後、図2のようにA株は35万円に増え、B株とC株は15万円に減りました。しかし、保有資産は65万円に増えました。
決算内容を見て、C株は思惑が外れ、B株は過小評価されていると判断しました。B株とC株は含み損が同じですが、B株の株価は一時的な下落と判断したため継続保有とします。その結果、C株だけ損切りします。すなわち、「見切り千両」です。(図3)
C株を売却した現金15万円はB株を買い増しするか、他の有望株を買う等します。
見切り千両で注意することは思惑にしっかりとした根拠がないといけません。株価が落ちたからという単純な理由で損切りすると、その後、株価が戻るようなことがあります。
見切り千両というと相場だけの話のように思われるかもしれませんが、普段の生活でもよくやっていることです。
嫌な仕事に見切りをつけて、新しい仕事に就く転職も見切り千両といえると思います。
<相場格言と全然関係ない経験談>
自分も転職経験があります。新卒で内定をもらったときに「嫌な会社でも3年ぐらいは働こう」と決めていました。なぜかというと、3年ぐらいいれば、自分の仕事と会社の組織がどのようになっているのか理解でき、転職先を探すのに役立つと思ったからです。
新卒の頃は勤務経験がないので、業務内容だけで選んで、電気関係の会社に入社しました。結構、ブラック企業で定時になっても、帰ろうとする社員はいなかったですし、先輩や上司も忙しく、「仕事は自分で覚えろ」みたいな会社でした。
正直、一ヶ月も経たないうちに、憂鬱な気分になりました。ただ、仕事を覚えれば、自分のペースで仕事ができるのではないかと思い、早く仕事を覚えようと目的を持つようになりました。
仕事でミスしても「先輩や上司が教えてくれないから自分の責任ではない」と心の中で責任転嫁をして、仕事を覚えていきました。
仕事を覚えると、入社間もないころに比べて、楽になりましたが、残業、休日出勤しなければ終わらない仕事量だったので、転職をしようと決めました。
3年ぐらいを目途と考えていましたが、英語があまり話せないのに外資系の会社に出向するはめになり、出向して時間がたたないうちにやめるのはできないと思い、実際は4年半勤務しました。
ただ、この時の経験は大きく、転職の面接では面接官が何を望んでいるのかわかっているので、積極的に自己アピールすることができ、転職はすぐにできました。
転職先では会社が残業時間を管理していていたので、前の会社と比べて、適切な仕事量で、精神的に楽になり、見切りをつけて、転職してよかったと思っています。
<人間関係の見切りをつける才能を持つ小池百合子>
普段の生活でもよくやっている見切り千両ですが、人間関係の見切りは相手がいることなので、できればやりたくありません。
ただ、人間関係の見切りをうまく使い、女性初の東京都知事になった小池百合子は真似したくありませんが、才能があると思います。
彼女はアラビア語がほとんど話せないのに、エジプトのカイロ大学を卒業したことになっています。この経歴を武器に本を出版したり、キャスターとなります。一躍、時の人となり、そして政治家になります。
彼女は時の権力者に近づいて、権力が落ちると、見切りをつけ、次なる権力者に近づいていきます。そのため、過去の所属政党は日本新党、新進党、自由党、保守党、自民党、希望の党、都民ファーストの会などなど、政界の渡り鳥といわれています。
安倍晋三元首相が安倍晋三回顧録で小池百合子を以下のように語っています。
上昇志向だけが生きがいなので、総理大臣も狙っているという話もあります。
ただ、彼女に見切りをつけられて、憎しみを抱く人はたくさんいます。歳を重ねるにつれて、敵を増やしているのに、70歳を過ぎた彼女の人生の中で下降した時期がないのは、人間の見切りの才能がとてもあるのでしょう。
安倍晋三回顧録には以下のようなことも語っています。
敵を戦意喪失させる力もあるようです。見切り千両の話なので小池百合子の話はここまでにしますが、上昇志向だけで政界に居座られるのも、日本国民にとってはマイナス面が大きいような気がします。
-おわり-
「おまけ」です。
人間の見切りのすごさと上昇志向のみで生きている小池百合子のことがよくわかる「女帝 小池百合子」を紹介します。
小池百合子の生い立ちから都知事までのノンフィクション本です。メディアで見る彼女とは別人のように感じてしまいます。
あと、本文でも紹介した「安倍晋三回顧録」は安倍晋三元首相が生前、首相時代のことをインタビュー形式でまとめた本です。政治の話が中心ですので、政治に関心がある方はオススメします。
-本当のおわり-