第1回 再生数向上委員会 まとめ
先日Vtuberの蟹さんという方が動画の寸評回を配信で実施して、その際にいぬじまの動画も流してもらいました。
映像の勉強をした事が無い僕にとってこういう企画はありがたいし、勉強になりました。で、触発というか便乗して丸パクリの企画配信をその翌日に実施したのです。
Twitterで募集を呼びかけ”一葦ととと”さんが快く動画を流す許可をして下さいました。彼の動画を例に挙げて、自分ならどうするか?という視点で語る事でお互いに新しい発見をするという狙いで配信をしました。ただ配信時間が長いので語った内容をまとめて記事にすることにしました。前置き終わり
テーマとして見た動画はこちら
カニバリズムをテーマに新聞記者の一葦とととが人肉食についての一般では知られていない知見を語る動画になっています
評価
この動画に対して私は下のような評価をしました。
とても優れている=私の知見からはアドバイスできない所を◎としました。逆に私の動画製作のノウハウからでもアドバイスができると思ったら△。そして今回見た目と物語性については※として今回のメイントピックにしました(後述)。
つまり動画の雰囲気・声・場面の絵に関してはとても面白く魅力的な動画である、ただし構成とテンポは改良の余地がある。そしてキャラクターと物語性に関してはいろいろ可能性がある(後述)
というのが総評です。
この動画を選んだ理由
数ある彼の動画の中でこれを選定したのは画面サイズが640:450だったからです。旧ニコニコ動画の雰囲気を狙ったとのことでした。
通常の画面サイズは1280:720でワイドなのでスポーツやダイナミックな映像が映える反面、バストアップの構図では左右が開いてしまって画面構成が面倒になる特徴があると常々私は頭を悩ましていたのでこの動画は面白いと思いました。
有名なVtuberの方だと花譜さんが正方形の画面を使っています
配信のコメントではインスタグラムの投稿の為とありました。ただ正方形の構図は彼女の独特な世界観を引き立てていると考えるコメントもあり、少なくとも小さい画面という手法はキャラクターに焦点を当てる手段としては有効なのだと思いました。
↑例えばこういう構図は1280:720よりキャラを大きく見せやすいし構図も安定している、視線誘導も楽。
ただ、Youtubeアプリの場合1280:720の幅で表示するので画面が小さくなってしまうデメリットがあるので字幕の大きさなどは注意する必要があると思いました。
テンポ感・構成に関して
△の理由ですが。この動画はカニバリズムという非常にインパクトの強いフックになるテーマを扱っていますが本題に行くまでに1分近くかかってしまっています。Youtubeで動画を見る人は、見たいところまでシークバーを飛ばすかブラウザバックしてしまう人が多いのでこれは長すぎると判断しました。私の場合だと原稿を削るか早口にして少なくても30秒以内にはメインテーマに入るようにします。冒頭省くべき原稿は多かったと思いました。
テンポに関して。Youtubeはテンポのいい編集の動画が好まれると思っています。しかしホラー動画というのは間をおいた喋り方や抑揚のない不気味なBGMを使って雰囲気を作っていく物だとも思うので、これは非常に難しい問題だと感じました。
とととさんの動画もホラー・怪奇の動画としてはその雰囲気を引き立てるにふさわしい抑揚の喋り方とBGMを使っていたと思います。これを早口でカット割り多用にするのもナンセンスなのかもしれません。
実際このようなホラー・怪奇・都市伝説系の動画で人気なYoutubeチャンネルも皆ゆっくりしたテンポは崩さないケースが多いです。例)キリンさん・Naokiman show さん・その他朗読系のチャンネル)なのでこれ自体は間違っていないのだと思います。
私はこれに対してSEを多用してテンポ感を作る事を提案しました。彼の動画は場面転換とテロップの切り替わりが高頻度で行われるけどもそこにSEが付かない事がテンポを緩慢にさせていると思ったからです。
ただし彼自身がフリー素材などで自分の動画に合うSEを探すことに限界を感じていたと配信中にコメントされていました。
そこで私はYoutubeのオーディオライブラリの活用を提案しました
恐らく彼の動画のレトロで不気味な雰囲気は電子音のようなSEでは使い勝手が悪く、もっとアンプラグドな音や環境音が望ましいのではと考えたのです。
Youtubeの音源の良さとして環境音のバリエーションが豊富なことです。人の笑い声や泣く声、吐息など使いようによっては不気味になる音源が多く配信されているのでこの動画のような雰囲気に合う効果音が見つかりやすいと思ったのです。(以外と皆知らないので本当は話したくありませんでした)
補足:テンポ感に関して配信中言いそびれたのですが、大手の同ジャンルの方は効果音だけでなく静止画をズームしたりスライドさせたり動きを付けてなるべく止め画にしない工夫をされていたので、それも効果的だと思いました。
物語性・キャラクターデザイン
ここでは漫画的な考察の経験で僕が得たノウハウ・見方を使って切り込んでみました
とととさんのデザインは良くも悪くもフラットです。新聞記者という設定ですがカメラや帽子など「いかにも」なアイテムを身に着けていません。ただしこれ自体は画面のノイズになりにくいというメリットもあります。つまり現段階で彼の見た目・意匠は毒にも薬にもなっていないという意味で※を付けました
なので私は、ここからもっと見た目の魅力を動画に付与する場合の方向性を考える際の漫画的なアプローチを語りました
この動画の中での”一葦ととと”は怪奇たるモノへの水先案内人の役割をしています。物語性を持たせると”狂言回し”の役を担います。
昨今のストーリー漫画では陳腐化しないように露骨な狂言回しを使う事が減りました。しかしオカルト・心霊ジャンルでは今でもしっかり狂言回しを置いてお話を進める事が多いです。これはある種の様式美であり、”新しい物への好奇心”ではなく”恐怖”という根源的な感情を揺さぶるジャンルだからです。そうなると狂言回・案内人又はキュレーターのキャラクターの立ち位置を考える事はかなり重要なのです。
妖怪・心霊・オカルトをごった煮にしているので有識者に怒られそうな図を作りました。怪奇モノは”怪なるモノ”に”凡なるモノ”が遭遇した現象をいかに語るかが重要です。そうなると語りべ=主人公がどこまで怪なるモノに近しい存在かが決まっていないといけないのです。
例えば鬼太郎自身は怪なるモノそのものです。なので人間にも肩入れせずに徹底的に冷徹に現象を見守ります(人を助けたりしない)。閻魔あいの様に加害する側というケースもあります。形礼鬼のように平凡な主人公が心霊体験を経て次作では主人公をアドバイスする側に回るタイプもいます。
特殊ですがデビルマンの様に自身が徐々に人から遠ざかる所から悲劇を演出する場合もあります。
まずはこの横軸のどこに「一葦ととと」が位置するのか、そこが決まるとおのずとその本人にふさわしい服装・デザインが生まれると思うのです。
※一般的なVtuberはまずキャラクターが先立ちます。その魅力自体がコンテンツになっているからです。しかし、氏の動画を見る限り動画>キャラクターという目的意識を感じたのでこのような切り込み方を選びました。
横軸が決まったら次は主観の出来事なのか客観の出来事なのか、物語を考える事になります。稲川淳二や京極夏彦のようなキュレータータイプ(有識者)はお話ごとに立ち位置が柔軟に変ります。このようなタイプはYoutube向きな気がします。
横軸でデザインが決まり縦軸で物語性が決まり、そしてようやく画面上の演出を考える。こういうアプローチをするとデザインや方向性で迷った時の手助けになると考えました。
一葦とととさんの服装・見た目に関しては冒頭で毒にも薬にも~と否定的な言い方をしてしまいましたが、新聞記者という彼の位置づけとフラットな見た目、そして見た目でわかりにくいが人外、という要素はどの位置にも立ちやすいメリットがある事も補足しておきます。
あとがき
以上が配信で私が語った内容です(大筋以外は省き、言葉足らずの部分は追加しました)。
これはあくまでも「私だったらこうする」という話で好き放題言っているだけなのですが、動画投稿者同士でそういう話をする、又リスナーが思った事をチャットできるこの配信自体はお互いにとってプラスになったのではと思いました。
今後
不思議な事にVtuberの動画考察という酷く内向きなジャンルの割には同時接続者数も多くリスナーのコメントも活発でした。こういうネタが受けるなら今後も配信でやっていってもいいのかなと思いました。
別に自分の動画を題材にしても十分やれる内容だし、まだまだネタはあるので記事の反響次第では続編も作ろうと思い第1回と銘打った次第です。
最後にこの配信をするきっかけになった蟹さんと快く動画を流す許可を頂いた一葦とととさんに感謝の気持ちを述べて終わりたいと思います。
あざっした!
取り敢えず投稿してあとあと誤字脱字は添削します
おわり・・・