2020年映画ZAKKIちょ~ 5本目 『プロジェクト・グーテンベルク 贋札王』
2018年製作/上映時間:130分/PG12/香港・中国合作
原題:無雙 Project Gutenberg
劇場公開日:2020年2月7日
観賞劇場:新宿武蔵野館
観了日:2月13日 19:35の回
いつだって筆者のハートを熱くさせてきた「亜州影帝」<アジア映画界の帝王>ことチョウ・ユンファ兄貴と、アーロン・クォックのダブル主演による、2018年に中国大陸で公開された香港映画として史上No.1の200億円超えとなるメガヒットを記録したクライムアクション。
【あらすじ】
タイの刑務所から香港警察に身柄を引き渡された男、レイ・マン(アーロン・クォック)。
国際的偽札製造集団のメンバーであるレイに対して、香港警察は、偽札製造集団のリーダーで現在も行方不明の”画家”(チョウ・ユンファ)の情報を要求する。
冷酷無比な”画家”の報復に怯えながら、レイは自分の過去について語り始めるのだが…。
本作を観る前の評判として、「チョウ・ユンファ復活!」とか「予想を裏切る展開!衝撃のラスト15分!」などとあったので、特に前者の方に期待を込めて劇場へ足を向けた。
以下、「良かった点」と「良くなかった点」。
○良かった点
なんつっても、前評判通り、御年65歳のチョウ・ユンファ兄貴のカッコよさ!!
これに尽きる。これを観る為だけに入場料払って良かった。
世界広しといえど、二丁拳銃によるガン・アクションをスタイリッシュかつドラマチックに見せられるのはユンファ兄貴しかいないと考えている映画ファンは多いかもしれないが、最近、兄貴のそういった勇姿をしばらく観ていなかっただけに、本作のガン・アクションシーンは、まさしく眼福。
後半、”画家”の父を殺した将軍のアジトである【黄金地帯】と呼ばれる熱帯雨林のゲリラキャンプへ殴り込み、想像以上に激しい銃撃戦が行われるのだが、このシーンについては文句無しに本作最大の見せ場。
ユンファ兄貴のファンは、入場料を払うだけの価値あり。
しかも、なぜか白いスーツを血で汚すとか、これ最新型の「狼/男たちの挽歌・最終章」じゃん!!製作側、ファンの胸熱のツボを心得ているぞ!
じゃあ果たして鳩は飛ぶのか、飛ばないのか…?
それは観てのお楽しみ!!
更に、本作は偽札がテーマという、「男たちの挽歌」ファンからしたら、これだけで胸が熱くなるポイントなのだが、更に燃やした偽札で煙草に火をつけるという、「男たちの挽歌」の名シーンを再現するという、垂涎の眼福シーンも!
また、ユンファ兄貴の風貌も、もはや80~90年代よりもスリムに見える体型で、スーツ姿もスクリーン映えしていて360度どこから映されていてもカッコいい…。
さらに、半裸の兄貴が鉄棒で懸垂するというサービスカットもあり、「まだまだ若い者には負けん!」という香港のスーパースターの気概を感じさせられた。
そんな御年65歳の兄貴が主演した香港ノワールの最新作が200億円を超えるメガヒットになったという事実も、過去の作品に囚われない(かつ、過去作のファンへのサービスも怠らず)バリバリのスーパースターとしての現役感を見せつけていて凄い。
兄貴自身も本作について、「1980年代、私はいろいろなガン・アクションをやりましたが、本作ではまた違ったアクションをするチョウ・ユンファを見てもらえるはず。この作品を通じて、日本の皆さんがいままで味わったことのない刺激をお届けできれば、と思っています」と日本のファンに向けて語っている。
世界中のみんな、もう兄貴が「ドラゴンボール・エボリューション」で実写版「亀仙人」を演じた罪については忘れ去ろう。
そして、本作の兄貴による最高のガン・アクションシーンに酔いしれよう。
その他に良かった点としては、偽札作りの製造過程は観ていてワクワクした。実際に手描きで本物の札の絵を寸分違わないようにトレースしていく様は、本作ならではのアクションシーンとして、とてもスリリング。
あと、レイを取り調べする兵藤ゆきのようなツンツンのショートカットの女警部補がとても良い!
なぜそういう髪型になったか、ヘビースモーカーなのかなど、その過程がしっかり描かれているから、グッときた。
×良くなかった点
脚本がごちゃごちゃしすぎ!これに尽きる。
国際的偽札製造集団のメンバーであるレイが逮捕されて、口封じの為に”画家”が殺しに来るだろうという冒頭は、非常にワクワクさせられて良かった。
本作で「二転三転するストーリーが凄い」とか言われていたが、
過去と現在を行き来する構成なうえに、ラスト付近で発覚する「どんでん返し」を盛り込んだせいで、いよいよ観ててわけが分からなくなり困惑した。
おかげでモヤモヤとした気分で劇場を出る事になった。
せっかく後半、兄貴のガン・アクションシーンで心躍ったのに…。
こんな出来そこないの「ファイト・クラブ」のような「どんでん返し」は、要らなかったし、蛇足だよ。
Blu-rayの特典映像の未公開シーンに入れてくれ…。
また、”画家”が父の仇である将軍を殺しに行くシーンも、”画家”と父の関係性について台詞でサラッと語られるだけなので、”画家”の父への想いを垣間見れないので、せっかく最高の銃撃戦シーン後にカタルシスが生まれないのが非常に残念。
本当に勿体無い。
せっかくユンファ兄貴のすんげえカッコよさてんこ盛りで、その他のキャストも好演していたし、偽札製造というワクワクするテーマの映画なのに、脚本をこねくり回さず、もっと話をシンプルにしていれば、文句無しに傑作判定していただけに。
あと、こういう偽札偽造がテーマの作品なら、取引相手に偽物と見破られるかもしれないというスリリングなシーンが無かったのも残念。
結論
複数回の鑑賞を念頭にした、練り過ぎていて観客を置いてけぼりにする脚本だが、そんな欠点を遥かに凌駕するような、兄貴の現役感バリバリのスーパースターとして、「亜州影帝」ここにあり!のカッコよさに見惚れて欲しい。
最新型の香港ノワール作品としてオススメしたい!
それでは、最後にみんなで予告編を観てみよう。