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back number「ハッピーエンド」

昔からよく妄想はしてたけど、Twitterとnoteを知って書き留めたい欲が出たので、自分の好きな曲をどんどん妄想していく。
個人の趣味の為、ファンの方等気分を害した方はごめんなさいだけど忘れて下さい。

そんな訳で早速。記念すべき一作目。

主人公は20歳、新成人になったばかりの女の子。季節は2月。成人式の時に案内された同窓会に行く前に、
沈丁花が咲き誇る公園に今年も来ている。嬉しい思い出も悲しい思い出も詰まったこの公園に。
美しく咲き乱れている中で、今年も目につくのは花が上手く開いていない蕾。あの時も、変われない私みたいだと思って手に取った蕾。あの頃のまま時間が止まってしまって変われていない私みたいな蕾。

高校入学式。受験に失敗して滑り止めに入った。自分も芋っぽいとは思うけど、周りの子のように頭が悪そうな格好もしたくない。話も合わなそうだし友達もいらない。
そんな私にあなたは何度も話しかけてきてくれた。周りからの冷やかしにも陰口にも負けずに。
あなたはクラスの中心の人。私に構わずに楽しく過ごせば良いのに。

初めての文化祭。皆盛り上がってるけど、私には関係ない。そう思っていたのに、あなたが無理やり私を女子のクラスリーダーに任命した。私なんかじゃ無理だよと断ったのに「一緒にやろう!大丈夫!絶対に一人にしないから!」と。
本当に大変だった。クラスメイトからの要求はノリとテンションだけで無茶ばっかり増える。ダメなものはダメと制止しても、テンション下がると文句しか言われないし。リーダーなんてやりたくてやってる訳じゃない。上手く回すために、愛想良くして、全部自分で引き受ける。辛くて涙が出てくる。周りに見られたくないから、屋上で一人泣く。面倒全部引き受けて、一人残った教室で作業しながら泣く。自分が変われたら、こんな辛い思いもしなくて良かったのかなと一人で泣く。
でも、そんな時あなたは必ずそばに来てくれた。あなたのせいでと文句も言った。でも本当は変われない自分が一番嫌いだった。そんな時、あなたは「別に君のままでいいのに。無理な事を無理と伝えられる、しっかりとした君だからリーダーになって欲しいんだ。今も一人でみんなの為に頑張れる、優しい君だから、僕は君を好きになったんだ。前にも言ったでしょ?一人にしないよ。」と言って涙を拭いてくれた。翌日、クラスメイトと沢山話をした。変更案だったり、役割分担だったり、皆と話すことが出来た。いつの間にか仲良くなれてた。私のまま、初めて高校生活が楽しいと思えた。

文化祭が終わった日の夜、あなたから電話が鳴った。
「この前どさくさで言っちゃったけど、君のことが好きなんだ。付き合ってください。」
「はい」と答えた。
それからの高校生活は本当に楽しかった。私は私のまま何も変わっていないと思っていたけど、あなたが言ってくれた、好きになってくれた優しい私になれたのかな。

ある日のデートで沈丁花の咲いている公園に来た。あなたは「沈丁花の花言葉って知ってる?大人しさ、優しさなんだ。君にぴったりだ」と言ってくれた。「他には永遠って意味なんかもあるみたいだね。永遠って良いよね。ハッピーエンドって言葉が実は好きじゃなくてさ。だってハッピーがエンドしちゃうんだよ?ハッピーフォーエバーとかの方が良くない?」なんて下らない話もしてたね。なんで私達はハッピーエンドになっちゃったんだろう。沈丁花のマイナスの花言葉は【実らぬ恋】。ハッピーフォーエバーに恋していた私達に訪れたハッピーエンドなんて、笑えないよ。。

3年生になる前、何回も二人で来た公園であなたから遠くに行ってしまう事を聞かされた。家の都合だからどうしようもないと。

ねぇ、君が好きになってくれた優しい私はあなたを困らせないように出来るかな。サヨナラなんて言いたくないよ。花が開いていない蕾のままの沈丁花がふと目に止まった。
(今すぐに抱きしめて 私がいれば何もいらないと それだけ言ってキスをして どこにも行かないで)そんな正直な想いを口にしたらきっとあなたは困ってしまうよね。
大丈夫 大丈夫 あなたのおかげで私は優しく変われたのだから。泣かないよ。泣いたらきっとあなたは困ってしまうから。
そんな変われない自分を心の奥で押し殺して、私みたいな沈丁花の蕾を握り潰してた。
言いたくないサヨナラを振り払う様に、「ありがとう」と伝えるけどそのあとの言葉が何も出てこない。
お願い、最後まで優しくいさせて。せめてあなたを困らせないように泣かないでいる。
そんな私に少しほっとしたのかな?相変わらず暢気ね、そんなところも大好きよ。想いが溢れ出してしまう。
「私は平気よ 貴方と会えなくなってしまっても大丈夫よ。ううん、本当はね今すぐに抱きしめて欲しい。私がいれば何もいらないと、そう言って もう離さないで。。どこにも行かないで。。
なんてね。嘘だよ。ごめんね。私をずっと覚えていて、好きでいてねなんて言わないよ。元気でね。さよなら。またいつか会えると良いね。」
お願い私、最後まで優しくいさせて。どうかもう少しだけ。あなたが見えなくなるまで。。

あれから三年。今も変わらず私はあなたに恋をしています。変わることが出来ないまま、今年もこの公園に来ています。あの頃のままの私で。私たちのハッピーエンドを想いながら。