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真っ赤なお鼻のトナカイ
先週スーパーに行ったらさ、前から小さい子供を連れた若夫婦が歩いてきたんですよ。
別によくある光景で気にも止めて無かったんやけどさ、すれ違いざまに子供が歌ってるんが聞こえたんすよ。
真っ赤なお鼻のートナカイさんはー
いっつもみんなのー笑いものー
クリスマスも正月も終わった今クリスマスソングにどハマりしている。
彼にデッカちゃん教えたら、戻って来れんくなるんちゃうか。
そんな事を思いながら歌い声を聞き流してたんすけど、ふと思ったんすよ。
真っ赤なお鼻のトナカイさん、境遇エグくないか。
このトナカイ、鼻が赤いってだけでみんなの笑いものにされてるんですよ。
クレヨンから肌色がなくなる時代に、鼻が赤いと笑われて、泣かされとるんですよ?
しかもそのあと、サンタのおじさんもなんか言うとるでしょ?
暗い夜道にゃピカピカのお前の鼻が役に立つのさ。
誰もピカピカではいじってへんかったのに?
お前が率先して、イジメの炎にガソリンくべるなよ。
しかもやで。
しかも、トナカイもトナカイやないですか。
あいつあんだけ泣いてたのにさ、それ聞いてあいつ喜びよるでしょ。
「宵こそは」つって、むしろいつもより元気になった上で、喜びよるでしょ?
お前、クリスマス後に死ぬんか。
クリスマス後から、赤鼻に加えてピカピカのイジメが増えるんやぞ。
震えろよ。
いやほんまこの曲、今の時代からすると破綻しとると思うんすよね。
肌の色をいじるってご法度を犯してる以外にも、謎の励ましをするサンタ、ぬか喜びをするトナカイと、登場人物全員能天気なんすよ。
この歳になって思うけど、そもそもサンタは違う言葉を言うべきやったんやないかと思うんですよ。
身体的特徴をイジられて泣いてる子に、「短所は長所」って励ましは、犬も食わんでしょ。
まず王道として、明日は来る系の言葉とかええと思うんですよ。
例えばですよ。
世間は狭い、人生は
まだ終わりじゃない、これからなのさ
良くはなくても、役に立つよりはマシでしょ。
それとかほら。
辛い夜には、これまでの
生きた喜び、噛みしめるのさ。
絶対こんなんでええんよ。
だってトナカイ病んでんすから。
俺がメンヘラやからわかるんよ。
メンヘラには「辛い夜」とか「生きた喜び」とか言うときゃええんですよ。
とにかく「ピカピカの鼻が役に立つ」は絶対あかんのよ。
逆に言えばそれ以外ならなんでもええんですよ。
例えその歌詞の中に、女性器名称がバッチリ入っていてもです。
身体的特徴をイジられた相手に、油を注ぐような歌詞に比べたら絶対マシやしさ、そろそろ変えるべきやと思うんすよね。
そういえばさ、暗い夜道にゃピカピカの鼻が役に立つって言うてるけど、トナカイの鼻やから別に発光するわけではないっすよね。
って事は、鼻がピカピカで光を反射させるって事っすよね?
赤くて光を反射する。
このトナカイ。
チャリの後ろの赤いやつがが鼻についてるのとおんなじやんけ。
それはもう、部署変えたれよ。