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あいみょんの名曲「憧れてきたんだ」レビュー ~偉大な先駆者への熱い想い~

あいみょん、と聴いて、多くの人が思い浮かべるのは「マリーゴールド」のポップで爽やかなイメージだろう。
YouTubeのMVは、2020年5月時点で約1億8千万再生。超大ヒット曲だ。

しかし、あいみょんの実像は、おそらく2017年に発売となったメジャーデビューアルバム『青春のエキサイトメント』に最も出ている。

文学作品では、デビュー作に作家の本質が詰まっている、と評されることが多い。
音楽作品でもまた、デビュー作にシンガーソングライターの本質が詰まっているのである。

そして、私があいみょんのデビューアルバム1曲目の「憧れてきたんだ」を頻繁に聴くようになったのは、この記事を読んでからだ。

あいみょんがCHAGE and ASKAを好きらしい、という噂は、以前から知っていたのだが、インタビューではっきりと「影響されて新しい音楽が生まれてきた」と語ってくれたのが嬉しかった。

この「憧れてきたんだ」は、あいみょんが子供の頃から憧れてきたスターへのリスペクトで構成されている。

こんな才能あふれる人たちに影響されて、今の自分が作られたんだよ。
1曲目のこの曲でそう前置きして、2曲目以降で、影響されて出来た楽曲群を聴かせていくという編成だ。

「憧れてきたんだ」は、シンプルな構成だ。Aメロとサビ、そして楽器も、アコースティックギターとドラム。
歌唱も、想いをぶつけるように、少々の音割れも気にせず、力強く歌い上げる。
「マリーゴールド」とは、打って変わって、ロックな歌いっぷりなのだ。

1番では、亡くなったロックスター、メジャーを辞めたシンガーソングライターを歌う。
メジャーを辞めたシンガーソングライターは、上記で紹介した記事の中で、ASKAだと分かる。
亡くなったロックスターは、プリンスだろうか。

2番では、姿を見なくなったスーパーエンターテイナーと、ナイスガイなアクターを歌う。
スーパーエンターテイナーは、島田紳助だろうか。アクターは、押尾学だろうか。

ASKA以外は、いったい誰なのか確証がとれないので、いろいろと想像してしまう。

いろんな才能を吸収して作られたシンガーソングライターがあいみょんなんだよ。
そして、そんな才能溢れる人たちが1回の過ちで表舞台から消されてしまうのは、大きな損失だよ。

そんな主張の歌である。

この曲を聴けば、「マリーゴールド」のあいみょんが、「憧れてきたんだ」では、才能ある先駆者へのリスペクトと、そんな先駆者を潰そうとする世間への批判を、強いメッセージとして放っていることに驚くはずだ。

あいみょんというシンガーソングライターの本質は、「憧れてきたんだ」にある。

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