相場格言・・・って書いたものの ◇其の拾参「下手なナンピンすかんぴん」
相場格言「下手なナンピンすかんぴん」
【へたななんぴんすかんぴん】
<意味>
下手にナンピン買いをしてしまうと、損の上積みになってしまうこと。
<思うこと>
表1は株価が2000円の時に100株を購入して、株価が100円下がるたびに100株買い増した時(ナンピン買い)とナンピン買いしない時の平均購入単価と含み損をまとめたものです。
ナンピン買いをした時は株価が1600円になると保有株数が500株になります。平均購入単価は1800円ですので、株価が1800円以上になれば利益になります。株価が戻ればナンピン買いは成功といえますが、株価が戻らなければ、含み損が10万円になります。
ナンピン買いをしない時は株価が1600円になっても保有株数は100株のままなので、平均購入単価は2000円のままです。株価が2000円以上でなければ利益になりませんが、株価が戻らなければ、含み損は4万円となり、ナンピン買いをした時と比べると、含み損は6万円少ないことになります。
ナンピン買いをすると保有株数が増えるため、株価が上がれば含み損を取り戻すのも早くなりますが、逆に株価が下落した時には含み損が大きくなります。
自分が株式投資を始めて間もないころは直近の株価ばかり見ていて、株価が下落したら、ナンピン買いをしまくり、百万円を超える損をしたことがあります。まさに、「下手なナンピンすかんぴん」をしてしまいました。
今は自分なりの適正株価を算出して、割高感がなければナンピン買いをします。ただ、会社の業績に関係なく株価は変動することもあるので、あらかじめ、ナンピン買いしても良い上限の株数を決めています。
例えば、上限を500株と決めたら、500株保有したところでナンピン買いをやめます。ほかにも、損切りする株価を決めて、ナンピン買いをする投資家もいます。
ナンピン買いのリスクを理解して、対処法がわかっていれば、ナンピン買いはよく使う投資方法です。
ただ、下手なナンピン買いをよくしてしまう人の多くは株式投資よりもお金の方に興味が向きます。株式投資に興味を持てば、優れた企業を選定し、適正株価よりも安い時に買います。その結果としてお金が得られると考えれば、下手なナンピン買いは減ると思います。
どんなことでも興味を持つことは上手になるための一歩です。また、興味を持つことで、幅広い知識を得ることもあります。
<相場格言と全然関係ない経験談>
自分は子供のころ、電気、動物、昆虫、植物などに興味を持っていた理系人間でした。大学は工学部だったので、文系科目の授業はほとんどありませんでしたが、小学校から高校までは多くの文系科目の授業を受けなければいけないのがイヤでした。その気持ちと比例するかのように特に高校時代の文系科目のテストの点数はよくありませんでした。
ただ、日本史で「特定の時代」だけは高得点を取っていました。歴史上の人物に興味を持ったわけでなく、大河ドラマが好きだったわけではありません。
その理由は手塚治虫の「火の鳥」が好きで何度も読んでいくうちに、日本史の一部を覚えてしまったからです。
ちなみに、火の鳥は図1のように編で分かれており、編ごとに主人公や物語が違います(他にもギリシャ編、エジプト編、ローマ編などがありますが、物語の筋が違うので例外とします)。共通していることは血を飲めば永遠の命を得られる火の鳥が登場することです。
各編はそれぞれ完結しているので、一つの編だけを読んでも楽しめますが、全編読むと、物語に繋がりがあることがわかり、より楽しめます。また、人類最後の時を迎えた「未来編」の最後は再び、人類が誕生し、「黎明編」につながっているため、時代がループしている構成になっています。
図1の発表順を見てもらうとわかりますが、過去→未来→過去→未来→・・と発表されながら現代に近づいています。生前、手塚治虫は「死ぬ直前に現代編を描いて終わらせたい」と言っていました。
この構成を見ても、とても重厚な物語だとわかると思います。過去の時代では歴史上の人物や事件などが物語の下地になっているので、知らないうちに日本史の勉強をしていました。だからといって、ノンフィクションではないので、日本史の教科書通りではありませんが、高得点を取るには十分な内容でした。
ただ、火の鳥で描かれている時代はごく一部であり、「羽衣編」や「異形編」のような短編では歴史的背景はほとんど描かれていないので、日本史でいつも高得点がとれるわけではありませんでした。
漫画が好きだから覚えたのかと思い、「マンガ日本の歴史」を読みましたが、日本史に興味を持つことができませんでした。火の鳥という漫画に興味を持って、ついでに日本史も覚えたんだと思います。
興味がなくても覚えてしまうのはなぜ起きるのか?
「星の王子さま」の作者であるサン=テグジュペリの名言にヒントがあるような気がします。
人に何かをさせるときには「やり方」を言うのではなく、「興味を持たせること」を言えばよいと自分は解釈しました。
「やり方」は歴史の教科書、「興味を持たせること」は火の鳥だと思ったりしました。まあ、火の鳥は歴史だけでなく、未来もあるので、とても幅広いです。その作者である手塚治虫は漫画の神様だとつくづく思います。
-おわり-
「おまけ」です。
自分の性格からして、火の鳥に関することを書いて、そのまま紹介することはしたくないのですが、あえて火の鳥を紹介します。
なぜかというと、出版社によって、火の鳥の内容が違うからです。手塚治虫ファンであればご存じだと思いますが、雑誌からコミックにするときに、手塚治虫は再編集します。次に新装版などで再出版されるとまた再編集します。
再編集の量は他の漫画家と比べてもかなり多いです。主要なキャラクターが再編集されるといないことになっていることもあります。手塚治虫が亡くなっているので、今後の再出版本では再編集はないと思いますが、火の鳥が再出版された当時は手塚治虫も存命でしたので、だいぶ再編集されました。
2018年頃に発売された角川文庫版は読んでいませんが、それ以前の角川版は短く編集されている話もあるので、「火の鳥 朝日ソノラマ版(現・朝日新聞出版)」の方がオススメです。
再編集に関して興味があれば「手塚治虫の奇妙な資料」を読んでみると、どのぐらい再編集しているのかよくわかります。
-本当のおわり-
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