
【symposium】(Part.12)「クバへ/クバから」_第1回座談会(レクチャー1)上演記録「三野新の作歴とプロジェクト全体の基本構想をめぐって」
(Part.11はこちら)
フィクションを成立させるための、主観性と暴力性
山本 なるほど。ぼくはここ数年、「主観性 Subjectivity」という(オリジナルの)概念についてずっと考えているけれど、そこと繋がる話のようにも思って、聞いてます。「主観性 Subjectivity」とはつまり、言葉と写真、写真と写真、身振りと人物など、何かしらの情報が並列された時に、その並列を客観的法則に基づき演算・出力されたものではなく、情動や意志や記憶などを持つ何者かによって為された表現として必然化するために必要な要素を、鑑賞者側に事後的に補わせてしまおうとする、そうした情報の側の傾向・質、のことです。
三野さんの作品においては、言ってしまえば、「主観性 Subjectivity」をめぐる操作がすごく多い。しかもそれは、何かしらの要素を並べることで鑑賞者側に架空の表現者を仮構させるよう強いる、といったかたちというよりは、三野さん自身が、自分の撮った写真やテキスト、あるいは自分以外の人の作ったテキストや起こった出来事に対して、何かしらの表現(者)を事後的に見出そうとしてしまう、その事態をめぐっての操作なんですよね。
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