7月22日公開オススメ映画『あなたがここにいてほしい』『海上48hours ―悪夢のバカンス―』『島守の塔』
映画ライターの松 弥々子が、今週末、7月22日に公開されるオススメ映画3作品をご紹介します。恋愛映画からおバカな青春映画、そしていまだからこそ観ておきたい沖縄戦を描いた映画まで……。ぜひ、映画館へのお出かけ前の参考にしてみてください。
あなたがここにいてほしい
中国の若者の間では「520」の発音が「あなたを愛する」という言葉の発音と似ているため、5月20日はバレンタインデーとして定着しているそうです。
この中国のバレンタインデーに公開され、大ヒットした恋愛映画が、本作『あなたがここにいてほしい』です。この作品は中国の大手ソーシャル・カルチャー・サイト「豆瓣(ドウバン)」に掲載された投稿“十年間一緒にいた彼女は、明日他人の嫁に行く(與我十年長䋯的女友明天要嫁人了 )”を映画化したもの。
ある若い男女の10年間の恋愛と友情を、中国の格差社会、学歴社会、経済問題などとともに、リアルに描き出しています。
お互いに愛し合っているのに、幸せにしたいと思えば思うほどから回ってしまう現実……。
一緒に暮らす家を買うお金を稼ぐために、自分の信念を曲げられることができるのか……。
高校時代の無邪気でまっすぐな初恋模様、そして10年後の彼女のために新疆の砂漠で何年も働く決意をした彼、彼を待ち続ける彼女の姿に思わず涙してしまう、感動の純愛ラブストーリーでした。
『あなたがここにいてほしい』(105分/中国/2021年)
原題:我要我们在一起要我
英題:Love Will Tears Us Apart
公開:2022年7月22日
配給:リスキット
劇場:新宿シネマートほか全国にて順次公開
Official Website:https://anakoko.jp/
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海上48hours ―悪夢のバカンス―
続いて、夏休みにぜひ観たい映画『海上48hours ―悪夢のバカンス―』をお勧めします。
この作品は、春休みにメキシコのビーチに遊びに来た大学生たちが、壊れた水上バイクで海上を漂ううちに、サメに襲われる羽目になる物語。
浮気男にマイルドビッチといった好感度の低いパリピ大学生たちの悲劇を描くのは、「海底47m」シリーズでセカンドユニット監督を務めたジェームズ・ナン監督。
サメ映画好きの方や、夏の海を味わいたい方に、ぜひビール片手に観てほしいサメ映画です。
『海上48hours ―悪夢のバカンス―』(85分/イギリス/2022年)
原題:Shark Bait
公開:2022年7月22日
配給:ギャガ
劇場:新宿シネマートほか全国にて順次公開
Official Website:https://gaga.ne.jp/48h/
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島守の塔
沖縄返還から50年という節目を迎えた2022年。
NHKの連続テレビ小説「ちむどんどん」でも沖縄が舞台となり、第二次世界大戦末期の沖縄戦の様子も少し描かれていました。
最後に紹介する映画『島守の塔』は、この沖縄戦の模様を、1945年1月に沖縄県知事に就任した島田叡を中心に、彼の周囲の人々の姿を描いた作品です。
この映画で島田叡の世話役を命じられた比嘉凛(吉岡里帆)は、女子高生の妹(池間夏海)やその友人たちに「神国日本には神風が吹く。生きて虜囚の辱めを受けず」と説きます。彼女たちは「鬼畜米英に捕まったら、男は股裂、女は凌辱」と教えられ、米軍への恐怖を植え付けられていました。
1945年4月1日に米軍が沖縄本島に上陸以降、一般の県民たちも戦争に巻き込まれていきます。うら若き女子高生たちは「ひめゆり学徒隊」として、男子学生たちは「鉄血勤皇隊」として動員され、戦地に赴いていくのです。
萩原聖人演じる島田叡は、「一人でも多くの県民を救いたい」と努力しながらも、軍部の意向には逆らうこともできず、多くの沖縄県民の犠牲を出してしまいました。そして1945年6月7日に沖縄県庁職員たちに解散の指令を出し、6月26日に消息を絶ってしまったそうです。
戦後を生きる私たちからすると、この4カ月後には戦争が終わることを知っています。日本が負け続けていたにもかかわらず、大本営発表で一般の人々を欺いていたことも。
なぜ、ただ“そこにいた”だけの一般の人々が、このような悲惨な運命を辿らなければならなかったのか……。
「沖縄県民斯ク戦ヘリ
県民ニ対シ後世特別ノ御高配ヲ賜ランコトヲ」
劇中には出てきませんが、この映画をみて沖縄根拠地隊司令官だった大田実のこの言葉を思い出しました。沖縄返還50年の今年、ぜひ観ておきたい必見の一作です。
『島守の塔』(131分/日本/2022年)
公開:2022月7月22日
配給:毎日新聞社、ポニーキャニオンエンタープライズ
劇場:シネスイッチ銀座ほか全国にて順次公開
Official Website:https://shimamori.com/
(C)2022 映画「島守の塔」製作委員会