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天皇賞春 名ステイヤーに思いを馳せる日

ラップグラフ

[条件]
阪神芝3200

[集計対象]
2021 天皇賞春 1戦

この条件で開催された重賞は、過去10年では昨年の春天しかありません。それ以前は1994年の春天になりますが、古すぎるのでデータとしては拾いませんでした。ちなみに、その時の1着馬から5着馬まで挙げると、ビワハヤヒデナリタタイシン、ムッシュシェクル、ナイスネイチャマチカネタンホイザと、ウマ娘勢からすればそうそうたるメンバーです。ムッシュシェクルはウマ娘化されていませんが、ライスシャワーと同じリアルシャダイ産駒ですので、長距離で好走したのもうなずけます。

さて、今回はラップグラスを作ったものの、データが1戦しかないので参考にせず、別のアプローチで予想します。

ディープボンドとステイゴールド

この間の阪神大賞典の時は、予想ノートを書きませんでしたが、ツイッターでこんなことを言いました。

で、実際に1着ディープボンド、2着アイアンバローズ(オルフェ)、3着シルヴァーソニック(オルフェ)、4着マカオンドール(ゴルシ)と、4連単があったら見事的中していました(実際には3連単すら買っていない)。

今回も同じでいいかなと思っていましたが、メンバーを見るとステゴ系は阪神大賞典の3頭から7頭に増えており、そう簡単な話ではなくなっていました。やはりちゃんと考える必要があります。

突然ですがクイズです

 Q. 菊花賞・春天・宝塚記念を勝利し、
   競馬ファンに愛された芦毛のアイドルホースといえば?

かんたんですよね!
名前に「ル」と「シ」が入るあの名馬です!
答えは下にスクロールしてください。



















答え

 A. ヒシミラクル

ほら、ちゃんと「ル」と「シ」も入ってます。
誰ですか?名前に「ゴ」が入った馬を想像した方は。
アレは迷馬なんで、ヒシミラクルと一緒にしないでください。

天才と呼ばれた馬

ヒシミラクルの父は、「天才」と称されたサッカーボーイです。天性の絶対能力を持ちながら、激しい気性がそれを活かし切れず、現役時代はマイルG1をわずか2勝しただけでした。しかし、勝利した6レースでつけた着差は36馬身と1/2。なかにはG1ホースも含まれています。それだけ本領発揮したときの爆発力は凄まじいものがありました。漫画のウマ娘ではディクタストライカという名前で登場しています。

そんなサッカーボーイですが、マイルG1を勝利した自身の戦績とは裏腹に、産駒は切れに欠けるステイヤーばかり輩出しました。ヒシミラクル以外ではナリタトップロード(菊花賞)が代表産駒です。種牡馬としてのサッカーボーイは、サンデーサイレンスが黒船として襲来し、それまでになかったスピードと瞬発力を日本競馬に伝えた結果、サイアーラインを伸ばすことはできませんでした。

しかし、別の芽はすでに別のところに咲いていたのです。

ステイゴールドの成功

ステイゴールドの母ゴールデンサッシュは、周知の通りサッカーボーイの全妹にあたります。父サンデーサイレンスもとんでもなく気性が荒い馬ではありますが、狂気の馬・ステイゴールドの原因の半分は、間違いなく母方のサッカーボーイの系譜(なんならディクタスのせい)から来ています。

ステイゴールドは、サッカーボーイ自身がなしえなかった血の承継に成功しました。複数の産駒が種牡馬入りし、中にはオルフェーヴルやゴールドシップといった、日本競馬のアイコンとなる馬まで現れ、今では女人化してゴールデンウィークにスマホアプリのアイテムを配布するまでに至ります。ありがき幸せ。

話がそれてしまいました。そう、ステイゴールドの成功の根源に、サッカーボーイという1頭の天才がいたことを忘れてはなりません。

最後のステイヤー

ヒシミラクルは、サッカーボーイを父に持ち、母はシャーリーハイツを経由するミルリーフ系の牝馬でした。シャーリーハイツはこのところ注目している馬で、中山記念ふりかえりをくり返し取り上げているように、日本競馬に向くスタミナを補完すると考えています。つまり、ヒシミラクルはスタミナ系×スタミナ系というコテコテのステイヤー配合です。

タニノギムレット(ウォッカの父)がダービーを勝った日にやっと未勝利を脱出。それから菊花賞までの間に6戦と、今では信じられないローテを走り、しかし菊花賞の出走権を得ることができず、3/8という抽選をくぐりぬけての出走でした。

そして、10番人気の低評価を覆して菊花賞を勝利。翌年の春天も、7番人気ながら制しました。菊花賞がフロックではなかったことを証明すると同時に、メジロマックイーンやライスシャワーといった名ステイヤーの系譜に、名を連ねることになったのです。

その後、日本競馬はサンデーサイレンスの隆盛に入り、長距離軽視の傾向が強まって、ヒシミラクルを「最後のステイヤー」と呼ぶ人もいます。

ようやく春天の予想

しかし、サッカーボーイ(の全妹)とメジロマックイーンの血は、一度は下がった日本競馬の長距離の質を、もう一度上げていくように思えてなりません。今回、スタミナに優れたステゴ系の産駒が7頭も出走します。

また、ヒシミラクルにも流れるシャーリーハイツの血は、現在でもステイヤーのアクセントとして機能しており、出走馬にこれまた何頭かいます。

つまり、今回の春天の切り口は、「ヒシミラクルを探せ!」です。ラップとか調教とかはもう気にしません。見たいものはただ一つ。奇跡です。

◎タイトルホルダー

新時代のステイヤーを担うにふさわしいのが、「逃げ馬は長距離では勝てない」という前評判を覆し、菊花賞を逃げて勝ったタイトルホルダーです。しかし1度だけということなら、3000m以上の長距離を逃げて勝利した馬は何頭かおり、実はあてにならないジンクスでした。ただ、2度となるとちょっと思い出せません。当然、ノーマークだった前回と比べて難しいレースとなることは間違いなく、もし今回も逃げて勝利するようなら、まさにそれは「ミラクル」です。母系に流れるシャーリーハイツの血が、そっと後押ししてくれることでしょう。菊花賞馬として名ステイヤーの系譜を継ぐために、偉大な先輩たちが掲げた春の盾は、絶対に必要なトロフィーです。

〇クレッシェンドラヴ

前走は日経賞でタイトルホルダーに0.2差の4着。8歳馬ながらまだまだ走れるところを見せました。G3とはいえ2000mの重賞を2回勝てるスピードがありながら、ステゴ×サドラーにシャーリーハイツ持ちと、今まで春天に出なかったことが不思議なくらいの長距離血統です。高齢馬には厳しいといわれる長距離戦ですが、ようやく初参戦となりました。血統がもっともヒシミラクルに近いのはこの馬で、死してなお産駒が常識を次々と破っていくステイゴールドの実仔ですから、年齢で買えないとか言ってる場合ではありません。

▲タガノディアマンテ

もともとはステイヤーズSで2着になるくらいの才能豊かなステイヤーでしたが、屈腱炎の治療で1年休養し、今年から再始動しました。G3の中山金杯で4着、G2の京都記念で2着と、この春天を最大目標に据え、順調に調子を上げてきています。脚元を気遣ってコースを走らせられない分、念入りなプール調教でカバーしており、心肺機能は以前より高いと評判です。ちなみに、ヒシミラクルも怪我からの復帰を目指してプール調教をやらされましたが、全然泳げなかったため調教にならず、そのまま引退してしまいました。夢の続きを、ひっそりとタガノディアマンテに託します。

△マカオンドール

もっとも適性があると思われた菊花賞は、抽選に漏れてしまい惜しくも出走できませんでした。しかし3000mの万葉Sで勝利、阪神大賞典でも唯一後方から差し込んでの4着と、長距離適性の高さを発揮しました。マカオンドールの勝ち鞍のすべてに松山ジョッキーが騎乗しており、手が戻るという前進要素も見逃せません。3代前にサッカーボーイ(の全妹)とシャーリーハイツがおり、この馬もヒシミラクルの血に近いものがあります。芦毛というのもポイントが高いです。

買い目

単 勝 400円
 ◎ 400円
馬 連 300円
 ◎-〇▲△ 3点各100円
ワイド 200円
 ◎-〇▲ 2点各100円
3連複 300円
 ◎ー〇▲△ー〇▲△ 3点各100円
合計 1200円

今回は、これまでと趣向が全然違います。読みものとして楽しんでもらえれば幸いです。ただ、3月4月と的中がほぼありませんでしたから、かえってこのくらい切り口を変えたほうが、案外当たるかもしれません。長距離G1は楽しいです。

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