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皐月賞展望(トライアルふりかえり)

はじめに

桜花賞トライアルに続き、皐月賞のトライアルも終了しました。今回は若葉SとスプリングSのふりかえりをすると同時に、皐月賞の展望までしていきます。

先に結論から言いますと、トライアルで印象を残した馬はデシエルトです。しかし、皐月賞当確というほどではなく、現時点では勝ち馬は直行組から出ると考えています。

なお、若葉Sのデシエルトも、スプリングSのビーアストニッシドも、このあとグラフで見ていきますが、緩みのないラップで逃げて勝利しました。こういったスピード持続力に長けた馬が複数出てくるということは、本番でも速い流れになる可能性が高くなりました。

それを踏まえて、本番の有力馬としては、まずはキラーアビリティを挙げます。皐月賞と同じ舞台かつ淀みない展開となったホープフルSで、前で競馬をして勝ち切っており、実力・経験とともに申し分ありません。反対に、各所で評判のイクイノックスは、スローの上り勝負しか経験していない弱みがあり、それを覆して勝てるほどの器なのかが試されます。

関連する回顧ノートは以下になります。弥生賞の回顧で皐月賞のラップグラフも載せていますので、今回の若葉S、スプリングSのラップグラフと比較してみてください。

ホープフルSの回顧はこちら
→ ホープフルS レース感想と追い切り評価の答え合わせ

弥生賞の回顧はこちら
→ 弥生賞 ふりかえり

若葉S ラップグラフ

[条件]
阪神芝2000

[集計対象]
2012~2021年 若葉S 10戦

[グラフの見方]
赤:10戦のうちRPCIが小さい3戦の平均
紫:10戦すべての平均ラップ
青:10戦のうちRPCIが大きい3戦の平均
緑:今回のラップ

[タイム・ラップ・RPCI]
赤:2:01.3(35.8-36.0)RPCI51.5
紫:2:01.2(35.6-35.6)RPCI53.0
青:2:00.1(36.1-34.7)RPCI55.5
緑:2:00.2(36.5-35.3)RPCI53.1

[分析]
・RPCI51.5~55.5とミドル~ややスロー
・直近3年の平均RPCIは55.3と青のグラフに近い
・ラスト3Fの瞬発力勝負

[狙いどころ]
・出走頭数が少なくスロー必至
・逃げ馬

若葉S ふりかえり

今年の若葉SはRPCI53.1とスロー寄りのミドルペースとなり、ハナを切ったデシエルトが悠々と逃げ切りました。RPCI53.1というのは、10年平均(紫のグラフ)のRPCI53.0と近いですが、レース内容がだいぶ異なることに注目です。

10年平均のラップは、道中グッと緩ませています。後半のペースアップに備え、スタミナを残すような内容だといえます。

ところが、デシエルトが刻んだペース(緑のグラフ)は、通常4F目で溜めを作るところ、むしろ軽くペースアップし、さらに7F目から一気に加速してロングスパート戦に持ち込みました。テン3Fが遅いという批判はできますが、全体としては、スタミナが余るようにコントロールされた逃げではなく、後続の脚を潰すような攻撃的な逃げで、実際それで勝っているわけですから、本番の皐月賞においても展開のカギを握る存在だと思います。

スプリングS ラップグラフ

[条件]
中山芝1800

[集計対象]
2012~2021年 スプリングS 10戦

[グラフの見方]
赤:10戦のうちRPCIが小さい3戦の平均
紫:10戦すべての平均ラップ
青:10戦のうちRPCIが大きい3戦の平均
緑:今回のラップ

[タイム・ラップ・RPCI]
赤:1:48.2(36.0-36.3)RPCI49.0
紫:1:49.0(36.5-35.8)RPCI52.2
青:1:49.9(37.2-35.1)RPCI56.6
緑:1:48.4(36.7-35.3)RPCI53.5

[分析]
・RPCI49.0~56.6とミドル~スロー
・たまにスローになるがおおむねミドル寄り
・スピード持続力を問われる

[狙いどころ]
・逃げ、追い込みが決まりづらい
・好位~中団から抜け出し
・そこそこ荒れる

スプリングS ふりかえり

今年のスプリングSは、RPCI53.5とスロー寄りのミドルペースとなり、逃げたビーアストニッシドが、アライバルの追撃をハナ差凌いで勝利しました。ただ、逃げのビーアストニッシドが1番枠、番手のアライバルが12番枠ですから、枠順の差ということは言えると思います。

道中のペースは、紫のグラフ(10年平均)に近いものの、ラスト3Fの切れ味は青のグラフ(相対的にスロー)並みと優秀です。ビーアストニッシドとアライバルの2頭は、「ここ10年の勝ち馬の平均レベルよりは上」と考えてあげてよいかもしれません。

それでも印象が弱い理由としては、ラスト4Fからロングスパートをかけたデシエルトのラップの非凡さが目立つ一方、ビーアストニッシドは10年平均(紫のグラフ)と同じような展開で走り、ラップそのものは平凡だからです。

とはいえ、持続的なラップを自ら作って逃げ切ったという点で、ビーアストニッシドは本番に繋がるレースだったと思いますし、それに食らいついたアライバルも無視できる存在ではありません。

皐月賞展望

スプリングS(中山芝1800)から
ビーアストニッシド  アライバル  サトノヘリオス

若葉S(阪神芝2000)から
デシエルト  ヴェローナシチー

弥生賞(中山芝2000)から
アスクビクターモア  ドウデュース  ボーンディスウェイ
マテンロウレオ  ラーグルフ

共同通信杯(東京芝1800)から
ダノンベルーガ  ジオグリフ

きさらぎ賞(中京芝2000)から
ダンテスビュー

京成杯(中山芝2000)から
オニャンコポン

ホープフルS(中山芝2000)から
キラーアビリティ  ジャスティンパレス

東スポ杯2歳S(東京芝1800)から
イクイノックス

アライバル、ヴェローナシチー、ダノンベルーガあたりは、実際に出走するか未定です。ラーグルフ、ダンテスビューは賞金不足で出られないかもしれません。また、毎日杯(阪神芝1800)から皐月賞に回る馬もいる可能性があり、まだまだ流動的です。毎日杯はコマンドライン、ドゥラドーレス、リアド、テンダンスといった評判馬・実力馬が多数出走するため、賞金加算を賭けて熾烈な戦いとなることまちがいなく、とても楽しみです。

皐月賞の最有力は、同舞台のホープフルSで強い勝ち方をした2歳王者・キラーアビリティです。すでに実力の証明は済んでおり、本番ではそれを再現できるかどうかでしょう。速い流れになりそうなところもこの馬には追い風です。勝ち切れるかどうかはもちろん相手次第ですが、大崩れはしなさそうで、軸に据えるには最適だと考えています。

前例のないローテで皐月賞に挑むイクイノックスは、「シンプルに怪物かどうかを信じられるかどうか」で取捨が決まると思います。才能が努力(経験)を凌駕する瞬間に立ち会うことは、残酷なことにどのスポーツでも高揚するもので、信じる方は全力で買った方がいいです。ラップ適性を予想の中心に据えている自分からすると、現時点で買う要素はゼロですが、最終的には追いきりを見て決めます。ジャックドールみたいに、調教で怪物ぶりが垣間見られるようならいいですね。

もう1頭の2歳王者・ドウデュースは、トライアルでは弥生賞に出走し、2着でした。叩き初戦でしたし、不利もありましたので、負けそのものは気にしていません。しかし、弥生賞のレースの質が、本番で想定されるものとまったく異なることから、せっかく同じ舞台で開催されたものの、経験が活きそうもないのが懸念です。とはいえ、弥生賞の回顧でも触れましたが、ドウデュースは競走馬としての総合力が抜けていますので、力は出しきってくれるはずです。

トライアル組からは、若葉Sを非凡なラップで逃げ切ったデシエルトに注目していますし、ホープフルSで5着、弥生賞で3着、本番でも多分人気にならないであろうボーンディスウェイは妙味を感じます。

直行組からは、ホープフルSでキラーアビリティに敗れたものの、0.2差なら十分巻き返せるジャスティンパレス。京成杯では差す競馬に転向して新味を見せたオニャンコポンあたりも気になります。

ダノンベルーガはダービー向き、ヴェローナシチーは菊花賞向きかな、と考えています。

現時点で買いたい馬を挙げると、キラーアビリティとドウデュースの2歳王者2頭に加え、中山で切れを見せたオニャンコポン、底を見せていないデシエルトという感じです。

ところで、桜花賞と違って、皐月賞はPOG指名馬の出走がありません。リューベックやレッドベルアームが、クラシックに乗って来ると期待していたので残念です。

トップ画像について

「皐月」賞の展望ということで、となりのトトロのメイの写真としました。サツキではいい感じの画像がなかったので。。。フォトギャラリーに画像を提供していただいた、すぴー様に感謝します。


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