みりおんゑあ第9回 肝試しデート供養
『ねぇねぇ~。今日さ~、肝試しに行こうよ!』
「やだよ~。今日はどこにも行きたくないよ~…。行きたいなら一人で行きなよ~。」
『え~!!!やだやだやだーーーー!!一緒に肝試し行きたぁいーーー!!』
「そんなこと言っても、美里ちゃん怖いの苦手じゃん」
『それはそうなんだけど~。。。怖いもの見たさというか…..。君となら大丈夫かな💛っていうか……。』
「もうしょうがないなぁ~。そんなに上目遣いで見つめられたら断れないよ~」
バンっ!!!
その時隣の部屋とつながる襖が大きく音を立てて開く。
「ちょっと!!うるさいよ!!!何時だと思ってるの!!!!!
あんた一人でなにやってんの!『君となら大丈夫かな💛』じゃないのよ!!」
『なにって、第一回オタクとの肝試しデートシミュレーションに決まってるじゃない?』
「なんなのよそれ!全部、小清水美里一人だけなのよ!この家には今小清水美里1人しかいないの!
わかる???
とにかく!うるさいからシミュレーションなら声を出さずにやんなさいよ!!わかった?」
『だってぇ。。。らねちゃぁん。。。』
「だってじゃないの!返事!!」
『はぁい…。もうおとなしく寝ます……。』
「まったく……次大きな声出したら追い出すわよ!」
ピシャリ!と襖が閉められる。
明日はライブもレッスンも無い、久しぶりの完全オフの日。
私は一日中部屋でゴロゴロしていようと決めている。
遠征を終え、寮に帰って来たのは日が変わる直前ぐらい。
体は疲れているはずなのになかなか寝付けず時計は深夜2時を回っていた。
もちろんらねちゃんも疲れているはずだし寝てたかもしれないから悪いことしちゃったなと反省する。
まだ眠れそうにないからとスマホを手に取りXを開きタイムラインをチェックする。
メンバーやライブの写真、オタクのチェキツイ、対バン相手との写真も上がっている。
(へぇ~。。。らねちゃんは明日はあのアイドルさんとデートなのか~。それで東京に残って1泊多めに取ってるのかぁ。いいなぁ、うちもアイドルの友達欲しいなぁ。。。)
そんなことを考えているとふと激しい違和感に襲われる。
そこから私は布団を深くかぶり、早く朝が来ることをただ待った。
隣の部屋の襖が開かないことを祈りながら。