深夜の星
月も寝静まった深夜。
この部屋のベッドサイドのランプだけが、唯一灯っている光。
1日の終わり。2人でダブルベッドに潜り込んだら暫し他愛のない会話をして微睡む。
今日はどんな日だった?とか明日は晩御飯何食べたい?とか。
だんだん会話の空白が大きくなって、君が大きなあくびをする。
「そろそろ消すよ」
「ん、おやすみ」
パチン、とランプのスイッチを切ると目を閉じたように視界が遮断される。
枕の位置を調整したり、毛布をかけ直して天井の方を見つめると、部屋には静寂が凪ぐ。
今日はまだ眠たくない。
静かにするするとシーツと毛布の間に手を滑らせて、もう1つの手を探す。
その暖かい手を見つけだして控えめに指を絡ませると、返事をするようにしっかり握り返してくれる。
急にそのまま手を引かれ身体ごと引き寄せられたら、優しい腕に包まれて耳元に吐息が届く。
そのまま素直に背中に手を回して身体を預けると、私よりすこし高い体温を共有してくれているような感覚がとても心地良い。
少し上にある彼の顔を手探りの両手のひらで包んで確かめていると、そのまま唇を優しく一口食まれる。
それはどんなに暗くても唇の場所がわかっているかのようで、
「…磁石みたいだね」
と独り言みたいに呟くと、ふっと笑った声がした。
そしてもう一口、二口、と繰り返されたら、ベッドの淵は水平線に変わる。
月も星も寝静まっているけど灯をともす必要はない。
シーツの海は干渉色を湛えて、小々波を立てる。
濡羽色の2人は水平線に月の影が沈むまで、柔らかい波を潜る。
活動のモチベーションになりますので良ければお願いします。