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阪神JF 2021 ふりかえり

1 レース概要

(グラフの見方)
緑:今回のラップ
赤:過去10戦のうち、ラスト3Fの時計が遅い3戦の平均
紫:過去10戦すべての平均ラップ
青:過去10戦のうち、ラスト3Fの時計が速い3戦の平均

阪神JF2021結果

緑 タイム1:33.8 ラップ34.1-34.8 RPCI51.7
赤 タイム1:34.2 ラップ34.4-35.9 RPCI47.4
紫 タイム1:34.0 ラップ34.7-35.2 RPCI50.2
青 タイム1:34.1 ラップ35.3-34.5 RPCI53.7

今年の阪神JFは、RPCI的にはミドルペースですが、テンと終いが速く中盤が遅い流れとなり、瞬発力を問われるレースだったといえます。勝ったサークルオブライフは、後方から馬場の良い外側を上り2位で差し切っており、アルテミスSで見せた末脚が本物であることを証明しました。

2 サークルオブライフ 1着

スタート普通に出て、序盤を馬なりに進めて後方集団にポジションを取りました。デムーロ騎手は、人気馬をマークして自らの腕で負かしに行くような騎乗が多いのですが、今回は他馬の動きをまったく気にせず、馬場がいいとはいえ距離ロスのある外を終始回るエスコートで、サークルオブライフの力を信じているように見えました。実際、大外から追い始めると、同じような位置取りの馬とは末脚の勢いが違い、グングン伸びて危なげなく差し切りました。

ここ3戦、マイルを使って追走に遅れがちでしたので、こうしてG1を獲っても、なお距離が短いんじゃないかと思わせるだけの大物感があり、桜花賞だけでなくオークスまで期待がかかります。国枝厩舎だけに、ダービー出走もあるかもしれません。春が楽しみです。

父エピファネイアは、この世代から早くもG1馬が生まれました。活躍馬は総じて切れ味とパワーを兼ね備えたハイブリッドなタイプが多い印象です。これから日本競馬を支えていく大種牡馬になっていくことでしょう。

3 ラブリイユアアイズ 2着

スタート普通に出て、馬なりに前へ進んでいきましたが、内と外から挟まれて首を上げたところはかわいそうでした。それでもリズムを崩すことなく追走したところに、この馬の精神的なタフさを見ました。直線では馬場が荒れていないギリギリのラインを走り、若手の団野騎手、会心の騎乗だったと思いますが、勝ち馬の決め手にやられた形です。

血統的には父が安田記念を勝ったロゴタイプということで、やはりマイル前後が良さそうです。桜花賞でも引き続き注目したいです。それにしても父父ローエングリンとは懐かしい。種牡馬になっていたんですね。ロゴタイプが一子相伝という感じで血を繋いでいるので、ラブリイユアアイズの活躍でもっと肌馬を集めて、牡馬の大物を見てみたいです。

プールヴィルの再評価をしたときにラブリイユアアイズの名前を挙げていましたし、穴を空けるなら2勝馬に注意、とずっと思っていたのですが、もともと小柄な牝馬がマイナス10キロで出てきたので買えませんでした。穴党としては当てなければいけない馬です。

3 その他短評

ウォーターナビレラ 3着
パドックで一番よく見えた馬がウォーターナビレラでした。好位から進めて一時は先頭に立ちましたが、そこから決め手に欠け3着でした。正直ノーマークだったので、順当に強くてかえって驚きました。ただ、それだけに勝ち馬とはだいぶ差がありそうです。

ナミュール 4着
最後まで取捨を悩んだのがこの馬です。ただ、マイナス10キロを反映して、パドックでは素人目にも細く見えました。そのせいかレースでは大きく出遅れ。しかし荒れた内を通りながら4着ですので、勝ち馬以外では1番強い競馬をしました。体を戻して春が楽しみな1頭です。

ナムラクレア 5着
予想したとおり中団に控えての競馬で、上り4位で5着という結果は、距離不安を指摘されていたわりには、良く走れていたと思います。スプリント路線は古馬になってからでも行けますので、桜花賞~NHKマイルと、来春まではマイルで楽しませてくれることでしょう。

ベルクレスタ 6着
道中は勝ち馬の後ろを追走していたのですが、先に仕掛けて直線早めに前に出たのは、持続力で2着に粘ったアルテミスSの結果を考えれば当然と思います。しかしそこから押し切るには、大外を回った距離ロスが響きました。G1ではワンパンチ足りなそうではありますが、騎手の指示に従ってポジションを上げられる操縦性の高さを見せ、このまま終わる馬とは思えません。

ステルナティーア 7着
道中ぶつけられて怪我をしながら7着なら、むしろよくやった方です。マイナス10キロでも馬体は細く感じず、アクシデントがなければ掲示板には載れたかもしれません。まずは怪我をしっかりと治して、クラシックを沸かせてほしいです。

4 香港での活躍馬について

このノートを書き始める直前に、香港スプリントで多重落馬事故が起こり、福永騎手とピクシーナイトが巻き込まれたのを目の当たりにして、たいへん動揺しました。その後の続報で、人馬共にひとまず最悪の事態は免れたとのことで、ほっとしました。

グローリーヴェイズ 香港ヴァーズ 1着
日本のG2でくすぶっていたとは思えない見事な末脚で、2年ぶりの戴冠を達成しました。これで種牡馬としての魅力が大きくアップしたのではないでしょうか。無事に種牡馬になれれば、メジロの牝系を持つ種牡馬としてはモーリス以来でしょうか。グローリーヴェイズの来年の動向が伝わってきませんが、来年はさすがに7歳ですし、需要があるなら種牡馬になってほしいです。

ヒシイグアス 香港カップ 2着
単勝を握りしめていたので、直線抜け出したあと、アナウンサーがヒシイグアスの名前を連呼し、香港のレースでは一番興奮しました。最後にラヴズオンリーユーに差し返されましたが、G1級といわれてきた潜在能力の一端を垣間見せた直線でした。ハーツクライのサイアーラインが残るか微妙なところですので、この馬にも種牡馬入りを目指してもらうべく、来年どこかでG1を制覇してほしいです。

ラヴズオンリーユー 香港カップ 1着
グランアレグリア、コントレイルに続き、海外を転戦した女傑が有終の美を飾りました。一度は差されたのに、それから闘志をたぎらせて差し返す勝負根性が素晴らしく、さすがにアメリカの芝を制覇した当代一流牝馬の走りでした。

超一流の血が凝縮された血統で、配合相手が何になるか気になるところですが、無難にSSの4×3となるエピファネイアが初年度でしょう。それとモーリスでもSSの4×3ができます。カナロアはストームキャットが3×3で、ゴルシとオルフェはSSの3×3でクロスがきつい。ドレフォンだとストームキャットの4×3です。もしフランケルならノーザンダンサーの4×5×5と、だいぶ血が薄まります。しかも血統にサドラーとデインヒルも入り、ワールドワイドな名血馬が誕生します。というわけでタニノフランケルで!種付け料もフランケルの100分1以下と、かなりお得!

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