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【2024松本山雅】vs岐阜(3/31)H レビュー

・岐阜戦

最後の最後に手からこぼれ落ちた勝ち点。
正直内容は悪くなかった。
間違いない。

しかし、少しのミスで点を失い、決めれるタイミングを決められず時間が過ぎたことで、徐々に勝機を逃していたのは事実である。

内容が良かったなりにどうするべきだったのか。そこにフォーカスして話を進めたい。

・メンバー

山雅は前節佐相がレッドカードを受けており、今節は出場停止。
また、ターンオーバー気味だった前節からは藤谷、住田、村越がスタメンを外れ、馬渡、山本康、安藤、そして新加入のジョップが入った。

岐阜は4-4-2。
ボランチに庄司と、開幕後に加入した青木のコンビとなっている。

・優位にすすめた理由

まあまず、失点して追いついてという流れも含めて、割と自分たちのサッカーを出来ていたのは山雅だったと言える。
その理由は2つ。
1つは前節の大阪戦で強度が上がっていたこと。
岐阜はそこまで強度が高くなく、風が舞うなかで重要なセカンドボール争いで優位に立てていた。

2つめは相手のボランチのスペース管理。
庄司、青木と広大なスペースを管理するには少し厳しいコンビであったことで、相手がプレスに来たところから容易に縦パスを差し込んで前進することが出来ていた。

・それでもなぜ点が取れないのか

優位に進めていたなかで、岐阜のゴールに迫る回数は多かったものの、明確な決定機の演出はできなかった。
実際、シュート21本でゴール期待値は1.72。1本あたり0.08点。
10何回やって1回入るという程度のチャンスだ。

また、上がり幅を見ても、0.2が最高。
1/5の確率のチャンスを約5回繰り返して1点ならほぼ妥当だろう。

では、なぜシュート回数に対して確率の高い決定機が作れないのか。

これは岐阜の特徴と山雅の課題の2方向から説明できると考えている。

まず、岐阜の特徴として、4-4-2のコンパクトな守備を実行している。
山雅戦ではプレスが空回りしてひっくり返されることが多くなった。
しかし、本質はそこから先をいかにスローダウンさせてコンパクトに戻すかというところ。
プレス強度が高くないのも、押し込まれ続けるのは嫌なので制限をかける、上手く剥がされたら撤退戦にシフトするという切り替えを徹底するが故の現象だろう。

そして、キーポイントは最終ラインの4枚。
縦にズレることなく揃った状態で待機しているため、ボランチの脇で2列目の選手が受けて前進しようとしても、ダイレクトにハーススペースへアタックすることは出来ず、サイドを経由することになる。
これが山雅のスローダウンにつながり、カウンター気味にバラバラと崩されていくという現象を防いでいる。

そこに、山雅の課題が加わる。
そもそも押し込んだ時にどれだけの人数がボールに連動してハーフスペースを取るかというのは課題であった。
少し感じているところで言うと、ユニットの意識が現状見ていて感じ取れない。
どこからどこまでを「ユニット」として定義しているのかがそもそも我々から見たら曖昧なのだが、現状1人と1人の意思疎通に基づいた侵入に依存しているのが現状だろう。

そんな状況でしっかりと揃ったブロックを崩すのは容易ではない。
幸か不幸か、それを解決するジョップという高さを目の前にすると、それ目掛けて当てたくなってしまうもの。

もちろん相手も警戒するし、ジョップは加入から日が浅いなかで連携も不十分。
確率が低い選択の中で、粘って1点をお膳立てしただけで上出来とも言える。
ただ、そもそもやろうとしていた確率の高い決定機の創出は満足できるレベルには出来ていない。それだけは今後の課題として残るだろう。

・岐阜の修正でジリ貧に

岐阜はハーフタイムに2枚替え。
ボランチを青木から西谷に変更。
カバー範囲が広がった。

また、前半途中から上野監督が前線に対して後ろにコンパクトにしようという指示が飛んでおり、プレスラインを下げている。

これによって中盤のスペースが狭くなり、山雅に大きくひっくり返されるシーンを減らし、多少試合の流れをイーブンに戻した。

山雅が60分以降運動量が落ちる点も相まって徐々に山雅が優位に進めることが出来なくなってしまった。

今シーズン続いている「この時間帯に点が取れていれば」という状況を今節も作り出してしまった。

・次に何を繋げる?

正直、ボールロストから失った2点以外相手に大きなチャンスはなかった。
どうやって山雅の守備を崩すかという具体策を岐阜は持っていなかった。

この点ある程度試合内容自体は及第点という認識はやはり変わらないし、采配に関しても特段問題は感じなかった。

どちらかと言うとディテールにこだわれているのか?というところは次節に向けて突き詰める必要がある。

スローインはトラップしやすい場所に投げているか?
同じ絵を描いてハーフスペース侵入が出来ているか?また、描こうとしているか?
チャレンジ&カバーでカバーを行うためのスプリントは十分か?
人数が足りない時に遅らせることは出来ているか?

ディテールにこだわれば勝てる。それだけのサッカーをしている。
求められているものも多いし、考えなければ行けないことも多い。

全体をぼやっと見てそこそこいいサッカーをしていなければ8,900人が集まるだろうか。
そこに集まった期待のボルテージを上げるも殺すも、勝負の細部にこだわれるか次第だと感じる。

大阪戦であれだけの熱量が生まれたのは、共通の敵ができたわけでも、シンプルに逆境が好きな訳でもない。
また、昔のようなサッカーを見れて嬉しい訳でも無い。

一人一人の目に、選手が勝ちのためにもがく姿がうつったからだろう。
少なくとも私はそう理解している。

ただ走る、球際を頑張る、大きい展開で攻め込む。それだけがそういう姿にうつるわけではない。

ひとつの動き出し、ひとつのパスにこだわり高いレベルで要求しあう。いいプレーにピッチ内でリアクションをする。
矢印を自分たちに向けるのであれば、感情を表に出すのもまずは自分たちへ。(揉めるのは良くないけど)

多分僕らはそういう熱好きだから。

ツヨクナル