EBITDAの弱点
EBITDAはIBDの現場でもPEファンドの現場でもかなりよく参照される指標である。EBITDAとはその名前の通り、利払い・税金・減価償却を考慮しない利益である。
そもそもなぜ参照されることが多いのかというと、①利子を支払う前の利益であるため、資本構成の影響を受けない、②各国の税制によって大きく異なる税金を考慮しないため、国のシステムによる歪みの影響を受けない、そして③減価償却費は実際の現金の流出を伴わない費用のため、会計上の営業利益よりもキャッシュに近い利益指標である、ということがあげられる。
要は簡易的にCFに近似した指標を使えないか?ということで作り出された指標というわけである。
一方で、EBITDAは本当に適切な指標であるかはかなり懐疑的とする見方も根強くある。今回はある種万能の指標であるとみられがちなEBITDAについて、その弱点を考察していく。
ちなみに考察は2段階となっており、①EBITDA自体の弱点はどのようなものがあげられるか、②EV/EBITDAマルチプルはどのような弱点があるか、を考察していきたい。
EBITDA自体の弱点
まずはEBITDA自体として提示されているのは、減価償却の影響を控除するのはそもそも正しいのか?という視点である。
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