~~株式投資の我流説明~~ その11:基本編2/4 中長期的な投資方法
リスクを考えた株式保有方法
株式投資のリスクには以下の2つがあることを説明しました。
【リスク1】経済全体の不透明感による株価下落
【リスク2】会社の業績悪化による株価下落
このようなリスクは未来に起こることなので、完全に回避することはできませんが、リスクを軽減させる対策はできます。
【リスク1の対策:短期的に必要とする現金を証券口座に預けない】
経済全体の不透明感による株価の大暴落が起こった時に株価が戻るまでに時間がかかります。また、短期的な株価の変動は企業価値を無視した動きになることがあります。
会社によっては将来の投資を優先することで、数年間はあまり業績が上がらない時期があります。
証券口座に預けている現金を引き出さないといけない時に株価の底であれば、損切りすることで、大きな損失になります。
そのようなことが起こらないように、10年程度の定期預金だと思って、現金を証券口座に預けるようにした方が良いです。
【リスク2の対策:分散投資】
今は優良企業といわれても、数年後に業績がガラリと変わることがあります。どんなに期待できると思う会社であっても、将来何がおこるか分からないので、一つの銘柄だけ保有するのではなく、いくつもの銘柄を保有した方が良いです。
同じ業種の銘柄だけ保有すると、その業種の市場規模が縮小すると、保有銘柄全ての株価が下がる可能性があるので、業種も分散するほうがより分散投資の効果が出ます。
投資スタイル
長期的には株価は上がりますが、株価の上昇率は銘柄によって、違いがあります。成長性の違いを分けたものが表1になります。
投資の対象としては高成長株、安定成長株、低成長株になります。投資家のリスク許容度によって、選び方が違います。
【高成長株】
会社の成長性がかなり高いので、株価の上昇率は高いです。投資家の成長期待が高い分、株価は現在の企業価値より高めです。投資家が高成長の期待が持てなくなると、株価が暴落するリスクがあります。高成長を維持するために先行投資を行うため、株主還元には消極的です。
高成長は永続的に続きません。高成長の限界を見極めるのは経験豊富な投資家でも難しいです。
【安定成長株】
安定的な成長をしているので、株価の上昇率はある程度あります。高成長株と比べると先行投資が少ない分、株主還元も行います。
成長と株主還元が両立できているので、中長期で保有すれば、リスクはそれほど高くはありません。
【低成長株】
会社の成長性がほとんどないので、株価の上昇率は低いです。投資家の成長期待が低いので、株価は現在の企業価値より低い傾向があります。そのため、株価が暴落するリスクは低いです。先行投資をあまりしないため、株主還元には積極的です。
10年以上保有する気持ちでいれば、リスクは低いです。なぜならば、高配当銘柄が多いからです。
例えば、配当利回りが5%であれば、非課税のNISAで保有すると20年間配当額が維持されれば、株式の購入金額と同じになります。
最近では株主優待でクオカードなどの商品券がもらえる会社が増えています。配当と商品券の金額を合わせると、利回りはもっと高くなるので、結構早く元がとれます。
【期待株】
事業拡大のための先行投資が大きいため、赤字体質になっています。将来的には売り上げが伸び、投資額が減少することで、黒字化になる計画になっています。
将来、何が起こるかわかりません。それは会社の問題だけでなく、経済全体が悪くなる時期もあります。大手企業でさえ予期せぬ有事が起これば、黒字予想をしても、一転赤字に転落することもあります。
期待株は計画を実現することが必須です。計画通りに進まないと会社の継続性に疑いが生じるので、大暴落するリスクがあります。
将来性が見えにくい分、短期的な株価の変動が大きいため、短期型のテクニカル分析を得意とする投資家にとっては注目されます。
期待株は夢がありますが、夢が現実になるのは簡単なことではありません。宝くじを買うような気持ちで購入するのであればよいと思います。
中長期的な投資方法
中長期的にはインフレによって株価は上がるので、数十年後の未来を考えた時に、なくならないと思う会社を選ぶことです。
株式投資は保有銘柄の損益を合わせた結果、利益になっていればよいのです。将来何が起こるかわかりません。保有銘柄の中には会社の継続性が疑われる銘柄になることがあります。その時は損切りすることで、その資金を有望株の購入資金に充てればよいのです。
このような作業を繰り返していくことが中長期的な投資方法になるわけです。次は例を使って中長期的な投資方法を説明します。
A株、B株、C株をそれぞれ20万円保有したとします。保有資産は60万円になります。リスクを減らすため分散投資を心がけています。(図1)
わかりやすくするために、売買手数料や税金などが含まれないとします。
一定期間後、A株は35万円に増え、B株とC株は15万円に減りました(損失はグレーで色分けしています)。しかし、保有資産は65万円に増えました。(図2)
個々の銘柄に一喜一憂せずに保有資産が増えればうまくいっていると考えてよいでしょう。
それぞれの会社の決算発表後、C株は会社の継続性に疑いが生じる銘柄であることがわかりました。
B株とC株は含み損が同じですが、B株は一時的な業績悪化であり、株価が戻ると判断したため継続保有とします。その結果、C株だけ損切りします。(図3)
C株は損切りしたので現金が15万円になります。そこで、有望株のD株を購入したいのですが、D株は20万円なので、現金が5万円足りません。(図4)
証券口座に5万円入金すれば済むことですが、短期的に必要とするお金であれば、リスクを伴うので、現在の保有資産からやりくりします。
保有しているA株とB株はD株より有望であれば、D株の購入は諦めます。D株の方が有望であれば、A株かB株のどちらかを売却します。個別銘柄の損益ではなく、保有資産が増えることが一番重要なので、含み益や含み損ではなく、どちらが有望銘柄か考えて売却を決めます。
A株を売却したときの保有株式は図5、B株を売却したときの保有株式は図6になります。
以上のことが中長期的な投資方法になります。実際には色々なパターンがあり、保有資産が含み損になることはよくあります。ただ、短期的な株価に惑わされず、長期保有を徹底すれば、保有資産は戻ってきます。
会社の継続性に疑いが生じる銘柄は損切りすることをいいました。では、損切りの判断はどのようにして考えるのか次回で説明します。
=つづく=
次回は基本編3/4:損切りの判断
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