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出資馬紹介⑤ライネリーベ(ロスヴァイセ22)

はじめに

 クラブによっては23年産の募集が始まりましたが、22年産の出資馬の紹介がまだ2頭残っていました。バヌーシーの23年産の募集が始まる前に、さくっと書き上げてしまいます!

 今回はロスヴァイセ22ことライネリーベです。

 昨年のセレクトセールで、バヌーシーが税込6380万円で落札しました。半兄は同年の日本ダービーに出走し、レース中に心不全を発症して死亡したスキルヴィング。母もまた亡くなっており、ライネリーベはそのラストクロップになります。

 星になった兄と母の想いを継いで走ってほしい。こうした物語性というのは、馬そのものの競争能力にはまったく関係がないのはわかっていますが、出資する身からするとやはりこう、胸にグッと来るものがあります。ぜひ、がんばってほしいです。

 しかし、もちろんこの仔の良さはそれだけではありません。今回は、そんなライネリーベの魅力を紹介していきます!

名牝ソニンク

 ライネリーベの3代母は、ソニンクというイギリス出身の牝馬になります。彼女は日本競馬に高い適性を見せ、実子には2勝以上の実力馬が多数、重賞馬も出しました。孫の代では、ダービー馬ロジユニヴァースや秋華賞馬ディアドラといったG1馬まで誕生し、さらにひ孫の代(つまりライネリーベのように三代母がソニンクになる世代)になると、最近競馬ファンになった方にも馴染み深い、安田記念の勝ち馬ソングラインが現れました。

 このように、ソニンクを祖とする牝系からは多くの活躍馬が生まれ、今もなお繁栄を続けていることから、日本競馬を代表する優秀な牝系といえます。このファミリーラインからは、今後も新しいヒーローやヒロインが生まれるのは間違いなく、もしかすると、それがライネリーベかもしれません。

母ロスヴァイセ

 こうしたソニンクの系譜を継ぐ母ロスヴァイセも、現役時は3勝クラスまで上がり、繁殖としてはそれ以上に有能なところを見せました。初年度産駒のロイバルトは未出走引退でしたが、2番仔のヴァーンフリートは現在3勝クラスで奮闘中。3番仔のスキルヴィングは青葉賞を勝利(死んだのが本当に悔やまれます)。4番仔のジークルーネは新馬戦勝利と、デビューしたすべての産駒が活躍しています。

 しかもそれぞれ種牡馬が違いますから、ロスヴァイセ自身が高い競争能力を子供たちに伝えていたと考えられます。

 ライネリーベの父はサトノダイヤモンドということで、種牡馬としては社台スタリオンの期待に応えられず、2023年11月にからブリーダーズスタリオンに転厩しています。しかし、そんなこと気にならないくらい、母の繁殖能力そのものが高いと思っています。

素晴らしい歩様

 優秀なファミリーラインに属するライネリーベは、募集時の歩様動画からその才能のきらめきを見せていました。体重が400kgに満たないサイズの小ささは気になりましたが、後脚の踏み込みは力強いのに前脚のさばきは柔らかく、悠然とかつ滑らかに歩くその様子は、実際のサイズ以上に大きく見せる風格がありました。歩様の良さという点では、個人的にこの世代のバヌーシートップ3に入る逸材だと感じています(他2頭はオブシディアーナとエンジェルマーク)。

 さらに、年明けからグッと芯が入ってきたようです。例えば12月に撮影された動画内では、筋肉もつき切っておらず、幼さばかりが目に付く体つきでしたし、厩舎スタッフのコメントは「時間がかかる、長い目で見てもらえれば」というやや厳しめの評価でした。

 それが2月になると、体重そのものは増えないなかでも、馬体が引き締まり、速い時計を出すようになってから素質の片鱗を見せ始めたようで、厩舎長からは「思った以上にこちらのトライに応えてくれた、身体的に能力が高くて余裕があるのかも」と好感触の手応えに変わりました。

 それでも、上の動画内では、夏の間はまだ北海道で育成を続けるというニュアンスだったのですが、本日(2024/6/13)のバヌーシーの更新でビッグサプライズ。なんともう入厩が決まりました!!明日に移動とのことで保護者会は騒然。タイムラインは嬉しい悲鳴でいっぱいでした。

木村哲也調教師

 彼女を管理するのは、兄スキルヴィングと同じ木村哲也調教師です。イクイノックスも手掛けた日本を代表するトップトレーナーということで、何も言うことはありません。

 個人的に、木村調教師に抱いているイメージとしては、朴訥で職人気質な方だと思っています。あまり話をするのは得意ではない印象ですが、調教師という仕事柄コメントを求められると、苦手そうにしながら、そのたびにひとつひとつ言葉を探して丁寧に返答する姿に誠実さを感じました。だから、馬に対しても、きっと細やかで妥協しない方であろうと想像しています

 ライネリーベをお願いします!木村先生!

 美浦所属なので、応援しやすいのも地味に大事なポイントです。

繁殖としての未来

 デビューする前から、引退後の繁殖のことまで語るのは早計にすぎますが、ライネリーベについてはそこまで見据えて出資しています。

 ライネリーベは、テシオ理論的にはサトノダイヤモンドのゼロ活性産駒となっています。「ゼロ活性」のメリットは、インブリードの悪影響を回避できるとされています。

 例えば、ライネリーベをジャスティンミラノと配合したとき、2頭ともディープインパクトの孫にあたりますから、産駒にはディープの3×3という濃いクロスが成立します。こうなると、心や体のどこかに不健全さを抱えやすくなります。しかし、ライネリーベはサトノダイヤモンドから遡るインブリードの原因を「ゼロ活性」によって無効化することから、「ディープの3×3というクロスは存在しないのと一緒」と考えることができます。結果、血統表では濃いクロスに見えても、心身ともに健全な産駒となる可能性が高くなるという考え方です。

 テシオ理論自体を信用していない人もあり、自分もあまり鵜呑みにはしていません。ただ、それを抜きにしても、ソニンク牝系という優秀な家系の一族であることは、その繁殖能力の高さを十分に期待できるものです。ロスヴァイセの後継者としては、ライネリーベ以外では、キャロット所属のジークルーネしかいませんから、正直、ノーザンファームは良く外に出したものだなあと思っているくらいです。

 一口馬主を始めた2世代で牝馬には4頭出資していますが、その中でもライネリーベは”our blood”としてもっとも期待しています。いつか子孫から活躍馬が出たとき、「お前らは俺が育てた」って後方で腕組んでひとりうなずくんだ。

可愛い

 最後に重要な出資理由です。可愛い。ライネリーベはほんとうに可愛いです。最強すぎます。もともと同世代の馬と比べて、体型からして幼い感じを持っていたのですが、それが顔つきとなると愛くるしさが爆発しています!出資をガマンすることはとてもできなかった・・・。

展望

 競走馬としては、晩成気味で胴が長い中距離体型であることから、桜花賞よりは明確にオークス狙いですし、なんなら古馬になってからエリザベス女王杯を目指してもらえればと思っています。

 体は小さくても、流れるその血は並ではありません。非凡なその才能が競馬に結びつけば、きっとライネリーベは大きな仕事をしてくれるでしょう。

 兄がたどり着いた舞台のその先を目指して、

(ᐡ`• ﻌ •´ᐡ)イクゾ!! ライネリーベ!!


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