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こんな安藤サクラが見たかった!映画『BAD LANDS バッド・ランズ』特種詐欺に貧困ビジネス、闇バイト......現代社会を映しつつ描くは1人の女性の生きざま
今回はkayserが紹介します。
映画鑑賞後、思わず「いやあ~面白かった!」と口をついて出てしまったのは、筆者だけではありませんでした。なんと隣の見ず知らずの方も呟いていたくらい...…。
その作品はというと、9月29日より、全国一斉ロードショー公開され、現在絶賛公開中の映画『BAD LANDS バッド・ランズ』です。日本映画界が誇る稀代の女優、安藤サクラを主演に迎え、そのバディともいえる弟役にHey!Say!JUMPの山田涼介という夢の競演が実現。
内外で評価が高く、『関ケ原』『燃えよ剣』などで知られる原田眞人が、監督・脚本・プロデュースを務めました。今回はこの映画『BAD LANDS バッド・ランズ』を紹介。作品の紹介しつつ、その面白さについてお伝えします。
原作は黒川博行の『勁草』
原作は直木賞作家 黒川博行の『勁草』。黒川作品は、これまでも『破門』や『後妻業』など多くの作品が映像化されてきたことでも知られています。
大阪弁の軽妙な語り口と警察ものやハードボイルドものを得意としているのが、黒川作品の特徴。その展開の面白さや重厚な構成に魅了されてきたファンも多いのではないでしょうか。
本作でも、特殊詐欺いわゆる「オレオレ詐欺」グループを軸に、その手口と驚愕の実態をみせつつも、彼らを追う刑事たちの執念も描いています。追われるものと追うもの。ハラハラドキドキの展開は、映画化となっても味わうことができる作品となっています。
映画『BAD LANDS バッド・ランズ』
原作の『勁草』を読んだ本作の監督・原田眞人は、映画化権の取得に動くも6年の歳月を経て、ようやく権利を得ることに。
原田が特に注目したのが、本作で安藤サクラが演じた橋岡の性別。原作では男性という設定だったものを女性にしたらどうだろうか。そんなところから、映画化へのアイデアが広がっていったようです。
主人公を女性にすることにより、周囲の人間たちとの関係性も必然的に変わってきます。脚本は大胆にアレンジを加える必要がありました。
ここで問題なのは、原作者がOKを出すかどうか。そんな心配をよそに、快諾したと黒川。というのも、彼の趣味は映画観賞で、原田眞人監督作も多く観てきたといいます。監督の名前を聞いて、一も二もなく映画化へ同意したそうです。
あの原田監督がわたしの『勁草』をどんなふうに映像化してくれるのか、楽しみでしかなった。
こうして映画化へと進んでいきました。
安藤サクラに山田涼介......これ以上ないキャスティングが実現
主人公の橋岡を女性にする。そこでさらに出てくる難問は、果たして誰がその橋岡にふさわしい俳優なのかということだったのではないでしょうか。
女性にすることで現実味のないキャラクターにはしたくないという製作サイドの強い意向により、名前が挙がったのが安藤サクラでした。現代に生きるネリという女性を、より現実味のある存在として演じられるのは彼女しかいないと。
本作を鑑賞した方はよくわかると思いますが、安藤サクラがこの世界観にいることに違和感などは皆無です。むしろ、彼女が演じることで、ネリが人間味のあるキャラクターとなり、弟のジョーを演じた山田との掛け合いにも心に響くものが。
犯罪者ではあるものの、ネリの持つ姉としてしっかりした部分や弱き人たちへの優しさも垣間見られ、不思議な共感が沸き上がってきます。それは弟のジョーに関しても同じこと。茶目っ気ある弟キャラのジョーですが、姉を思う純粋な気持ちは、観ているものの気持ちも熱くしてくれます。
そして、悲しく辛い過去を感じさせながらも、強く逞しく生きるネリの姿は清々しくカッコいい!こんな安藤サクラを待っていたような気がしてなりません。
追われるものと追うもの
特殊詐欺、いわゆる「オレオレ詐欺」の驚きの実態を描いている本作。その手口の綿密さは思いもしないものでしたが、彼らを追う警察側が描かれているところも本作の魅力のひとつです。
追うものと追われるもの。この物語のそれは犯罪組織と警察だけではありません。そこにさまざまな要素が幾重にも積み重なり、物語は思わぬ方向へ向かっていきます。
この構成の巧みさを映画でもきちんと面白く描いており、次から次へ息つく間もあません。徐々に真相に迫る刑事たち、ネリたちを追う別の人物。一方で、犯してしまった罪や自分たちの現状から逃れようとするネリとジョー。
映画のメインビジュアルでは、ネリとジョーが今にも走り出そうとしています。彼らが向かう先に待ち受けるものは何なのか。その答えは、ぜひ劇場で確かめてみてください!
kayser