瀬戸内に行って島を見よう2
大崎下島に行ったとなると次は当然大崎上島に行くしかない。2020年最初の旅行が瀬戸内となるのは必然の理。こうなったら何回でも行きましょう。
大崎上島の神峰山はこれまで見てきた多島美の中でもNo.1の雄大パノラマ。さらには初めて竹原に行った時から山頂の形が気になって仕方なかった黒滝山。絶景間違いなしの予感が完璧に当たりました。瀬戸内海最高かよ。
今回からスマホをPixelに変えたので広角側は結構お任せしてて16:9比率のはそれです。特にパノラマ撮影はめちゃくちゃやりやすいなと思いました。
大崎上島記念式典PV
■大崎上島とは
広島県の島で3番目の面積を持つ大崎上島は、本土から橋の架かっていない離島として有名。江戸時代には対岸の竹原と同じく製塩が盛んで、さらには大崎下島の御手洗と同様に潮待ち風待ちの港としても繁栄。
北前船に代表される帆船から汽船へと歴史が移れば造船王国として更なる発展を遂げ、大正時代に「黄金の島」として最盛期を迎えました。しかし海運の減退とともにその役割も縮小し、今では黄金の島の意味もみかんの島のことへと変化しています。
■大崎上島への航路
大崎上島へは竹原港から。大崎下島へと向かう高速船ではなく、大きなフェリーなので自動車や自転車で渡ることも可能。橋が架かっていないだけに舟運が発達していて、垂水もしくは白水へ1時間に2本程度便があります。
朝一番だと大崎上島方面に向かうのは自分一人。広い船内でしばしの船旅を満喫します。大崎上島への航路だと契島に近いため瀬戸内海の軍艦島の様子をはっきり見れるのもいい感じ。
誰もいない船内でゆっくりと
まさに生きている軍艦島
昇る朝日を見ながら大崎上島に到着
■垂水港~大崎上島観光協会
今回はレンタサイクルで神峰山に登るのが目的。しかし観光案内所は9時からで丁度いい便がなかったため、時間つぶしに垂水港行きに乗って20~30分程かけて白水港まで歩きます。
渡ってみたくなる防波堤
ということで観光案内所に到着。この日もなにかイベントがあるようで慌ただしく準備をされていました。そんな中で声をかけても親切に対応していただき、行き先が神峰山と告げると通常より大きめの電池を載せた電動アシストを準備してくれました。優しい。
面白そうな雑貨をじっくり眺めてみたい気持ちがありつつもまずは出発。行程は垂水港→白水港(観光案内所)→神峰山→中ノ鼻灯台→木江ふれあい郷土資料館→木江の町並み。島の中央部をぐるりと周って14:35のフェリーで竹原へと帰港する5時間ほどのポタリングです。
■神峰山
GoogleMAPで見て良さそうなところじゃない?と思っていた神峰山。予想以上に素晴らしいところでした。山頂から115もの島々が見えるという日本一の多島美。どこを向いても最高の眺望で、この空間の味わいは写真では伝わりません。是非とも行ってみてください。最高なことは保証します!
上記のルートラボでは反応しないので手前で曲がってますが、自転車での登り道は西光寺の横から。何故か比叡山に登る法然上人の像があるこのお寺を曲がってみかん畑を駆け上がります。
調べてもこの関係はよく分かりませんでした
みかん島のみかん畑
丸太小屋のある中腹駐車場へ到着
車の場合だと南回りで整備した道を通ることが出来ます。ただしそれは上の写真の中腹駐車場まで。この左に見える山頂への道は狭く、整備が悪いところもあるので運転に自信がない方はここから歩きましょう。
車やレンタサイクル以外で神峰山に登る方法は徒歩、そして超小型モビリティ。最近都心でもちょこちょこ見かける可愛らしいこの自動車を貸し出すサービスもあるのでこれで来るのも面白そうです。
神峰山第一展望台が車・自転車での終点。いやっほいな眺めでいやっほい。なんとかこの雄大な景色を写真として残せないかと頑張ってみましたが無理でした。なんというかパノラマ視界の凄さなんですよ。載せている写真の100倍は気持ちいい風景だと思ってください。ぐるりと見渡せるVRなら伝わるかも?
ちなみにここから見える大崎発電所。石炭発電でのCO2を分離回収するという一大プロジェクトが動いています。また、「教育の島」を掲げて学生を呼ぼうとしたり、最先端の取り組みがなされているのも大崎上島の特徴。
望遠で見る契島と大崎発電所
そして神峰山で良いのは展望台が複数あるところ。第一展望台からは歩きで第二展望台と山頂の第三展望台を目指します。フォトジェニックさで言えば第二展望台が一番かもしれません。景色が良すぎて神峰山に1時間半くらいいたために残りのスケジュールが結構狂いました。
記念撮影に一番オススメな第二展望台
今治-大島を繋ぐ来島海峡大橋の遠景
大横島のエンジェルロード?
神峰山の標高は452.6mでほぼスカイツリーの展望回廊と同じ。山頂には薬師堂と鐘があるので折角だしお参りしていきましょう。景色を十分に堪能したら次は南側へと下るわけですが、道中にも多島美がそこかしこに見えるので最高に気分爽快なダウンヒルとなります。肌感覚で触れる楽しさという感じでしょうか。是非とも自転車などで五感を使って景色を味わうことをオススメします。
老朽化修繕のためのお賽銭も忘れずに
第三展望台は180°パノラマ
みかん畑と自転車
■中ノ鼻灯台~郷土資料館~木江
爽快な下りが終われば海岸線を通って有名なきのえ温泉ホテル清風館のある東南端へ。この清風館、日帰り入浴が出来たり元帝国ホテルのバーテンダーさんがいたりと時間さえあれば寄りたいポイントでしたが神峰山で時間を使いすぎたこともあり泣く泣くスルー。
この清風館への途中にある中ノ鼻灯台。真っ白な姿が印象的でドラマの撮影場所にもなっているとか。灯台にしてはとても背が低く天辺だけ地中から飛び出たかのよう。明治27年に建造ながらいまだに現役の働き者です。
航路を照らす白亜の灯台
中ノ鼻灯台から少し進むといきなり見えてくる船みたいな建物が木江ふれあい郷土資料館。大崎上島の歴史を知りたかったので清風館よりもこちらを優先しました。この記事の最初の項目もここで学んだことのまとめを書いていたりします。
船の下から入場
紹介されている写真などを見ると昭和初期までの木江の賑わいは本当に凄かったんだなあと実感します。東京一極集中の現在からはピンときませんが、このような離島がここまで繁栄していたというのは素晴らしい時代だったのではないかと思ってしまいます。
往時の賑わいぶりが伺えます
2階、3階では大崎上島の歴史だけでなく船が何故浮くのか、岩と島の違いは、海流がなぜ起こるか等々、海に関する知識を教えてくれるパネルが並んでいました。フィクションながら鶴姫伝説の紹介もあったりと、お値段以上の満足感です。船を模した建物だけあって3階には操舵体験室も。
ためになるパネルが沢山
大山祇神社に行く必要がある
面舵一杯なので
これにて予習は万全なので木江に向けて出発。道中になんだか気になる建物があったので帰ってから調べてみると竜宮城をイメージして造られたコミュニティスペースだそうです。徒歩ではここが神峰山の登山口になるとのこと。自由に立ち寄っていい建物だったら入っておくべきだったな~。
めっちゃ楽しそうじゃないですか
木江は町並み保存地区ではないために当時の面影を大々的に感じられるということはありません。むしろ廃校になった学校がそのまま残っていたりとやや侘しい感じもあります。それでも造船は今でも盛んで大きなクレーンを見るとなんだか嬉しくなります。進水式を一度見てみたいですね。
佐々木造船さんの大きなクレーン
当時の繁栄を微かに伝える木造建築
白水港への帰路で休憩に立ち寄ったのは珈琲 陶さん。コーヒーの2杯目が無料という嬉しい気遣いに大きなチーズケーキ(ブルーベリー入り)。これは良いお店に入りましたね。高級品がずらりと並ぶ棚から好きなコーヒーカップを選択して注いでもらえるのもGOOD。
建物中に陶器が置いてあってこれはご主人達の手作り。所狭しと展覧会の表彰状が貼ってありました。陶芸体験もできるそうなので時間のある方はぜひ挑戦してみてください。
おまけで。竹原に戻ってもまだ時間が余っていたので恐らく行く人はほとんどいないであろう鎮海山城跡へ上りました。高いところはいいものなので手軽に行ける山は登ってしまいましょう。
竹原のシンボル三井金属の煙突
麓からも矢倉が見えます
能島村上氏の拠点の1つ
■忠海:黒滝山
瀬戸内に行ったら島に行く、山に登る。これ最強。
竹原へ向かう呉線の車窓から、大久野島フェリーの待機列から、切り立った山肌に見える黒滝山の観音堂。こういうところに行ってみたくなりませんか? 行きましょう! 出発は忠海の駅。うさぎ島へ向かうフェリー乗り場の逆方向に曲がり、地蔵院を抜けていくのが登山ルートとなります。
悪いが今日はうさぎじゃないんだ
車窓からこれが見えるんですよ!
全く登ってない地蔵院からでもすでに良い景色
黒滝山は地元では愛情をこめて「くろたきさん」と呼ばれているシンボル的存在。その歴史は730年ごろに山頂付近に十一面観音菩薩像が安置されたころまで遡り、それが麓から見えていた観音堂というわけですね。
地蔵院を抜けて登山口に着いたら準備体操5分。その後も休憩ポイントがしっかり設けられているように初心者にもやさしく、地元では小学生の遠足として使われているとか。乃木将軍腰掛の岩、平山郁夫画伯スケッチの地、長寿の亀石など途中に見どころが色々あるので自分のペースで登りましょう。
登山に備えて念入りに準備体操
休憩地点からして既に景色がいい
沢山の見どころ
亀岩を通過すれば観音堂までもうすぐ。登っている最中にゴーンゴーンと聞こえてきた鐘の音はここからでした。お堂の縁側に座ってうさぎ島こと大久野島をのんびり眺めているととても気分が良いです。
写真からも分かるように観音堂から頂上へはあっという間。でも山頂展望台はこの天辺の部分ではなくてやや右側の低いところにあります。
観音堂の目の前に大久野島
ボロボロな展望台でも景色は良し
展望台から白滝山方面へ向かへばついに黒滝山の頂。ここです、ここに来たかったんですよ。一歩踏み出せば転落間違いなしの岩場から眺める忠海の絶景。風も強いし結構怖いですが景色は最高も最高。
せりだした岩場から最高のパノラマ!
飛び立ちたくなるね
■忠海:白滝山
山頂からいったん下って尾根伝いに行けば白滝山。黒滝山~白滝山はちょうどいいハイキングルートになっています。最初は黒滝山のみの予定でしたが時間的余裕もあるし折角だしなので入れこみました。白滝山は龍泉寺のある山岳霊場で、山頂には巨大な岩が並んでいて仏様が彫られています。
石仏がお出迎え
いや―それにしても景色がいい、山と海と島の組み合わせは最高ですね! 黒滝山からえんやこら歩いてきて本当に良かった。一方で、ハイキングの方たちが山頂の岩の上でランチしているのを見てペットボトル1本で来たのは完全に失敗だったと反省。
絶景を肴にベンチでくつろぐ贅沢
龍泉寺からさらに登っていきます
ご飯買ってくるべきだった・・・
Pixelのパノラマ機能は優秀
呉線でハイキングに来るときに気を付けるべきは帰りの電車。時刻表は基本的に1時間に1本、乗り遅れれば大幅なタイムロスに。しかし帰りは別ルートを通ることで黒滝山をスルーして直接忠海に下ることが可能です。
さらにこの下りルートには人がいないのでひたすら走っても迷惑が掛かりません。重力に逆らわず高速で足を回せば疲れないのでは?という単純思考からひたすらダッシュダッシュ。平地まで30分くらいでついてしまって逆に時間が余りました。
この分かれ道に辿り着きます
このときに思ったのがトレイルランニングシューズ買っておいてよかったということ。全く足痛くならないし走っててめちゃくちゃ気持ちがいい。というより走りたい。MERRELL(メレル)の評判は聞いてはいたのもののこんなに走る気分にさせてくれる靴は初めてです。次から買う靴は全部メレルにしようかと思うくらいにピッタリきました。
うさぎ島フェリーターミナルへ下山完了
■まとめ
最近の旅行は景色の良いところばかりでひたすら大勝利だなと思いつつ、やはりこれは瀬戸内そのものが最高であることが最大の理由。今回とこれまでに行った高台の絶景ポイントをGoogleMAPにまとめておきます。
赤が今回記事、紫が過去記事等
今回の旅行は記事にしていない分も含めると尾道(鳴滝山、岩屋山、浄土寺山)、忠海(黒滝山、白滝山)、大崎上島(神峰山)とひたすら山に登りまくりました。やっぱり高いところから見る瀬戸内の島々は良いですね。山と海と島、最高の組み合わせです。
最高の旅行をすると帰ってきた瞬間から次の旅行に行きたくて仕方がありません。更なる最高を求めてGoogleMAPを使った旅行計画が始まります。