ベースが好きという罠

三大やらない方が良いことって、たばこ・ギャンブルともう一つは「ベースが一番好きっていう」に決めてよろしいでしょうかね。

リボ払いと足ピンオナを差し置いて、俺はベース好きを公言することを、やらない方が良いこととしてあげたいんですよ。ちょっとだけベースをやってるからこそなおさら思うんですよ。ベースが好きって言っていいことがまるでないんですよね。

そもそもベースって非凡楽器なんですよ。

ボーカル、ギターみたいに王道のかっこいいではないし、ドラムみたいにパワフルに目立つ裏方って訳でもない。でかい癖に地味で、何やってるかも何でいるかもよく分からん上に、打ち上げで邪魔。これがベースであって、それ以上の何物でもないんですよね。

得体が知れないのがベースですから、非凡をアピールするにはちょうどいい楽器なんですよ。

悪役好き、サイコパス感、ベース好きが日本三大非凡でございます。心理テストでサイコパス回答する奴と同じくらい、「ベース好き」と公言することは非凡感を感じさせることになってしまうんですよね。

ベースってさ、好きって言うだけでとっかかりが「非凡アピールかな？」って思われてしまう、なかなか危険なものやと思うんですよね。

他の楽器なら全然そんなことにはならんのですよ。ギターなんて素通りできますし、何ならトロンボーンだってスルーでございますよ。

ただベースだけは、非凡改札をスッと通れない感があるやないですか。

世論に「もう一度タッチしてください。」って言われてまうんですよ。

非凡のキャラ付けにベース好きって言うてんやないですか？って思われる可能性が高いと思うんですよね。

何なんですかねベースって。良く分からんからこそ、キャラ付けとして好きと言ってる感が出ちゃうんですかね？なんかベース好きって言うだけで、イキってると思われかねないモノやと思うんですよ。

何なら弾いてる俺ですら、周りからは「非凡演出の為の、楽器ですか？w」って思われてないか心配になるくらいですもんね。ましてやこれが楽器経験、ライブ経験がない中で、ベース好きなんて言おうもんなら、周りのOLから顔の形変わるまで殴られても、警察に「こけた」ってひた隠しにしないと、世論は許してくれない勢いですもんね。怖いんよ。

だいたい王道のかっこいいではないものを、カッコイイと言う為にはそれなりに理由がいるじゃないですか。

王道のカッコイイってもんは、みんながカッコいいと思うから王道になったわけで、王道になれなかったものは、みんながカッコいいと思わなかった物でしょ。それをわざわざカッコイイのテーブルに並べるわけですから、どうしてこのものがカッコいいのかってものを、経験や理屈から説明せんとあかん訳ですよ。

逆に言うとそれが非凡感じゃないですか。これがまたややこしくて、ベースが王道の対極にいすぎるがために、テーブルに上げただけで、一回キャラ付け感が出ちゃうところなんですよね。

だから行っても地獄、戻っても地獄なんすよ。

仮にテーブルに乗せて、うまくベースのかっこよさを表現できたところで、それは非凡感演出の側面をはらんじゃってるんすよね。

コイツは、ベースが好きと言っている自分が非凡だと思われる為に、わざわざ王道を外れたものを好きになろうとしていると思われてしまうやないですか。

そう思われたらもう地獄ですよ。

非凡感を出そうとしていると思われるなんて、耳がちぎれる、おかんに性癖がバレる事と並ぶ、三大地獄の一つですからね。

もはやベース好きという言葉に、未来がないんですわ。

私をはじめとするベース好きには、長く辛い時代が押し寄せております。

皆さんももうしばらく、「バンド好き」程度で感情の吐露をセーブしながら、好きなものを好きと言える時代、「ベース好き」と高らかに言える時代を夢見て、一緒に頑張って行こうじゃありませんか。