パチ屋のバイト
アタクシは高校を卒業した後、東京の専門学校へ通い卒業後はライブハウスで働いていたのですが、給料10万円から一切給料が上がらず当時の彼女に食わしてもらっていたり、米だけは実家から送られて来ていたのでチャーハンをおかずに白米を食べるなどの荒技で飢えを凌いでいました。
ライブハウスの仕事は楽しかったし辞める気もなかったのですが、たまたま地元の友人に出会い色々話しているうちに仕事の話しになり、その会話の中で聞いた「時給1200円」に腰を抜かしたのでした。
ちょっと待てと。
アタクシは週1休みで勤務時間は13時から大体0時過ぎまでで、毎日毎日タガが外れ気味な人達と完全にタガが外れてる人達を相手にし月10万ぽっちで時給換算すると・・・大体350円。
んー!良し!辞めよ!いくら好きな事でも時給1200円に敵わない、敵うわけない!アディオスパンの耳、グッバイチャーハンと言う名のおかず!俺は牛丼を食べたい時に食べれる世界に旅立つぜ!とあっさり辞めたのでした。
さて、そうしてたまたま出会った友人の紹介で新たなる働き口になったのは、中央線沿にある某パチンコ屋でした。
学生の頃はパチンコ屋に通っていた事もあるし、友人も居たのでわりとすぐに仕事は覚えましたが、そのパチンコ屋に来る常連達が個性豊かな方ばかりだったので、だいぶ前置きが長くなってしまいましたが今回はその方達の事を書いていきたいと思います。
では早速いきます。
[ヤク◯の女将さん]
齢は見た所70歳くらいでしょうか。非常に割賦がいい方で見るからにカタギではないのかな?んー?なんかちょっと血の匂いがするなあ〜って方でした。
たまに旦那様も来るのですが、その旦那様の頬には明らかに刃物傷がありまして主任にあの人は何モンなんですか?と聞いたところバッチバチの武闘派ヤク◯の親分だよと教えてくれました。
この時代のパチンコ屋はまだまだ香ばしい方達が多く出入りしていたので、たいしてびっくりもしなかったのですが、流石に武闘派と聞いてちょっとだけブルった記憶があります。
まあでも親分さんはあまり来なかったし、店側としても迷惑になるような事は一切なかったので良かったのですが、常連である女将さんがちょっとだけクセがありまして、出ないと呼び出しボタンを押し店員を呼びつけ「ちょっとあんた店長呼びなさいよ」などと言ってきて、仕方がないからインカムで店長をホールに呼び女将さんに店長を献上するわけです。
すると女将さんは説教をし始め店長がどんどん小さくなっていくのを側から見て楽しむってのが恒例でした。
そんな面倒くさい女将さんなんですが、出ていると気前が良くなり店員達にジュースを振る舞ってくれたり、余ったパッキーカード(簡単に言えばパチンコをする為の現金カード)をくれたりしたのでアタクシはわりと好きな常連さんでした。
ただ初見殺しの罠がありまして、女将さんは寒いに日に喉が乾くと店員を呼びつけパチンコ球を渡しつつ、こうお使いを頼むのです「ちょっとあんた!あのあったかい青いレモンティーに変えて来なさいよ」と。
『青い』が凄く気になりますが『レモンティー』と言う言葉の方が圧倒的に具体的であるしとてもイージーなお使いだと思い誰しもがスキップしながらドーレーミファーソラシドー♪と鼻歌混じりでレモンティーを持ってくることでしょう。
だがしかしこれは完全なる間違い。完全なる無駄スキップ。
女将さんが言う青いレモンティーとは某超有名清涼飲料水メーカーのあのミルクティーの事なのです。
んなアホな!!レモンティー言うたやん!!とお思いの方もいらっしゃるかとは思いますが女将さんにとっての青いレモンティーは紅茶花伝ロイヤルミルクティーなのです!
恐らくですが、女将さんはミルクティーと言う言葉の存在を知らないのでしょう。
紅茶だけどなんか違う・・・レモンティー?んーたぶんそうだろ!な!てな感じだと思います。多分・・
さて、そんなお茶目な女将さんですがこの頃からすでに20年以上経っていますので恐らくは亡くなっている可能性が高いかと思います。
天国・・とはいかないかも知れませんが鬼共に「ちょっとそこの赤鬼!青いレモンティー持ってきなさいよ!」なんてお使いを頼んでいるかも知れませんなあ。
もう1人くらい書こうかと思いましたが、思いの外書き疲れたし、長くなってしまったのでまた次回。
外は雪が少し舞っていて肌寒いので暖かい青いレモンティーでも淹れてゆっくりしましょかね