
醜い白鳥の愛され方
ハクチョウの子は、ぱっとしない見た目を「醜い」と馬鹿にされ、愛されないことを日常としていた。
『自分はもっと評価されるべきだ!』『周りが思うより、僕はとっても綺麗なんだ!』自己主張をしている ──愛されたい愛されたいと言っている──強欲な心がハクチョウの子の安全地帯だった。
ある時ある瞬間から、傷ついた真っ白な美しい羽を手に入れた。世界から『お前は美しい』と手のひらをかえされ、ひどく戸惑う。強欲な心が、戸惑う。安全地帯を────、失った!
『貰った愛を疑うんじゃあ、いけないよ』
空高く飛び去った母さんがそう言っている気がして、縮こまった“美しい”白い羽をはじめて広げた。宙ぶらりんでなにも持たず、僕の安全地帯を探す旅は、いま始まった。