金髪豚野郎がかすむ、泰葉のシティーポップがアツい
今の10代、20代の子達は知らないと思いますが、「金髪豚野郎」という言葉が一世を風靡した時代がございました。落語家の春風亭小朝と、シンガーソングライターの泰葉の離婚会見で、元妻の泰葉が言ったこの発言、アラサー以上の世代の方は、誰しもピンとくる出来事かと思います。
調べてみると、2008年と今から15年も前の出来事なんですね。そしてあの離婚騒動からも、泰葉はプロレスに参戦したりと話題になっていたので、「お騒がせ」といったイメージを持たれてる方も多いと思います。かくいう私も、シンガーソングライター時代を全く知らないこともあって、お騒がせ芸能人なんだなぁ、くらいのイメージしか持っておりませんでした。
ただ最近、ひょんなことから泰葉の曲を耳にしたんです。
なんですか、このすさまじい才能は。
一気に泰葉の作る音楽のとりこになってしまいました。ここ最近は、Apple Musicを開けば泰葉を常に聞いている状態が続いているくらいです。どの曲も、40年近く前に作られたとは思えない、目新しさとかっこよさを持ち合わせた楽曲なんですよね。
そこで本日は、泰葉のおすすめ曲を3曲に絞って紹介していきたいと思います。昔バンドでベースをやっていたこともあって、ベースラインが光る曲が多いので、可能であれば是非ヘッドホンやイヤホンで、聞いていただきたい曲たちでございます。
1,フライディチャイナタウン
とりあえずこの曲は、紹介しておかないと始まりませんよね。泰葉のデビューシングルにして最大のヒットソング、「フライディ・チャイナタウン」でございます。SNSで少し話題になったことで、私自身、泰葉を知ることになった一曲でございます。
個人的にこの曲には、衝撃を受けたってもんじゃありません。まぁとにかく、この曲は冒頭からずるいんですよ。
まず冒頭の、ベースとピアノの一曲を通して基調になる独特のメロディが、そもそもムーディでかっこいいんですね。そこから歌メロに向けて盛り上げるんですけど、そこがめちゃくちゃコンパクトにかっこよくまとめられてるんですよ。
そこでやってくる冒頭サビ。
震えたね。
そこからも、曲全体に漂う妖艶な空気感や、おいしすぎるベースライン、さらにいまでも珍しい、間奏だけフレーズごとに転調するなんていうテクいことも、普通にやっているすさまじい曲でございます。
聞いたことがあるという方も、今一度聞き直していただきたい、まさに名曲でございます。
2,ブルーナイトブルー
次にご紹介するのは、フライディ・チャイナタウンの次に発売されたシングル、ブルーナイト・ブルーでございます。
まずこの曲は、さっきのフライディ・チャイナタウンに比べると、時代を感じさせる曲となっております。そもそものギター、ベースの音質、ボーカルのミキシングの感じの違いで、懐かしさを感じる方も多いのではないかと思います。ただこの曲は、このそこはかとない懐かしさを含めて、味わっていただきたい一曲なんですね。
この曲の冒頭のギターソロや、サビの歌メロの流れは、まさしく80年代ポップスといった雰囲気で、それでいてミドルテンポの軽快なリズムが心地いい、曲全体として素晴らしい曲なのは間違いないんですけど、個人的に注目していただきたいのがこの曲のベースなんですよ。「この時代にこんなライン作る人いたんや」って思うくらい、キメキメでクッソかっこいいラインなんですよね。
特段ソロがあるわけでも、目立つユニゾンがあるわけでもありませんが、とにかくベースがかっこいい一曲でございます。以前紹介した、Foorinのパプリカや、Mr.Childrenのほうき星に通ずる、ベースがかっこいい曲でございます。
3,恋はメモリー
最後に紹介するのは、アルバムViVidの1曲目に収録されている、恋はメモリーでございます。この曲の良さは、アルバム曲の力の抜けた感じと、ジャズのような小気味のいいリズム感が、うまい具合にマッチしているところなんですよね。
この曲は、空気感がすごく気持ちが良いんですよ。休みの日の昼下がりに、コーヒーを飲みながら聞き流すのにちょうどいいリズムと、歌声なんですよね。各楽器隊は、決めも多くアクティブなこともしていますし、ベースもよく聞いたら裏でずっとスラップしていて、テクいことは続けているんですけど、ギラギラしていないんですよ。曲全体のゆったりした流れの中に、そういったテクニックが全部が含まれていて、聞いていてすごく心地いいのに、よく聞くと「おっ!」と思わせてくれるところがすごいんですよね。
そして最後には、ウォーキングベースが基調なムーディーなアウトロに、急にハンドルを切るあたりもとても面白い一曲となっています。休みの日のお昼休みなどに、ぜひ皆様も聞いてみてはいかがでしょうか。
さいごに
泰葉の楽曲は、「シティ・ポップ」というジャンルにカテゴライズされております。70年代後半から、80年代にかけて日本で製作された音楽が中心で、かなりふわっとしたジャンルです。
はっぴいえんどや、大瀧詠一、竹内まりあなど、そうそうたるアーティストがいる中でも、個人的には泰葉のシティポップこそが、シティポップとしては最高峰ではないかと感じております。シティポップというジャンルが、空気感を表すようなふわっとしたジャンルだからこそ、懐かしさと都会感を持ち合わせた泰葉の楽曲こそ、シティポップを代表する曲ではないかと思っています。
ぜひ皆様も、この懐かしくも目新しい、泰葉の楽曲の世界に浸ってみてはいかがでしょうか。