カミカリスマに関する考察
ここ数日、Xやスレッズ等のSNSでカミカリスマの話題が上がってますね。
今まで全く興味がなかったのですが凄く盛り上がっているようだったので調べてみました。
独断と偏見での記載ですのでご容赦ください。言論の自由!
■カミカリスマとは?
カミカリスマについてググってみると、以下のような説明がされていました。
「日本の美容技術を世界に発信するガイドブック」
カミカリスマは、日本の美容技術を世界に発信するガイドブックであり、すぐれたサロン・スタイリストを紹介するものです。政府などの後押しも受けて2019年に第一回目が開催されて、2024年まで毎年開催されています。

カミカリスマは、「全国53万人の美容師」「25万軒の美容室」の頂点ともいえる 「日本のスタイリスト」 「日本のヘアサロン」を選出しています。



7つの視点から総合的に審査が行われ、その基準をクリアした美容師・美容室をベストオブ髪カリスマとして選出しています。

美容師個人受賞を表す指標として、
「ハサミ」をイメージしたマークを使用しています。

美容室受賞を表す指標には、「サロン・メニュー」をイメージしたマークを使用しています。是非サイトで受賞美容師、サロンをご覧下さい。
■受賞スタイリスト/受賞サロン
受賞スタイリストを見たところ、そうそうたるメンツ!!
日本を代表する顔ぶれでした。
受賞サロンを見たところ、知らないところも正直ありましたが基本的には有名店が多くラインナップされていました。
超有名店ではDABやLECOがないのは気になりましたが。。
では、どのような点が巷で問題視されているのでしょうか?
スレッズで見た内容や個人的見解に基づき以下3つにまとめました。
■問題点
①評価基準が不明
SNS上で、これが一番コメントとして多いようです。評価基準が不明、曖昧。
前述の通り、
”専属の総合審査員たちが 合計7項目を「カミカリスマ」の選定基準とし、数値化した正当な評価で選出”
とあります。
しかし、スタイリストを数値化した資料は発表されていません。
そもそも全国52万人の美容師、25万軒の美容室を数値化して審査することは不可能かなと思います。
有名どころの美容師の中から正当に評価とすると”有名”の定義が気になるところですし、
サロンで言うと業界では超有名店のDABがない!カラー部門にLECOがない!とか気になるところがありますね。
②実質的に単独の会社が運営し利益を得ている
運営団体は、インベート株式会社というところのようです。
設立は2019年と比較的まだ若い会社で代表者は冬廣應尚さん。
関連会社は、2社あって株式会社インテンスとイフイング株式会社です。
インテンス社は、ディーラーさんですね。代表は同じく冬廣さん。
イフイング社は、メーカーさんですね。TOKIOがとても有名です。代表はこちらも同じく冬廣さん。
これらはグループ会社としてメーカー、ディーラー、イベントやオンライン等という役割毎に会社を分けているようです。
ただ実質的には、同じ会社で本社の住所も同じ!場所はGINZA SIX…すご。
本イベントは、インベード社が単独で開催していますがバックには関連会社のインテンス社とイフイング社がいる構図となります。
この場合、何が問題になるかというと、受賞者と利害関係が発生する団体が実質的に単独で開催している点ですね。
ここについて少しだけ深堀りします。
「ミシュランガイドとの違い」

上記のようにカミカリスマはよくフランスのミシュランガイドと比較されることがあります。
しかし、主催者である「ミシュラン社」と「食」の関係性とカミカリスマの主催者である「インベード社」と「美容」の関係性には大きな違いがあります。
皆さん、そもそもミシュラン社って何の会社か知ってますか?
タイヤの会社です。
パリ万博が行われた1900年、これから車社会が発展することが見込まれる中、ミシュラン社は自動車旅行がさらに活発化するように「ミシュランガイド」の発行を開始したと言われています。
もともとは、郵便局やガソリンスタンドなどの地図だったのですが、時の経過とともに星1~3までで有名料理店を評価する仕組みに変わっていったようです。
タイヤの会社と料理屋って利害関係の距離が遠いですよね?
色んな料理屋が繁盛してそこにいくために車の利用量が増えて、タイヤが沢山売れるとタイヤ屋は繁盛します。しかしどこの料理屋が星を獲得してもタイヤ屋のメリットは変わらないです。
山の中やへき地のタイヤがすり減りそうな遠方料理屋が軒並み星をゲットしていたら確かにむむ?となるかもしれませんが、、
それでもタイヤ屋はミシュラン社以外にも沢山ありミシュランのタイヤでなければ行けないわけでもないですしやはり直接的な利益はほとんどないといえます。
一方で、「インベード社」と「美容」を見てみましょう。
インベード社は、TOKIOの製造メーカーであるイフイング社の関連会社です。
TOKIOは、トリートメントなので美容室で直接消費される商材となります。
そのため、ミシュラン社と料理屋と比較して利害関係の距離感が近すぎます。
ここが問題点であると言えます。
実際はそんなことはなくてもTOKIOを仕入れたら受賞しやすいだったり、もう1つの関連会社であるディーラーのインテンス社と取引が多いと受賞されやすいだったりどうしても言われてしまいます。。
会社側が変な言いがかりややめろ!と言っても利害関係が近すぎるので、、
こればっかりは避けられないかと。。
ちょっと気になったので、2024年のサロン部門1冠~3冠を獲得しているサロン取り扱いトリートメントを調査してみました。
※2025年版はまだまとめサイトがなかったので2024年版で調査
※ザーッと調べたのでどこか間違ってたらすみません
※不明のところはブランク
※美容師は多すぎたので無理

だだだだいぶ偏りが、、、トリートメント部門はほぼTOKIO、、
まあ、実際ものが良いのでしょうけど、、
もうこれ以上言及はしません!
また、インベード社はカミカリスマの開催から、KAMISMAX(カミスマックス)という事業に展開しています。
KAMISMAX(カミスマックス)とは、世界最高レベルの技術力をもつカミカリスマ美容師の実力を世界に発信する、唯一無二のストリーミング動画配信サービスとのことだそうです。
このような事業に繋げること自体は全く問題ないです。
ただ、カミカリスマは、公正な評価に基づいている、政治家も巻き込んで「日本の美容技術を世界に発信する」といったきれいな建前からの流れを考えるとちょっと微妙なところではあります。
結局、うまいこと仕組みを作った会社が利益持っていってるだけやんとも思いますね。
③政治家の関与
カミカリスマの特徴として、国会議員の政治家が表彰に参加していることが挙げられます。
アワードに権威性を持たせる点では政治家による表彰はプラスですね。
また、政治家側としてもメリットがあると思います。高齢者には認知されていても逆に若者に認知されていない政治家は大勢います。
そんな中で、数十万人もフォロワーを抱える人気美容師がSNSで自分を拡散してくれるなんて、、政治家にとっても願ってもないイベントだと思います。
ただ、1社の単独イベントに政治家ががっつり入っている点は気になりますね。
1社の利益獲得に繋がる活動にさすがに国家予算は入っていないと思いますが、トップクラスの政治家が何人も関与しているのが異様に思えます。。
「インバウンド需要に向けたニーズ拡大」「日本の美容技術を世界に発信する」するために我々政治家も協力します!ということだときれいに聞こえます。
が、
見方をかえると「1事業会社の利益獲得のために著名な政治家が大手を広げて協力している」ともいえ違和感を感じてしまいます。
このように1社の利益に繋がるイベントに政治家がここまで協力しているアワードは日本中の色んな業界のものを見ても他に類をみないです。
(私が知らないだけかもですが。。)
主催会社は、かなりパワーを持っているのでしょうか?
いずれにせよ、政治家が1ディーラーにここまで肩入れして利益獲得の手助けをしているということは、相対的に他のディーラーの利益を毀損させている可能性もあるともいえます。
そのへん、わかっているのでしょうか??
そういえば今年の賞で、カミカリスマを「カミカマシマ」って言ってた議員さんいましたね笑
なんの賞か、本当にわかっているのでしょうか??
■他の表彰と比較する
では他業界のアワード系のイベントはどんな感じなのでしょうか?
上記問題点のうち、①評価方法と②利害関係の観点でちょっとだけ調べてみました。
「東京国際映画際」
東京国際映画祭とは、毎年10月から11月にかけて東京都で開催される映画祭。公益財団法人ユニジャパンが主催する国際映画製作者連盟 (FIAPF) 公認の国際映画祭であり、アジア最大級の映画祭となっているイベントのことです。
ミッションは
”東京から映画の可能性を発信し、多様な世界との交流に貢献する。”
主催:公益財団法人ユニジャパン(東京国際映画祭実行委員会)
①評価方法:審査委員長を含む、国際審査委員5名によって選ばれます。
評価者が誰か明らかにされていて、大御所の方々なので信頼性は高いと思います。
もちろん100%フェアな評価ができるかと言われると難しいかもですが、それでも5名の著名映画監督等の評価者による評価ということで一定の公正性は保たれていると思います。
②利害関係:
業界の大手の東宝、東映、KADOKAWA、DENTSUなどのそうそうたる顔ぶれの人たちで構成されている。
利益は分散されていて少なくとも特定の会社が独り勝ちはしないような構造となっているといえます。
以上のような仕組みから東京国際映画祭のミッションである東京から映画の可能性を発信し、多様な世界との交流に貢献するために業界全体で企画し発展しようとしていると言われてもある程度の納得感があります。
「ミシュランガイド」
あらためまして、ミシュランガイドについてみてみます。
主催:ミシュラン社
①評価方法:ミシュランの社員である覆面調査員が評価する。
掲載の決定は携わった全ての調査員とその国のディレクター、そしてインターナショナル・ディレクターとの協議に基づきます。 特に最高評価については国際的な基準に沿って慎重に検討を重ねます。
覆面調査員なので、評価は不透明です。
また、1社での単独実施のため公正性にも疑問が残ります。
②利害関係:ミシュラン社単独
利害関係としてはミシュラン社単独となります。
ただ前述のように本業はタイヤ屋なので利害関係は希薄。
「うちのタイヤ使ってくれたら☆をあげますよ」なんてあまり想像できないですよね笑
「M1グランプリ」
今週にせまったM1グランプリ2024。毎年楽しみに見ています。
個人的には2005年のブラマヨがベストヒット。皆さんも好みによってベストヒットはそれぞれあると思います。評価するの難しいですよね。
①評価方法:8名程度の審査員によって点数つけ。公開されている。
好みはあるものの8名程度の重鎮の合議体で公開評価。一定程度の公平性はあるといえる。
生放送で視聴者も証人となる点もプラス。
面白くても時代を先取りしすぎるとすべって評価は低くなるが、基本的にまっとうな評価方法かなと思います。
②利害関係:吉本興業が中心
運営は吉本なので吉本に利権が入るのだろうと思います。
ただ、他の事務所の出場者がいた場合は普通に考えて他の事務所(芸人)にも一定の利益は入るのではないかと推察しています。
以上のように他のアワードは①評価方法・②利害関係の両方、或いは少なくとも片方で一定の第三者性が担保されていると思います。
言い換えると①評価方法・②利害関係両方とも問題アリとはなっていないです。
ビジネスとしては大変優秀なアイディア
なんとなくカミカリスマアンチみたいな書きぶりになってますが、ビジネスとしては大変優秀だと思っています。
政治家をも巻き込み権威あるアワードを作り、そのアワードに自社の製品を絡める大変優秀なビジネス戦略だと思います。
且つその後動画の自社サービスにも繋げている点も凄い。
さらに、業界への貢献度で見ても権威あるアワードを作ることで、美容師のモチベーションの維持・向上に貢献しているという観点◎
一方で、上記で上げた通り、①評価方法と②利害関係の両面に問題点があるため極めて不自然なアワードであるといえます。
■まとめ
繰り返しになりますがここ数年かけて築き上げてきたカミカリスマは1事業会社のビジネス戦略としては本当に凄いと思います。社長は天才だと思います!
他方、巷で騒がれているような上記のような問題点があるのも事実。
カミカリスマをモチベーションに頑張りつつも、重きを置きすぎず、あくまでも目の前のお客様を大切にしていく方がいいのではないのかなと個人的には思っております。偉そうにすみません(__)
■おまけ
ドタキャンされて時間ができたので、どうすればこのような騒動が起きないかもう少し考えてみました。
①主催者が割り切る(オススメ度☆)
数値化して正当に評価とか7つの評価基準とかカッコつけずに、
割り切って「TOKIOのメーカーが主催の賞です!皆さん、どういうことかわかってますよね?」としてしまった方がまだいいのではないでしょうか?
某格闘技イベントの時のようにアワードの会場もTOKIOってデカデカと宣伝してしまった方が自然な気がします。
変に第三者的な立ち位置を取ろうとするのが微妙なところなのかなと思いますね。
まあそれが戦略・ブランディングなのでしょうがちょっと荒いかと...
②他のディーラーも美容師が目指すアワードを作ってはどうでしょうか?(オススメ度☆☆)
他のディーラーもカミカリスマのような美容師が目指すアワードを作って、ボクシングのように色んな団体の王者がいてもいいのではないでしょうか?
ボクシングは同じ階級でも色んな団体があってそれぞれにチャンピオンがいますよね?
それと同じノリで、他の大手ディーラーも各自賞を作りましょう。
各メーカーに協賛してもらって商品の告知の場にしてもいいのではないかと思います。
政治家はもちろん特定のディーラー主催のイベントのみに肩入れしないと思いますので
日本の美容業界の発展のためならそれぞれのイベントに協力してくれると思いますよ!
個人的にオススメの賞の名前は「カミカマシマ」
噛んで、「カミカリスマ」って言ってくれないかな!笑
③東京国際映画祭のように業界団体が主催するのがいいのでは?(オススメ度☆☆☆)
一番オススメなのは、ディーラー業界全体で美容師やサロンの評価団体を作って表彰する!
東京国際映画祭スタイルです。
ディーラーは日本のサロンビジネスで特に特徴的な立ち位置で日本全国津々浦々のサロンがディーラーとやり取りしています。
そのような日本中の美容室を熟知しているディーラーの多く所属している全美商連という団体があります。
そこが主催となって、美容師、サロンを評価するのがいいのではないでしょうか?
その方が1社単独での開催より公正で利害関係に偏りがない客観的にみんな納得感のあるようなアワードに近づくのではないかなと思います。
評価の仕方は色々あると思いますが、東京国際映画祭と同じく業界の重鎮数名での評価やメーカーやディーラーが実施しているトレビやドリプラといったコンテストをポイント制にしてその総合点で表彰するのも面白いかもです!
今、この記事を書きながらパッと思い浮かんだ案を3つくらい書いてみました。
もちろん他にもいろいろとあると思います。
というかそもそもジャンルやコンセプト、スタイルが千差万別の美容師を☆で評価する必要なくないか...?(実はこれがおすすめ度☆☆☆☆の案かも)
今回の騒動をきっかけに是非、皆さんも色々考えてみていただけると嬉しいです。
日本の美容は世界に誇れるものであることは間違いないと思います。
偉そうにすみません(__)
日本の美容業界の益々の健全な発展を祈願します!!