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4月22日公開オススメ映画『マリー・ミー』『カモン カモン』『インフル病みのペトロフ家』

映画ライターの松 弥々子が、今週末、4月22日に公開されるオススメ映画3作品をご紹介します。
ぜひ、映画館へのお出かけ前の参考にしてみてください。

マリー・ミー

「ハリウッド製のこんなロマンティック・コメディ、久しぶりに観た……」と、ちょっと感慨深かった映画『マリー・ミー』
ジェニファー・ロペスとオーウェン・ウィルソンという50オーバーな二人が、とても初々しいキュートなカップルを演じています。実はけっこうきゅんきゅんしてしまいました。

J.Loが演じるのは世界的歌姫のカットこと、カタリーナ・ヴァルデス。
彼女は人気ラテン・シンガーのバスティアンと婚約し、ステージ上で挙式しようとしていました。しかし、その寸前で、自らのアシスタントとバスティアンが浮気していたことを知ってしまい、ヤケになってそのステージを見に来ていた中年男性・チャーリー(オーウェン・ウィルソン)に「あなたと結婚する!」と宣言してしまうのです。

カットのこともあまり知らず、娘と親友に連れられてきていた真面目な数学教師・チャーリー。彼は突然の事態に戸惑いつつも、傷ついたカットに恥をかかせないように、彼女の提案を受け入れ、しばしの間、婚約者として過ごすことに……。

まったく違う世界に生きてきた二人ですが、チャーリーの親友や娘などと一緒に過ごすうちに、だんだんと打ち解け、相手を理解するようになります。そして、お互いにだんだんとひかれていきます。
離婚や婚約破棄など、傷ついた経験のある二人だからこそ、大人同士として相手の世界を尊重しあうことができる、ということなのでしょう。

大人の恋を丁寧に描く王道ロマンティック・コメディの本作。
強いイメージのJ.Loが、恋する女性の可愛らしさを見事に表現していて、ついつい応援したくなってしまったのでした。

『マリー・ミー』(121分/アメリカ/2022年)
原題:Marry Me
公開:2022年4月22日
配給:東宝東和
劇場:全国にて
Official Website:https://www.universalpictures.jp/micro/marry-me
© 2021 Universal Pictures

カモン カモン

『ペーパー・ムーン』『都会のアリス』『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』など、大人と子どもが一緒に旅をするロードムービーには名作が多数存在します。
そんな名作のなかに新たに加わったのが、マイク・ミルズ監督による本作『カモン カモン』です。

この『カモン カモン』は、9歳の甥っ子・ジェシーを預かることになった独身のラジオジャーナリスト、ジョニーの物語。
ジョニーは妹から頼まれて、LAにある妹の家でジェシーの面倒を見ることになります。しかし、仕事の都合でジェシーを連れてNYに帰ることに。そして二人は、ニューヨークを経てニューオリンズまで共に旅をすることになるのですが……。

このジョニーを『ジョーカー』の名優ホアキン・フェニックスが演じているというだけでも、期待値はおのずと高くなります。しかし、マイク・ミルズ監督はそんな観客の期待値を軽々と凌駕し、強い映画的幸福感を味わわせてくれる作品を作り上げてくれました。

ヒネた都会の独身男と、こましゃくれた9歳の少年。
彼ら二人が見せてくれる世界は、「だいじょうぶじゃなくても、だいじょうぶ」と観る者の心を、やさしく包んでくれるはずです。

『カモン カモン』(108分/アメリカ/2021年)
原題:C'mon C'mon
公開:2022年4月22日
配給:ハピネットファントム・スタジオ
劇場:TOHOシネマズ日比谷ほか全国にて
Official Website:https://happinet-phantom.com/cmoncmon/
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インフル病みのペトロフ家

ユダヤ人の父、ウクライナ人の母を持つロシア生まれの映画監督キリル・セレブレンニコフ。
この映画『インフル病みのペトロフ家』は、このセレブレンニコフ監督が2021年に製作したロシア映画です。

英劇界でも活躍しているこの監督、2017年に演劇予算の不正流用を疑われて国から詐欺罪で起訴され、自宅軟禁の処分を受けてきた人物です。以前からロシアのジョージア侵攻やクリミア併合、LGBTへの抑圧を批判してきたこともあり、この処分は政権からの弾圧ではないかとも言われています。

このセレブレンニコフ監督が作った映画『インフル病みのペトロフ家』は、インフルエンザが流行する2004年のロシアで、熱に浮かされて、自分が幼かった頃のソヴィエト時代を回想する男の物語です。
その映像は特徴的な夜の風景や、凝りに凝った長回しなど、映像的にも見どころたっぷり。さらに、2004年のロシア、そして1990年代のソヴィエトとの違いなど、物語的にもとても興味深いものになっています。

新型コロナウイルスの流行を予見しているようにも見えるこの作品。ロシアという国が注目を集める今、ぜひ観てほしい一作です。

この映画で主人公の妻を演じたチュルパン・ハマートヴァ(『ルナ・パパ』『ツバル』)は、ロシアによるウクライナ侵攻時、休暇でラトビアに滞在していたそう。そ子で戦争に反対する請願に署名し、そのままロシアに戻らずラトビアに亡命することを決意したそう。
映画は、娯楽でもありますが、これまで自分の目に入っていなかった社会にある問題に気づかせてくれるメディアでもある……。この作品は、そんなある意味当たり前のことを、強く実感させてくれました。

『インフル病みのペトロフ家』(146分/ロシア/2021年)
原題:Петровы в гриппе
英題:Petrov's Flu
公開:2022年4月23日
配給:ムヴィオラ
劇場:シアター・イメージフォーラムほか全国にて順次公開
Official Website:https://moviola.jp/petrovsflu/
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