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2020年映画ZAKKIちょ~ 19本目 『ファナティック ハリウッドの狂愛者』

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2019年製作/上映時間:88分/PG12/アメリカ
原題:The Fanatic
劇場公開日:2020年9月4日
鑑賞劇場:オンライン試写
鑑賞日:8月25日

あまりにピュア!あまりに異常!映画マニアを演じるトラヴォルタの新境地!

 名実ともに世界的大スターのジョン・トラヴォルタ主演による、ストーカー・スリラー。

【あらすじ】
人気俳優ハンター・ダンバーからサインをもらうことを夢見る映画マニアのムース。ようやく念願かなって参加したサイン会でダンバーから冷たくあしらわれたことから、ムースの愛情が歪みはじめる…。

 今回、オンライン試写が当選しひと足お先に鑑賞出来たので、さっそくnoteに書く。もちろんネタバレ無し。書いちゃうとつまんないから。
にしても、オンライン試写、仕事を切り上げて時間に合わせて会場行く必要ないから超便利だな!まぁスクリーンで観られないデメリットもあるが。

 「サタデー・ナイト・フィーバー」、「グリース」、「ミッドナイトクロス」、「パルプ・フィクション」、「フェイス/オフ」など数多くの作品で名演を見せてくれた現在66歳のトラヴォルタがなぜ今、こんなストーカー役を?!
気になり過ぎたので、はやる気持ちを抑えながら動画の再生ボタンを押した。

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○良かった点

良かった点は下記1点。

1.迫真の迷演技!トラヴォルタの新境地!

1.迫真の迷演技!トラヴォルタの新境地!

 ジョン・トラヴォルタが演じる映画大好き人間のムース。
彼の自宅は電気も付けずに、映画グッズまみれ。
映画が好きすぎるあまり、ハリウッド大通りでパフォーマーとして日銭を稼ぐという生活を送っている。
ハンター・ダンバーという俳優の大ファンで、サインをもらう事を夢見ている。

 そんな、珍妙なヘアスタイルをしているムースという男、人と話す時は常にうつむき加減で相手の目を絶対観ようとしないのが終始、不気味。
言動や挙動も大人になりきれない「ピーターパン症候群」のようで、映画の世界に没頭して現実を見ない子供のようである。

彼は映画好きとしてあまりにもピュア過ぎるがゆえに、その行動に悪意は一ミリも無い。
ハンター・ダンバーへの愛だけで突っ走って動いているから、「僕はストーカーなんかじゃない!」と否定するも、自分の行動に見境が付かなくなって、幼児のように、いつ癇癪を起して暴走するか分からない分、本当に怖い。

 もしかしてトラヴォルタ自身も「サタデー・ナイト・フィーバー」や「グリース」が世界的大ヒットを記録した若き時代に、こういったストーカーまがいのファンに追いかけられていた経験があるのかもしれない。
でもそれ、自分で演じるかね?!

 だが、愛が爆発しちゃって異常行動を起こすムースほどではないが、日本で開催されているコミコンとかハリコンとかに参加して、海外スターと写真を撮ったり、サインもらったりして興奮している映画ファンにこそ、本作は刺さるんじゃないか。

ようやく会えた、ずっと憧れていたスターから邪険な態度を取られた時の絶望感は、その愛が深ければ深いほど、ファンにとってどれだけ恐怖か計り知れない。それはもう、けして拭えない一生もんのトラウマとして刻まれるだろう。

 正直、作品としては88分という短い尺の割に話運びが鈍重になるところもあり、作りが上手くないな~と思うところは多々あるけれど、ファンの異常な愛情を見せるトラヴォルタの迷演技は見もの。

パッと見ると、ムースはストーカーだけど、ただの型ハマりなストーカー役で終わらせない、前述のように、何かのファンだったりする人が本作を観て、どこか共感させられてしまうような、複雑なキャラクターをトラヴォルタが演じている。

 というわけで本作では、世界的スターが自らストーカーを演じるという、新たなトラヴォルタが観られるゾ!
(え?そんなトラヴォルタ観たくないって?)

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■驚くべき点

 本作の驚くべき点は2点。

1.監督は日本でも人気のバンドのヴォーカルの人!
2.全米総スカン!驚愕の興行収入額!

1.監督は日本でも人気のバンドのヴォーカルの人!

 本作を監督するのは、かつては累計1,200万枚ものアルバムを売り上げ、日本でも人気で何度も来日しているミクスチャーバンド、リンプ・ビズキットのヴォーカル、フレッド・ダースト。
リンプ・ビズキットで最も有名な曲と言えば、「ミッション・インポッシブル2」の主題歌となった「Take A Look Around」だろう。

「てゆ~か、そもそもフレッド・ダーストって、映画の監督やってたんかよ!?」というところから驚き。しかし映画監督としては、本作が3作目とのこと。

 前述の通り、映画監督の手腕は正直、上手いとは言えない。
あと、最も糞ダサいと思ったのは、劇中でダンバーと息子が車に乗るカットで、カーステレオでリンプ・ビズキットの曲をかけて、ダンバーに「これよく聴いているんだ。リンプ・ビズキット好きだろ?」とか言わせてるところ。
それ、別に何か自虐的なことを言うわけでもなく、面白いジョークを飛ばすわけでもなく、ネタとしてセンスのカケラも無くて超ダサいよ!
「腹に響くんだ」じゃねえよ!
自分で自分の音楽褒めてんなよ!

↓このフレッド、一瞬、R.E.M.のマイケル・スタイプかと思ったわ。
てかトラヴォルタつるっぱげ!

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2.全米総スカン!驚愕の興行収入額!

 本作は、新境地であるトラヴォルタの常軌を逸した演技がまったく観客に受け入れられなかったようで、映画評点サイトRottenTomatoesで赤点以下の評点をたたき出している。
さらにトラヴォルタは本作で、最低映画に送られるアウォードである、第40回ゴールデンラズベリー賞最低主演男優賞を受賞した。

それだけではなく、もっと驚いたのがその興行収入額。

3,153ドル。

日本円にして約38万円(1ドル120円換算)。
上記の額は全米52館公開の初日の成績。
アメリカのボックスオフィスの最低記録を作ったらしい。
日本の低予算のインディーズ映画だってもっと稼げるよ!


ちなみに製作費は1,800万ドル。
日本円にして21億円(1ドル120円換算)。

おい!こんな低予算にしか見えない映画になんで21億円もかかってんだよ!
ほとんどトラヴォルタのギャラかょ?!!

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◆結論

 そんなこんなで、低評価もやむなしのポンコツ要素も多い本作。
さりとて、トラヴォルタの異常演技は見もの。
あと、何かのファンで、特定の人物を追っかけている人にも何かしら刺さるかも?
確実に観る人を選ぶ作品ではあるが、何かのファンであることの楽しみ、苦しみを改めて噛みしめる事が出来るという意味でオススメ!

それでは最後にみんなで予告編を観てみよう。


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