抜歯・非抜歯の重要な決断をするにあたって知っておきたいこと

矯正を始めるにあたって、抜歯する・抜歯しないというのは大きな決断である。特に抜歯は心身共に与える影響が大きい上、一度してしまうと後戻りができない。矯正を始めるにあたり都内のマイナー矯正歯科から芸能人も通う超有名矯正歯科まで取材した筆者が医師の見解をまとめてお伝えする。 

そもそも私が矯正を思いたった理由は、自分の出っ歯を治したいというものであった。私はいわゆる上顎前突症 (じょうがくぜんとくしょう)である。

 口は閉じにくく、顎には「梅干し」と呼ばれる、強い口輪筋の緊張による、あごの部分に梅干し上のしわができている。これを解消したいと、行きつけの病院で矯正医に矯正相談をした。矯正医は私の顔を横から見たり、噛み合わせをチェックすると、迷うことなく、「小臼歯を4本抜きましょう。そうしないとあなたの歯並びはよくなりません。いわゆる出っ歯の人は歯を抜かないと出っ歯は治りません」と言った。

 その矯正医の診断に従い、抜歯の予約を入れたのだが、抜歯の日が近づくにつれて健康な歯を抜くことに不安を感じてきた。そして都内の有名な矯正歯科にセカンドオピニオンのカウンセリング予約を入れた。

 セカンドオピニオンで言われた言葉は、「あなたのような顔の人は今までも何人も見てきましたが、歯を抜くとほうれい線が深くなって、さみしい顔になってしまいますよ。横顔から見たとき、鼻・口・顎を結ぶイーラインの中に唇先がおさまるのが美人の条件と言われますが、そもそも東洋人は鼻も低いし、少し口許が出ているのが自然なのです。ですからあなたに抜歯はお勧めしません。歯を少し削ってスペースを作り、そこに歯を入れていくことを提案します」と言われた。

 そこからが私の混乱の始まりであった。結局私は歯を抜いたほうがいいのか、よくないのか。色々な医者の意見を聞きたく、歯科医巡りを始めたのであった。

 次に行った医院では「あなたは絶対に歯を抜かなくてはいけません。親知らずも含めて8本抜いてください」と告げられた。

 その次の病院では「今、歯を抜くリスクというのが問題になっています。歯を抜くと残った歯に今まで以上の圧力がかかるうえ、歯を抜いたスペースを埋めると口の中の面積が狭くなり、舌の置き場に困り活舌が悪くなったり、呼吸がしづらくなるという問題も出ているのです。歯は絶対に抜くべきではありません」と言われ、なるほどそうかと思い、最後だと思ってモデルたちがたくさん矯正をしている歯科医院に最後に抜歯・非抜歯の見解を聞きに行ったところ、

 「あなたね、あなたの歯は相当出ているよ、角度を測ると90度近い。こんな出っ歯で一生、生きていくわけ?恥ずかしいと思わないの??親知らず、小臼歯8本まとめて抜いて、11ミリ口元を引っ込ませましょう。じゃないと一生口も閉じられないし、みっともないよ!!歯を抜いてもデメリットはまったくありません。みんなきれいになるために抜いて、歯並びもかみ合わせも整って綺麗になってるの。あなたもさっさと8本抜いたほうがいいよ。」と説教された。これには非常に落ち込んでしまった。今までこの口元で生きてきたのに、こんなに顔について否定されるとは…。帰りに落ち込んで電車を乗り間違えるくらいであった。

 そのころには都内の有名な歯科医院を調べていたので、ここの病院の意見を聞かないと最終決断が決められないと、いくつかの病院をさらにピックアップして相変わらず歯科医院ポッピングをしていた。さんざん、出っ歯について罵倒されたあと、次の歯科医院で

 「あなたの歯はそこまで出てはいないし、個性の範囲だと思うわよ。むしろ抜いて矯正したら歯が引っ込みすぎちゃって印象がかわりすぎちゃうかも。たぶんおばあさんのような顔になっちゃうと思うわよ。口元をひっこめるバランスは慎重に検査して計算していきましょうね」と優しく言われたときは涙が出そうになった。

 抜歯する・しないだけで矯正歯科医の判断・矯正方法によってが異なることが分かった。

 私がいろいろな矯正医に言われたことを以下にまとめ、対応策も記載した。

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