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朝の虫は、おだやかだ。

今朝から、朝の散歩を始めた。

きっかけは、旅行である。長岡の花火を見るために一泊二日の旅行に出かけたのだが、二日目の自分のダメっぷりにショックを受けたのだ。せっかく酒造に行っても酒なんて全く飲みたい気持ちにならないし、移動中も車酔いで本当に吐くかと思った。

私と夫は「90代まで仲良く長生き」を目指している。ところがこれでは90代どころか、60歳になった時にしっかり歩けているかすら怪しい。

そういうわけで、喫緊の課題が、体力づくりというわけだ。

我が家の周辺は不思議な場所で、家の目の前は幹線道路なのであるが、裏に入ると畑や謎の緑地のような場所がたくさん残っている。オニヤンマまで飛んでいる。意外と自然豊かな場所なのかもしれない。

駅徒歩数分でこんなところがある(首都圏の割と都会です)

その畑やら緑地らしきところまで、早足で歩いていく。この辺のコースは、夕方夫とよくうろついているのだが、畑の目の前まで来たときに気づいたことがある。

虫が、おだやかなのだ。

夕方に同じ場所を歩いていると、セミがぶつかってきたり、大きめのハチがすごい勢いで向かってきたり、細かい虫の大群に阻まれたり、トンボの数も半端ない。チョウですら、優雅さのかけらもないスピードでこちらに猛進してきてギョッとする。
荒ぶった虫に出くわすたびに「ぎゃー」とか「うゎっ」などと叫び、オーバーなリアクションでよけたりするものだから、夫は毎回うんざりしている模様である。

しかし、朝の虫はちがう。

私にぶつかってくるやつなんていないし、細かい虫も見かけない。ハチは低めの高さでのんびりと通り過ぎ、トンボは数匹、チョウの優雅さで舞っている。

セミの声が夏らしく耳に響く中、おだやかな虫たちが出迎える中歩くのはとても心地よかった。

ところで、なぜ朝と夕方でこうも虫の振る舞いが違うのであろうか。

虫は、光の影響を受けやすいという。
人の目ではわからない蛍光灯の点滅を、虫は1秒に240回点滅しているように感じる、という記事を見かけた。一方で、赤外線は感知しにくいらしい。

暗くなってくると、街灯や家の灯りに翻弄されて、動きが荒くなるのだろうか。または単純に、暗いせいで障害物が見えなくてぶつかってくるのだろうか。虫の体内時計が、夕方になると活発に動き回るようプログラムされているんだろうか。はたまた、夕方になると虫も疲れてイライラしてくるんだろうか。

夕方に湧き出る細かい虫、あれは「ユスリカ」というらしい。夕方に活動する習性のようで、大群になっているのはオスが交尾のためにメスに見つけてもらう目的であると、フマキラーのサイトに書いてあった。

ユスリカが大群になっている状態を「蚊柱」と呼び、俳句だと夏の季語になる。私が「ぎゃー」と言いながらユスリカを追い払っている一方、俳人は一句詠んだりしているのだ。

虫を忌み嫌わず作品に生かすような、心の余裕と感性を身につけたいものである。

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