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ぽやっと思うこと

先日かえる先生のnoteが公開された。


避妊(不妊)に関する記事だ。


これを無料で公開してくれたことにぼくはとても感謝をしています。(現在有料となっていますが、100円で読めるのでジュースより安いぞ・・・!読むべし!)


具体的なものは見て頂くとして、この中のお話しでは「手術したほうがええで」と強く注意喚起をされていました。内容が申し分ないほどすばらしかったのでぼくはあっさりと課金しました。サポートしてnoteのオススメ機能をつかいオススメもしました。



しばらくながめていると記事の内容よりも「表現のしかた」であちらこちらでざわざわしてきました。うーーーん。



なるほど・・・と思いながら、こう・・・見ていたのですが、謎トリマーさんから謎指摘が入っていたり(これは見当違いなのでふれません)、心の優しい方から表現についての指摘を見たりしました。獣医師はおおむね肯定的なコメントをされていたかと思います。




このことについてうーーーーん。と数日考えていたのですがなんとなくまとまったので共有しておきます。これもまだ違うかもしれないので「こうなんじゃない?」っていうのがあったらまた教えてほしいです。




この問題については「認識」「認知」の違いが大きいのかなと思っていて、「おかれている状況」と「発信する立場」を少し遠くから見てみるとよいのかなと思いました。



同じくらいの理解度で何に例えたら伝わりやすいんだろう・・・と考えた結論なのですが避妊(不妊)手術したほうがいいよ、というアドバイスをこの記事の伝えたいレベルで簡素化すると「泳ぐときは服をぬいだほうがいいよ」と言い換えられるのではないだろうか・・・と考えてみる。



何言ってるのかわからないと思うので順に説明しますね。まず「イヌの寿命を良い感じにまっとうする」を目的にした場合「走ってる人が海を泳いで島に無事につく」くらいの表現にしてみましょう。今回は細かい数字よりもその表現についてお話ししたいので細かい数字は極端にシンプルにしています。



イヌの寿命をこの人が島までたどりつくまで・・・と仮定した場合

スライド1




服を脱がず(避妊手術をせず)に泳ぐと、100人中30人が溺れます。

スライド2

もちろんこの溺れた(子宮蓄膿症になった)30人は何もしないと死にます。




溺れてしまってから救助(手術)をしても3人くらい死にます

スライド3



服を脱いで(避妊手術)から泳ぐと溺れないんだぜ!

スライド4



明らかに見えているリスクを減らしてイヌの寿命をまっとうさせてあげよう~!

スライド5




みたいな話しだと思います。(獣医師クラスタの方々細かいところは目をつぶってください・・・・)



さて、ここからが本題です。ここから考えたいのですが、多くの獣医師の心の叫びはどこに向けて放ったのか?ということです。時折みられるこの「強い表現」についてです。(パイオっていうのはpyometra=子宮蓄膿症)

(すみません例として出演してもらいました心優しきGecko先生です)



強い言葉を使うことの弊害として語られていたものとして「(強い言葉で)言われてしまうと(反発心から)頑なになってしまい、より伝わりにくくなるのでは?(意訳」というものを複数おみかけしました。



それは「そうである場面もある」し「そうでない場面」もある・・・とぼくは考えています。思考実験にお付き合いください。



例えば【服を着たまま泳いでいる人】がいて、泳ぎ続けたら溺れちゃうだろうな・・・という場面ではどうでしょうか。



優しくさとしてみましょう。(メリットとデメリットを説明)

スライド6

多少は聞いてくれるかもしれませんが、なかなか難しそうです。このまま泳ぎ続けると人が死ぬかもしれない場面で遠くからごにょごにょ言ってもおそらく届かない・・・。



では、強めに言ったらどうでしょうか。

スライド7

弱めに言うよりも、おそらく聞いてくれる方が増えるかと思います。これがおそらく獣医師が直面している日々の臨床現場なんではないでしょうか。泳いでいる本人もなんとなく「このまま服を脱がずに泳いだらやばそう・・・」ということを思っているのだと思います。問題は、ここにいるイヌの数が多すぎる・・・ということなのだと思います。



ここで優しい言葉をかけると、獣医師にはイヌの死が見えているのに、飼い主さまにはそれほど見えてこず「手術せずそのままでいい」とおっしゃる方が一定数おられるのだと思います。(とはいえ、どのような考えで「そのままでいい」と言っているのかを、時間をかけて聞いてみることで見えてくる何かがあるかもしれません)



その後多くの獣医師が(イヌが亡くなった後で)「避妊手術をしておけばよかった・・・」と後悔される飼い主さまを見る事になる。やれることはやった。できることがもうなかった。そんな悔しさが獣医師をおそうのかもしれません。


命の重さ・・・。



強く言った場合に反発を受ける場面ももちろんあります。この例で言えばおそらく泳ぎだす前・・・ではないでしょうか。

スライド9

このような場面で強く言ったとしても本人にその自覚がなく、聞き入れがたくなってしまう・・・という状況かと思います。後悔もしようがありませんし溺れる自覚もない場面です。


「言われたほうが頑なになってしまい、より伝わりにくくなるのでは?(意訳」と考えている方はここを想像されていたのではないでしょうか。届ける場所の違い・・・が何となく見えてきませんか?



こういった「本人に自覚のない場面」では強く叫ぶよりも、説明にも耳を傾けてもらえる確率が上がるのではないでしょうか。

スライド8


なんかこう・・・自分で書いていてわりと都合の良い解釈かもしれない・・・と思い始めてきました。なんかちがうかもしれません。もしかしたらあってるかもしれません。考えるの楽しいですね!



そんなこんなしてたら昨日、こんな論文あるよ~~~って教えていただいたので貼っておきます。



犬種別の避妊去勢のタイミングはいつにしたらいいのかみたいなやつです。


蛇足ですが、おそらくこういうこと・・・?




早く服を脱いじゃったら足痛くなるかもしれんから海岸までいってから脱いだら・・・?みたいな・・・?(犬種による)

スライド10




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世の中には「わかっていること」と「わかっていないこと」があります。とくにイヌの研究では中間層の「なんとなくわかりかけてる」とか「ちょっとだけわかってる・・?」くらいのものもたくさんありますし、全てのシチュエーションにおいて「絶対にこうだ」と言えるものもあまりありません。


今回のぼくの思考実験でも穴はいくらでもあります。ですがその穴を全て埋め、「確実にこれが100%正しい」と語られることはぼくが生きている間にはないのだと思います。


とくに今回のケースは単純に「切り取ったほうがいいよ」と言っているのですが、それは目的「死ぬ確率の高い病気を未然に防ぐこと」にあるからなのだと思います。ぼくのスタンスとしても科学学徒のはしくれとしては「切り取ったほうがいいよ」です。


とはいえ動物倫理の側面として、その「切り取る」ものが「臓器」であり、本来イヌが生物として備えているものである。それを取ることが果たして生物として「良い」のか?という命題も同時に抱えていることでしょう。



動物福祉の側面からは「切り取ったほうがいい」という答えになるかもしれません。



ではヒトの女性が妊娠を望んでいない場合、事前に子宮を摘出したほうが加齢による死亡リスクが減る。としたら、人間界はどういった答えを出すことになるのでしょうか。100人いたら30人がかかってしまう病・・・そのうち3人が死ぬ。あなたはどうしたいですか?何歳でその臓器を摘出することになるでしょうか?



それが臓器ではなく、歯だったらどうでしょうか?


指だったらどうでしょうか?


ここで必要なことは「問う・考える・語る・聞く」ことです。


最後は皆様を煙に巻いたようになりますが、あまりぼくがここで答えを「こうだ」というのも面白くないので、本日はここまでです。


できれば皆さんも「問う・考える・語る・聞く」ことをしてみてください。ここで必要なのは「批評」ではないのです。「語る」ことを意識的にやってみて頂けると嬉しく感じます。


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考察が甘い可能性が高いので今日は無料記事です。ここから下は有料だけど、べつにためになる話しでもなんでもなく、いぬのしゃんぷーやさんを養ってくれる人たちだけへの文章です。(ほんとにくだらんので初見さんは課金しないでください)


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