
世界中が絶賛!映画『DUNE/デューン 砂の惑星』
今回はkayserが紹介します。
前回、デヴィッド・リンチ監督の映画『デューン/砂の惑星』を紹介しました。今回は公開2週目にしてようやく観ることができた新作映画『DUNE/デューン 砂の惑星』を紹介します。松弥々子さんも紹介してくれていますので、そちらも合わせてどうぞ。
SF小説の金字塔『デューン 砂の惑星』
原作は前回も紹介しましたが、アメリカの作家・フランク・ハーバード原作のSF小説『デューン 砂の惑星』。ヒューゴー賞やネビュラ賞、風雲賞など世界中の文学賞を受賞し、多くのファンに愛される小説です。
現在、日本では1972年から1973年に四分冊でハヤカワ文庫SFから刊行された<デューン>『砂の惑星』の新訳版三分冊が発売されています。
この小説が発表されたのは今から60年も前のこと。作家としては遅咲きとなったフランク・ハーバードが、上院議員のスピーチライターとして得た知識を基に書き上げた小説です。
全8作の長編シリーズとなりましたが、最初の6作をハーバード自身が執筆し、残り2作は息子で作家のブライアンとケヴィン・J・アンダースンの共作として完結させました。
政治や宗教、哲学、生物学などさまざまな要素を取り込みながらもエンターテインメントとして昇華させたSF小説の傑作です。
映画『DUNE/デューン 砂の惑星』のあらすじ
物語の舞台は10190年。砂漠の惑星アラキスは、香料メランジの産地として多くの富を生み出していました。宇宙を支配する皇帝から、この惑星アラキスへ移住することを命じられるアトレイデス公爵。
しかしそれは、その土地を長らく治めてきた宿敵ハルコネン家と皇帝が手を結び、民衆から支持の厚いアトレイデス家を破滅させるための罠だったのです。
公爵の息子・ポールには未来を視ることができる不思議な力がありました。父が罠にハマるなか、不思議な力を使い、ポールの母・ジェシカとポールはなんとか命拾いすることに。
そんな彼らが向かった先は、ポールが何度も未来を予知してきたアラキスの先住民・フレメンのもとだったです。果たして、ポールとジェシカの運命は!
この作品、もともと2部作の予定で製作されています。第1部で描かれているのはここまで。第2部では、ポールとジェシカ、フレメンのその先の物語が描かれていくことでしょう。
映画『DUNE/デューン 砂の惑星』魅力とは!
映画『DUNE/デューン 砂の惑星』の監督は、『メッセージ』『ブレードランナー2049』のドゥニ・ヴィルヌーヴ。もともと原作ファンであったヴィルヌーヴが自分の手でいつか映画化したいと希望していたところ、本作で製作を担当したメアリー・ペアレントとケイル・ボイダーと会い、話が進んでいったとのこと。
本作をみれば非常によくわかりますが、原作の世界観にかなり忠実に作られています。第一の魅力がまさにここです。少し難解な原作を映画としてわかりやすく描いています。できるだけシンプルにすることで、より多くの観客に愛される作品となっています。
映画『DUNE/デューン 砂の惑星』みどころ
さまざまな要素が織り込まれているこの長編作品は、前作デヴィッド・リンチ版『デューン/砂の惑星』のような短い尺で収めることは難しいでしょう。
今回のヴィルヌーヴ版『DUNE/デューン 砂の惑星』では、最初から2部作として企画が進んでおり、望ましい形での製作体制だといえます。壮大な物語だからこそ、長尺でなければ描き切ることは難しいからです。
また、ポールの成長物語が大きな軸となり、彼の視点で描かれていくという点も非常に優れているところ。さまざまなディテールを映像化する面白さはもちろんありますが、あくまで人間ドラマを描くことに重点が置かれています。
ポールのキャスティングに、若手実力派のティモシー・シャラメが起用されたことも大きなポイントのひとつ。彼の持つ独特な雰囲気に憂いを帯びた目。シャラメは、まだ15~16歳の少年が過酷な運命を背負うことになるというポールの心の機微を見事に演じています。
映画『DUNE/デューン 砂の惑星』注目ポイント
今回、筆者が特に注目している点は2つ。1つ目は、砂漠のシーンを本物の砂漠で撮影しているということ。2つ目は、メカのデザイン。
CGでは描き切れない自然の厳しさ、砂漠の暑さ、風。そんなところをスクリーン越しに肌で感じとることができます。最先端の技術と本物の自然との融合が見事にマッチし、『デューン』の持つ豊かな世界観を実現しています。
また、原作にも登場するオーニソプター(超大型羽ばたき飛行機)のデザイン。デヴィット・リンチ版では羽がなかったものを、本作では原作に忠実に羽をつけ、ある種の昆虫のようなデザインはまさにイメージ通りです。こんなところにも監督のこだわりが感じられます。
そのほか、カインズ博士が男性から女性に変更することで女性の強さや活躍を描き、ダンカンが重要な役割を担うなど映画としてのドラマ部分を強化する変更などもされています。このダンカンの活躍は胸打たれるシーンのひとつではないでしょうか。
まとめ
これまで多くの人たちが映像化にチャレンジしてきた『デューン』。映画、テレビシリーズと作られてきても、正直これという作品は出てきませんでした。そんななか、今回の映画『DUNE/デューン 砂の惑星』は「これぞDUNEだ」と思わせてくれる作品です。
第1部の出来がこれだけよければ、この後の第2部が期待されるところ。ますます目が離せない映画『DUNE/デューン 砂の惑星』。次回作が待ち遠しいのは筆者だけではないはずです!
kayser