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不動産財務モデル①:はじめに

財務モデルと聞けば基本的には企業への投資するための財務モデルをイメージする方が多く、LBOモデルについては日本語の教材も英語のものに比べて少ないとはいえ、色々な方が解説資料を出しており、かなり一般的になってきたように感じている。

モデリングテストを行っても、LBOモデルは何となく形にできる人がそれなりに増えてきており、少し前のBSをバランスさせることができません、という人が大半だった時代に比べるとLBOモデル/財務モデルが比較的一般化してきたと思われる。

しかし不動産の財務モデルは、不動産投資が日本ではとても活発であるのにも関わらず、日本語の教材がほとんど見つからない。恐らく不動産財務モデルの方が、LBOモデルよりも必要となる人はたくさんいるはずである。

外資系不動産ファンドにて勤務する方は必ず必要となり、それ以外にも事業会社で不動産投資を行う方、不動産仲介の方、不動産ファンドの組成を生業とする方、自分自身で不動産投資をやろうとする方などなど、PEファンドのみが必要とするLBOモデルに比べて不動産投資のすそ野は広く、不動産財務モデルのニーズは非常に高いはずだと考えている。

ただ実際は、不動産財務モデルの日本語の教材はほとんど見つからず、私自身も実務で使う不動産モデルについては、英語の教材やグローバルの標準モデルを基に、少しずつ自分で考えながら改善を重ねて、ようやく個人的な標準モデルを作り上げることができた。(もちろん改善点はまだまだたくさんある)

しかし最初はそもそもどのように不動産財務モデルを構築するべきかわからず、英語の教材と実際の実務で必要とされる知識があまりにも違いすぎること、日本とアメリカや海外で必要となる情報が異なること等から最初の方の案件ではとてもとても苦労した。

もう一つの問題点として、統一されたフォーマット的なものが存在せず、会社間での独自の構造(ただし中身は結局同じ)をガラパゴス型に発展させているため、せっかくサードパーティAMの方がモデルを作成し、共有してくれたとしても、そのままでは使いづらく、結局自分たちでモデルを作り直すことが往々にして存在していた。

ファーム別にみると、外資系不動産PEファンドにいる方は元々IBD出身の方が多く、財務モデルは構造や計算ロジック含め比較的洗練されている印象である一方、IBD出身者以外のもともと不動産畑におり、エクセルを生業としてこなかった方のモデルを見ると、ベースのお作法のところから統一されておらず、きれいな情報のフローをしていないケースが多い印象である。

モデルは作って終わりではなく、ICや投資期間中のレポーティング用としてずっと引き継がれるように使われるが、ICやレポーティングする際、それを意識して作られたモデルでなければ、手戻りやその都度無駄な作業が発生したり、ICメモの準備にとてつもない時間が必要となり、ただでさえ寝不足なのにさらに睡眠時間が減ることになるだろう。

少しとりとめがなくなってきたが、今回このnoteを執筆する目的はこれらの問題点をベースに以下の3点に集約される。

・不動産投資業界に足を踏み入れる方へ網羅的で詳細な財務モデルの構築スキルを身に着けてもらうこと
・モデルの構造やフォーマット、お作法等統一すべき点を統一できるようにすること
・実際に”使える”モデルを作れるようになること

不動産財務モデルは企業の財務モデルと比較し、構造は簡単であるものの、シナリオは企業モデルより複雑になることが多く、今回最初に触れるのはまずは超超超基礎な安定した1つの賃貸住宅を取得することを検討するモデルである。

今後発展版として少しずつ複雑なモデルの解説を込めていきたいが、まず最初としては最も単純な事例を使いながらどのように数字を作っていくのか、数字の裏にはどのようなロジックがあるのか、までを解説して行きたい。

今回のnoteの対象はこれから不動産PEファンドに入っていきたい人やIBDでの不動産カバレッジを目指す方はもちろん、不動産投資に少しでも興味のある方や不動産投資を生業とされている方としている。
これが日本における不動産財務モデルのある種のスタンダードを構成する一助になればとてもうれしい。

では少しずつ公開していこう。

今回は以下の架空の物件を例にとっていく。

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不動産財務モデルの構築方法を解説します

外資系不動産ファンドでのモデリングテスト対策

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