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いつの日にか、頭が描いた理想の自分

いつからか、僕は物語が好きだった。
アニメ、映画、ドラマ、小説、漫画、ゲーム。
創作物の中には色々な人が出てきた。

世界はぐちゃぐちゃで、色んなものが入り混じっていた。
それぞれの勝手な行動が、世界を悪くし、誰かを苦しめ、哀しみや不幸を生み出していた。

全体を理解し、他人を思いやり、誰かを助け、導き、それらを喜び、笑顔で懸命に生きる人。
何かを生み出し、発展させ、人々に寄与し、世界に貢献する人。

僕は「こういった人が素晴らしい人で、こうならないといけない」と思う様になった。

そうじゃない奴らは、存在すると迷惑で、世界を悪くすると。
そんな奴らがいるから、争いは終わらず、苦しみは生まれ続けるのだと。

でも、現実にはそんな人はほとんどいなくて。それが当たり前で。
子どもの僕が考えた狭い狭い世界と知識と認識の思い込みで。

そして、何より。

僕自身がそういった人からは果てしなく遠い存在だった。


最も重要なのは「意志」だと思っていた。

今現時点がどういう人かではなく、どうなっているかではなく。
そうなりたいという意志があるかどうか。

だからこそ、何より自分自身の奥底に、その意志が無いことを認めるわけにはいかなかった。

そんな人間は、世界に存在してはいけないから。

自然にそれを望み、助け、貢献し、生み出す人達を尊敬すると同時に、自己を侮蔑し続けた。

でも本当は、誰かに貢献したい訳でも、役に立ちたい訳でも、助けたい訳でもなくて。

自分らしく、望みのままに生きたいと、ただそう願っていた。

でも、そんな奴は最低の屑で、迷惑なやつだと。
役に立たないなら死ねと、いつも誰かの声がした。


僕は、僕らしく、自由にただ生きたかった。
それを、いつでも否定していたのは、ずっと僕だった。

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