ほとんど検索にかからないマイナーな本です。
参考になった文章を紹介します。
※無一物中無尽蔵:人は何も持たずに生まれ、何も持たずに死んでゆく。すなわち、何もないことは無限にあるということである
『時間が時間を感じさせないまでに透明化された』に私は共感しました。
「つれづれの境地」の最終点は、止まった時間であり時間の流れの消滅では無いでしょうか?
兼好(鎌倉時代末1280~1350年頃)の生きた時代は、現代ほどではないが人々はすでに慌ただしく生きていた。
忙しく生活する日常からドロップアウトし、半隠居生活を送った兼好。
俗世間(群衆)の富や地位や名誉を巡る争いから逃れ、独り自分と向き合う。
それによって心が浄化されたのではないでしょうか?
俗世間(群衆)から離れたからこそ、見えてくるものがきっとあると思います。
『明日がない、今の後がないということが身に沁(し)みてわかるのは、自らの「ただ今の一念」において、死を逃れられぬ現実として自覚したときである。』
戦争がない平和な日本では、死が遠い存在になっています。
日本人の多くは、平均年齢の80~90歳まで生きて当たり前と思っています。
その常識的な人生観が、「ただ今の一念」の尊さを見失う原因になっていると思います。