桃太郎の掛軸
吉田初三郎を始めとした、桃太郎を描き犬山にまつわる掛軸を紹介します。
吉田初三郎
鳥瞰図絵師、吉田初三郎の描く桃太郎図3軸。
日本一桃太郎會規約(昭和5年)には、會員の特典に特別記念品として會長吉田初三郎先生肉筆絹本尺五掛軸を贈呈致しますとあります。
②の軸は、日本一の旗に桃太郎會と書き込まれており、記念品として配布されたもの。画題は「日本一桃太郎の圖」。
①③は桃太郎會と書き込みがない。
椎松と三輪白露
日本魂の2軸、桃太郎神社に関わっていると想像させる以外、絵師、椎松と三輪白露についてはなにもわかっていません。
・左の軸、椎松
日本一桃太郎本社と書かれ印もおされている。
昭和4年神社完成するも、公的に神社として認められなかったため、桃太郎本社と名乗っていたといわれている。翌5年には手続きをして神社として公認されたが、以降も桃太郎本社の名前が神社の標柱や印刷物に使われていることが確認されている。
・右の軸、三輪白露
画題「日本一桃太郎尊像」贈 昭和十年十月一日
桃太郎神社と書かれているが印は桃太郎本社のもの。
絵は吉田初三郎描く桃太郎図に酷似(写しか)
巌谷小波
巌谷小波は明治期から昭和初期に活躍した児童文学者、俳人。
桃太郎は、小波の「日本昔噺」で再生され、以後、私たちの知っている標準的な桃太郎話となったとされている。
自ら開拓したお伽噺の世界を俳画の世界に融合させ、「お伽俳画」という世界を創り上げた。
昭和4年犬山で結成された「日本一桃太郎会」の顧問となり、発会式で講演もした。
軸に書かれた「鬼に打つ 礫や桃の 大いなる」は、桃太郎神社の句碑にもなっている。
参考にした資料
「日本一桃太郎會規約」日本一桃太郎會 1930年
「巌谷小波おとぎの世界」金成妍 九龍堂 2020年