9月1日公開オススメ映画『さかなのこ』『ブレット・トレイン』『この子は邪悪』
映画ライターの松 弥々子が、今週末、9月1日に公開されるオススメ映画3作品をご紹介します。
さかなのこ
魚博士、イラストレーター、タレントとしても活躍するさかなクン。そんなさかなクンこと“ミー坊”をのんが演じることで話題の映画『さかなのこ』。
“ミー坊”のキャラクターは、「男とか女とか、関係ない」ノンバイナリーな雰囲気のキャラクターとして描かれています。
“ミー坊”のアイデンティティーは、「ただひたすらにお魚が大好き」という点にあります。お魚を食べるのも、お魚を育てるのも、お魚について調べるのも、お魚のイラストを描くのも大好き。
幼い頃から、ごはんのおかずは、毎日おさかな。部屋には水槽を置き、とにかく魚とともに日々を送っているキャラクターなのです。
そんなミー坊の日々には、お魚好きが高じて誘拐されかけた(と大人に思われた)り、不良に絡まれたり、仕事をクビになったりと、いろいろな事件が発生します。でも、ミー坊を取り巻く人々は、ミー坊を理解し、ミー坊を支えます。そしてミー坊を取り巻く人々も、ミー坊に支えられているのです。
不器用に、でも本当に好きなものを貫いて生きていくミー坊の姿からは、自分の道を曲げずに生きていくしなやかな強さが感じられます。
自分らしく生きること、そして人に自分を理解してもらうことで、人生は切り拓かれていく……。
沖田修一監督らしいやさしいまなざしが光る、大笑いしつつ泣けたりもする、思わず大好きになってしまう映画でした。
『さかなのこ』(139分/日本/2022年)
公開:2022年9月1日
配給:東京テアトル
劇場:TOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて
Official Website:https://sakananoko.jp/
(C)2022「さかなのこ」製作委員会
ブレット・トレイン
伊坂幸太郎の小説「マリアビートル」を、ブラッド・ピット主演でハリウッド映画化した『ブレット・トレイン』。
レディバグというブラッド・ピット演じる殺し屋が、東京発京都行きの超高速列車“ゆかり号”に乗り込み、さまざまな殺し屋たちから命を狙われる物語です。
日本、そして新幹線のような超高速列車が舞台ということで、日本人にはおなじみの景色が広がるかと思えば、ぜんぜんそんなことはなく……。そこには日本のイメージを思いっきりデフォルメした世界が広がっています。
また、列車内という閉ざされた空間の中で、名うての殺し屋たちが戦いを繰り広げるという、その設定もなかなかにおもしろいもの。
双子の殺し屋“レモン&タンジェリン”にキュートな女子学生“プリンス”、毒使いの“ホーネット”、剣の達人“エルダー”にくわえ、ゆるキャラのモモもんまでもが殺し合いに参戦するのです。
もともとブラッド・ピットのスタントダブルを務めたスタントマン出身のデヴィッド・リーチ監督だけあって、その空間を生かしたアクションも見応えあり。
ハイスピードで展開する、アクション・エンタテインメント・ムービーとして楽しめる一作です。
『ブレット・トレイン』(126分/アメリカ/2022年)
原題:BULLET TRAIN
公開:2022年9月1日
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
劇場:全国にて
Official Website:https://www.bullettrain-movie.jp
この子は邪悪
南沙良、なにわ男子の大西流星が共演した、ちょっと不思議なタイトルの映画『この子は邪悪』。
家族で交通事故に巻き込まれ、自分一人だけ無傷で助かったことに罪悪感を抱く少女・花と、母親の精神の病の原因を探ろうとする少年・純。
彼ら二人が出会い、共にある“謎”の真相に迫っていく物語です。
主演の南沙良、そして大西流星の演技はまだどこかぎこちないものですが、それが逆に劇中に流れる不穏な雰囲気を盛り上げていたりも。
そして、そんな若手二人を支える、花の父で心理療法室を営む司朗を演じる玉木宏のアルカイックスマイル、そして花の母を演じる桜井ユキの大きな目の演技がすばらしく、思わず画面に引き込まれてしまいます。
物語としてはどこか未完成で、まだ荒削りですが、片岡翔監督の意欲を感じさせるチャレンジングな作品でした。
『この子は邪悪』(100分/日本/2022年)
公開:2022年9月1日
配給:ハピネットファントム・スタジオ
劇場:新宿バルト9ほか全国にて
Official Website:https://happinet-phantom.com/konokohajyaaku/
(C)2022「この子は邪悪」製作委員会
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?