
エリザベス女王杯 2021 穴馬さがし
1 過去10戦のラップ分析
阪神芝2200で行われた重賞から、2020年のエリザベス女王杯・2021年の京都記念・2014年から2021年の宝塚記念、を抽出し合計10戦としました。
(グラフの見方)
赤:過去10戦のうち、ラスト3Fの時計が遅い3戦の平均
紫:過去10戦すべての平均ラップ
青:過去10戦のうち、ラスト3Fの時計が速い3戦の平均
赤 タイム2:12.6 ラップ34.6-36.5 RPCI48.7
紫 タイム2:12.0 ラップ35.2-35.6 RPCI51.5
青 タイム2:11:9 ラップ35.3-34.8 RPCI54.6
阪神芝2200の重賞は、赤のグラフ(上りのかかる展開)のように一定のラップを刻むワンペース戦から、青のグラフ(上りの速い展開)のようにラスト4Fから仕掛けが始まるロングスパート戦となるようです。どちらにしてもスタミナの裏付けが必要で、末脚の鋭さよりはスピードを維持し続けるタフさを要求されるレースといえます。
また、中山芝2200で開催されたオールカマーは、競馬場は異なりますが距離は同じで、直線が短くゴール前に登り坂があるところが阪神芝2200と似ていますので、直近の参考レースとしては重要なファクターだと思います。今回のグラフに、オールカマー(緑のグラフ)のグラフを乗せたものが以下になります。
2 狙いどころ
勝ち馬のイメージとしては、好位につくことができ、スピード持続力に長ける馬です。前走や血統から探って行きます。
G1ですので波乱はあまり起きませんが、穴党の視点から言えば、上り3Fの瞬発力勝負で負けて評価を落としている馬が狙いです。今回想定されるようなタフな展開で好走しているとなおいいです。
また、何かのはずみで上位人気馬が総崩れとなった場合、直線一気に賭ける馬が馬券内に飛び込んでくることがありますので、人気薄であれば上りの速い馬も検討したいところです。
3 ◎ ウインキートス
前走オールカマーでは、内枠スタートでウインマリリンに前を取られてしまい、距離ロスはないものの位置取りの差が響いて2着でした。しかし、ウインマリリンは不調が伝えられる一方、ウインキートスは順調そのものと言ってよく、今回の力関係でいえば五分だと判断します。
今回は外枠に入りましたので、多少スタートで遅れてもポジションを押し上げるだけのスペースがあります。出走馬の脚質は前から後ろまでほどよくバラけていることから、極端な展開になることは考えづらいです。そのため、すんなりと好位につくことができるはずで、上位人気馬を内に見ながらレースを進め、あとは馬の力を信じるだけという、わかりやすい競馬ができるはずです。
G1は初挑戦となりますが、馬体重プラス18キロで出走した札幌記念、大きな不利のあった日経賞を除けば、ここまですべて掲示板に載っていますので、ムラのかたまりだった父ゴールドシップと対照的に、堅実に力を発揮できるタイプです。また、牝馬ながらにずっと2000m以上の中長距離路線を走っている点も、阪神芝2200という今回の舞台では生きることと思います。
人馬ともに初のG1制覇を果たし、丹内騎手からウインキートスに向けての「ありがとう」の声を聞きたいものです。
4 〇 ウインマリリン
前走オールカマーでは、直線で行く気になっていたところで進路がなくなり、ブレーキがかかって首が上がりましたが、わずかに開いた1頭分のスペースをめがけ、加速して、体をねじ込んで、突き放す、格の違う走りで完勝しました。
調整過程が順調ではなかったことから評価を落としましたが、万全なら確勝級の器ですので、不調だからと切れる馬ではありません。多少なりとも人気が落ちるなら、かえっておいしいとすら言えます。その意味では、敵は自分だけといった状況でしょう。
5 ▲ アカイトリノムスメ
春のうちは芯が入り切っていない印象があり、それでも桜花賞4着、オークス2着と、クラシックで結果を残しました。夏を挟み、前走秋華賞では好位抜け出しの王道競馬で勝利し、いよいよ本格化の兆しを見せ始めています。
夏の条件戦、秋の重賞戦線の結果を見るかぎり、今年の3歳は牡牝ともにレベルが高く、その中でG1を獲ったアカイトリノムスメが、古馬に初挑戦とはいえ、引けを取るとは思えません。秋華賞では他馬を圧倒するパフォーマンスを見せたわけではありませんが、むしろ同世代のレベルの高さと捉えることができますし、前目につけて堅実に走れるこの馬の能力は、秋華賞に続いてここでも適性が向くと思われます。
6 △ クラヴェル
人気どころ3頭に印をつけたので、1頭くらいは穴馬を狙います。主な勝ち鞍は2勝クラスのままではありますが、直近3戦はすべて重賞に参戦し、今回の想定に似たロングスパート戦を、後方待機から直線だけの競馬で馬券内に飛び込んできています。相手強化ではありますが、実績上位馬が揃って先行勢ですから、前で潰しあい脱落する馬が出てくるようなら、後ろからクラヴェルに食われる可能性は十分にありえます。
鞍上の横山典弘騎手が、ウインマリリンに乗る横山武史騎手を眺めないで、直線全力に追ってくれれば、頭まで突き抜けるかもしれません。
7 注 レイパパレ
オールカマーでは、距離が長かったり1番人気でマークが集中したりとマイナス要素が多い中、大崩れせずに4着まで粘ったあたり、改めてその強さを実感したレースでした。今回は乗り替わりとはいえルメール騎手ですし、怖い存在ではあります。しかし最内枠が気になり、この評価としました。
好位より前で折り合えるなら勝ち負けですが、前走は番手でかかるそぶりを見せていましたので、現状2200mは長いのだと思います。スタートは速い馬なので、ウインキートスのオールカマーのように内に押し込まれることはなさそうですが(押し込まれるようなら掲示板すら難しいかも)、番手にレイパパレがつくとして、その直後にはアカイトリノムスメ・ウインマリリン・ウインキートスと、人気どころが揃ってマークする形になりそうです。
強い馬ではありますが、そのような徹底マークを受けながら押し切れるほど、実力が抜けているとは思いません。
いいなと思ったら応援しよう!
