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ピアノの温度。 〜まよなかのひっそりピアノ 第五夜〜

ピアノの音って涼しいとおもう。

なんでそうなるんだろう。
と、ひとつ鍵盤を弾いてみる。

ギターのように弦をはじくのでもなく、
バイオリンのように弦をこするのでもなく、
ピアノは弦を叩いて音がでるから、鳴った瞬間は少し硬いかんじになる。
この硬いかんじが、つめたいつるつるの石みたいで、ひんやりする。

ひとつの音は鳴ったとたん、響きを残してすぐに消えていく。
他の楽器と違って、ずっと鳴らし続けることはできない。
この消えていくかんじが、すうと過ぎていく風みたいで、ひんやりする。

こんなふうに、ピアノの音はひんやりしてる。
石のようにひんやりしてる。
風のようにひんやりしてる。

だから、涼しいんだとおもう。

まよなかのひっそりピアノ、今回は第五夜。
ひっそり聴いてね。

明日もいい日になりますように。








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