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ただの普通のトリマーが、原著論文第一著者(first author)になった日

 はじめに書いておくのですが、ぼくは至って普通のトリマーです。


 とくにすごいわけでもなく、高校を出て、専門学校にいって、就職して、開業をして、13年たった普通のトリマーです。


 そんな普通の道をたどってきたトリマーが日本獣医内科学アカデミー学術大会で研究発表をして、日本動物看護学会でも研究発表をして、やっと一報論文を掲載していただけた。ただそれだけの話しです。


 卒業論文でもなんでもないので、謝辞を書く必要はないのですが、一旦自分のケジメとして、お世話になった方々へお礼をさせてください。



 この研究を遂行するにあたり終始暖かく見守って下さった日本獣医生命科学大学 獣医学部 獣医保健看護学科 百田豊准教授に深く感謝いたします。
 ヤマザキ動物看護専門短期大学、宮田淳嗣先生には研究の進み具合を気にかけていただき優しい言葉で私を励まして下さいました。有り難うございます。

 この道に入るきっかけをくださり、導いていただけました川野浩志先生には貴重な時間を割いて頂き特段の感謝をしております。

 不慣れな論文作成に途方に暮れる私に激励をくださった菊地将也氏には感謝の念が絶えません。そしてINUMANIAスタッフの多大な協力と励ましを得なければ、週5日トリマーとして働いていた私がこの論文を完成させることはできなかったでしょう。

 また快く実験サンプルの手配にご協力をいただいたばかりでなく、貴重な時間をさいて私の面倒を見てくださった株式会社ファインズコーポレーション古屋博之氏、藤木翼氏に感謝致します。
 そして、研究の道に入る以前よりご支援・ご指導いただき、セミナー主催など、暖かく見守っていただきました渡辺和明氏、仲田謙一氏、昆野紳也氏、小森陽介氏、高橋信行氏、髙橋信貴氏、山口唯衣氏、清本美晴氏、山口実穂氏、渡辺みさこ氏、伊佐美登里氏、田中誠氏、松窪将和氏、木谷達昭氏、鬼頭宏明氏、人丸明日香氏、札幌トリマー会の皆様、かがやきトリマークラブの皆様、岡山トリマーじゃけんの皆様には多大なお力を頂きました。本当にありがとうございました。
 最後になりましたが、弊店舗をご利用のお客様、研究にご協力頂けました供試犬であるフレイ、もんた、なち、ナナ、ココア、むぎごはん、私に関わっていただけました全ての方々、イヌに感謝の意を表します。

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 やっと、カタチになりました。


 でもまだこれは、物語の1ページ目です。


 まだなにもできちゃいない。


 ぼくがこの道に入る決意をした理由は獣医師にも「ちゃんとしたトリマーはいるんだよ」っていうことを客観的に伝えたかったからです。


 トリミング業界全体に非科学的な信仰が強い中で、まっとうにやっていくことの難しさは肌で感じているし、実際キツいんですけど、それでも「きちんと話しが通じるトリマーが一定数存在する」ことを知っていただきたかったのです。


 トリミング業界には「論文」が1枚も存在しませんでした。


 日々更新はされているものの、先人より語り継がれし「いにしえの古文書」がいまだに信じられていたりする世界です。


 誤解を恐れずに言えば、積み上げられた情報が有象無象によって解釈を変えられ、体系的な知識の習得が難しい中で仕事をしています。とはいえ勘違いしてほしくはないのですが、全てが間違えているという意味ではありません。


 今はそんな業界を変えたいとか崇高な理由ではなくて、ただただ「まっとうな情報」がしかるべきカタチで残されていく業界になればいいな。と感じています。


 一般的に先人の積み重ねた発見に基づいて新しい発見をすることを巨人の肩の上に立つ、と表現されることがあるのですがトリミング業界に関してはその巨人の姿はおぼろげで、存在が幻と化していてして、ずっとずっと長い間「車輪の再発明」を続けている状態です。


 せめてぼくが生きている間に「小人」くらいはハッキリとした姿で見る事が出来たらいいなと思っています。100年後のトリミングをしている後輩に向けてぼくたちができる事を考えたいし、巨人を見せてあげられるかどうかは今この時代に生きるヒトたちの仕事しだいなのだから。


 この挑戦は1人ではまず不可能です。他業種のヒトのチカラも大いに借りなければなりません。そして、トリマー業界全体がしっかりしなくてはまず成し遂げられないコトでもあります。


 そのためにできる事。地に足をつけていきたいと思います。


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